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Episode 212 原因ではなく症状です。

ASDは、その名前が出てくるまで「アスペルガー症候群」とよばれる人が多かった発達障害の領域です。
私もアスペルガー症候群の傾向が強いASDだとの診断を受けています。

今の医学的立場に立ったの考え方は「自閉スペクトラム症」という「重度から軽度」「特性の方向性」の連続体という認識が主流です。
でも、この考え方には注意が必要だと私は思うのです。

ASDとよばれる前、アスペルガー症候群は大きく3つに分類されていて、「孤立型」「受動型」「積極奇異型」の名前で呼ばれていました。
このように違うタイプとして扱われるのは、アスペルガー症候群の当事者からアウトプットされる「症状」がそれぞれ大きく異なったからです。
ネット検索すればザクザクとそれぞれの症例が出てくるので、その辺の事情には触れませんが、外側から見ていて目に見える症状が「別」であれば、原因も「別」だと思うのが普通だと思います。
でも、本当にそうなのか…と問えば、おそらく違う…。

以前、私はASDの「時間厳守派」と「遅刻魔派」の違いについて、部屋が散らかる例で話題にしました。
この時にお話ししたのは、結果が同じでも考え方が違うことによって原因が異なってしまうのだということです。
これがそのままアスペルガー症候群の3分類に当てはまるワケです。

私は、ASDと診断されている人たちは脳機能の一部の領域に不具合があって、そこを迂回する思考回路を独自に編み出すのだと指摘しました

どうやったら上手くいくのか?
それは、発達障害の有無に関わらず、人が成長する過程で誰もが無意識に努力する重要な項目です。
順調に成長すれば、一定のパタンの中に行動が収まる…どうやったら上手く立ち上がれるのか、どうやったら上手く歩けるのか…。
そうやってうまく行く方法を見つけながら人は成長するのです。
でも、前に指摘した通り、発達障害を持つ人は脳の特定部分が上手く動かないのです。
だから「一定のパタン以外で」できる方法を探して迂回路を作る…と。
そして見つけ出した方法がアウトプットとして表現されるのです。

人によって表現される形が異なる…その種類が大きく分けて3種類って考えれば、原因が1つで答えが3つの理由が見えてくるのです。
つまり、スペクトラムなのはアウトプットされる症状で、原因ではないってことです。

それだけではない、応援団と歌舞伎の話では、ASDとADHDは裏と表の関係だとも指摘しました

定型発達者から発達障害者を見た時、アウトプットされた症状が真っ先に目に付くのは当然です。
ウイルスや細菌が原因の病気であれば、症状から原因を推定して、詳しく検査して病原体を発見するワケです。
でも、発達障害の場合は症状から一対一で原因が結びつかないことが多いのです。

脳機能の障害を回避する迂回路を作る…という本人なりの努力が、症状をスペクトラムにするという現実である…と、私は思っています。
人それぞれの個性です…って言えば聞こえは良いですが、それ故に発見も対応も難しくなっているということに間違いはないと思います。

ここに書いていることは、私の個人的な見解であって、医学的な見地は含みません。
ただ、こう考えるとしっくりとくることが多い…。
こんな認識が一般に広がってくれれば、発達障害も理解されやすいのに…と思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/4/14

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