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Episode 449 話の枕で考えます。

私が文章を書くときは、いつも「落語」を意識するように心がけています。
お囃子が掛かって高座に出る落語家さんが、スッとお辞儀をしてネタを話し始めるかと言えば…そうではなくて、サッと客席を見渡してその場に合ったツカミの話を始めるワケです。
その日の客層やお客様のノリ…みたいなものを感じて、自分に興味を引き付けるワケですよ。
文字に起こす文章は相手がその場にいるわけではないので、全く同じようには出来ませんが、いきなり本題に入るような書き方をせずに、本題に続くような最近の出来事や誰もが知るような話題を置いてから、ゆっくりと本題を書き始めるようにしています。

私の書く文章は、決して起承転結がしっかりしているようなモノではないのですが、「枕」を書いて「本題」を続け結論という「落ち」に繋がるようには心がけているつもりです。
この文章も…ね。

私が「本題のみ」の書き方をしない理由はカンタンで、ASDという「とってもわかり難い特性」を理解しようとしたときに、私が手に取った本のどれもこれもが、難しい言葉で難しい概念が書いていると感じたからです。
「チンプンカンプン」という表現がピッタリ…現象としてそういうことが起こるのは…その通りなのでしょうが、それが一体「いつ、どんな風に」という部分の解説がピンとこないのです。
もちろん、「例えばこんな風」みたいな例はあるのですが、あまりにも現実とかけ離れていることが多くてですね…そうですね「商社マンの上司と部下の会話」なんて想像もつかないのですよ。
だって、そういうシチュエーションで仕事したことなんてないですもの。
だから私は、なるべくみんなが知っているモノや動物に例えてお話ししようと思っているのです。
その例え話にも設定説明は必要なワケでして、あれこれ試すうちにこんなスタイルに落ち着いた…というワケですよ。

それでですね、今日の話はその「枕」なんですよね。

昨日、Twitterでここから繋がるリプのやり取りで発見があったのです。
やり取りの中身については埋め込みツイートからTwitterの方にジャンプしてもらうにして、ASDの私がコミュニケーションを苦手としている核心に触れる「相手の立場に立って物事を見ることが出来ない」という部分の正体はこれなのではないかという大発見。

この言葉を発しているあなたはどんな気持ち?
なんか嬉しいことあった?
なんかつらいことがあった?
そんな、言葉という「餅」の中に隠された「餡」をいつも感じようとしていたのか…ということ。
時候のあいさつや世間の話題を入れることで、あなたの「餡」の味が甘いか苦いかを感じ取ろうとしていたのか…ということ。

分かった、ようやく。
今までずっと…私は「会話」ではなく「語り」をしてきたんだろう、ということです。

私も時候のあいさつや世間の話題をすることはある…けれど、あなたがどのように感じているのかを「探しに行く」のではなくて、私の振ったネタに「乗ってくるか」を見ていたに違いないのです。
私のエリアに引き摺り込むための仕掛けが「枕」…それはダチョウ倶楽部の「つかみはOK!」であって、落語の枕話と変わらないということです。

この記事の冒頭から…落語の話を持ち出して、枕話を打っておいてからの会話と語りの枕の差…という文章構成、これこそが「ひとり語り、ザ・マイ・スタイル」なワケですよ。
これが許されるのは文字に起こした文章だから…なのですが、知らず知らずのうちに対面での会話でも、私は「語り」をしていたのでしょうね。

私にとって、この「大福餅」は、とっても分かりやすい「見えるイメージ」でした。
難しい言葉の説明が、こんな簡単な一枚の絵に置き換わることで急に理解が進む、そういう発見があると面白いと感じています。
私の書く文章のたったひとつでも良い、皆さんにとって私の大福餅と同じようにピンとくるものがあれば嬉しいなぁ…と私は思うのです。

そうやって今日もキチンと「落ち」を作って、話しを終うのです。
おあとがよろしいようで。

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