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Episode 410 裏から見たらカーブです。

以前に私は食器をサッサと片づけてしまってパートナーに咎められる話をしました。
この話は、食事中のパートナーに「空いた食器を下げて良いか?」という問いを入れずに空いている食器を片付けてしまうことで、「サッサと食べて!」という暗黙のメッセージがパートナーに伝わってしまったというお話でした。
本来の意味合いとしては「空いた食器を下げることで、テーブルを広く使いたい」だったワケです。
私が確認しなかった一言が、トラブルを作ってしまったということです。

この現象はASDの人がやりがちな「会話の飛ばし」とか「会話の飛躍」と呼ばれるものなのですが、「ASD×定型」の具体的なトラブルの原因としてこれが一番多いのかなぁ…と私は思うのです。

例えば…こんな話がありました。
共稼ぎの私とパートナー、地方都市で生活しているので通勤はそれぞれにクルマを使うので「帰りがけにちょっと一杯」…なんてことは殆どありません。
そうは言っても数か月に一回ぐらいのペースでは、どうしても抜けられない「おつき合い」があったりするワケでして…。
「今週の土曜日、職場の飲み会があってね、お世話になった人が退職する送別会も兼ねているから、どうしても行かないとなんだよね。」って、パートナーが言うのね。
お世話になった人の送別会なら…そりゃぁ、行かなきゃならないよねぇ…って思った私が、「何かやっておくことあるの?」って答えたら、パートナーがみるみる不機嫌そうな顔になっていくワケ。
私はアタマの中にいっぱい「?マーク」を付けながら「え、土曜日の夜ってなにかあるの?」って改めて聞くと、パートナーは「家事を放ったらかして出掛けますけど!すみませんね!」…ってお怒りモード…。

これねぇ…たった一言が足りないが為に、ボタンの掛け違いが起こる「ASD×定型」会話飛ばしの典型的な例なのね。

種明かしをすると…、
「今週の土曜日、職場の飲み会があってね、お世話になった人が退職する送別会も兼ねているから、どうしても行かないとなんだよね。」というパートナーの言葉に対して私が
「うん分かった。大事な飲み会だし、行っておいで!」と一言いうだけで万事まるく収まる話だったワケです。
その上で、「(土曜日の夜に)何かやっておくことあるの?」と聞けば良かったワケです。

パートナーの問いは、「土曜日の夜に出かけてよいか?」というもので、「土曜日の夜に家事をよろしく!」と言っているワケではないのです。
でも、私の答えは「何をしておけば良いんだよ?」になっている。
パートナーから見れば「私に家事を押し付けるのか?」に聞こえているワケです。

混乱のポイントは、パートナーの問いに対して答えと質問をひとつ飛ばしてしまっていること。
先ず、パートナーの「土曜の夜に出かけたい」という問い (You konw ?) に対して「いいよ!」と私が答える (I know !) …があって、「それで、土曜日の夜はどうしたら良いの?」という相談になれば問題が無かったワケです。
結果的には土曜日の家事を全て私に任せるということになったとしても、それは合意のハナシということです。

まぁ…私としては、最初から「家のことは任せて、行って楽しんできたらいいさ」というストレートの返事をしているつもりなのですが、質問に対しての「合意」を飛ばして次の動作に入るから、受け手のパートナーから見たら「やっておけばいいんだろ?」というカーブが飛んできたように見えるワケです。
多分ね…ここを丁寧にやり取りすれば、「すれ違いトラブル」の半分ぐらいは無くなる気がするんですよね。

ASDの人は自他境界が緩い場合が多く、相手のことを必死で考える過程で自分の考えていることとあなたの考えていることの区別がつかなくなることがあるのです。
私はこれを「カオナシ現象」と呼んでいるのですが、これを回避するシンプルかつ具体的な方法として、"You konw ?" "I know !" を活用するのは手なのではないか…と感じています。
ASDを自認しても、未だになくならない「ボタンの掛け違い」に有効な手立ては、意外とシンプルな合言葉の指差し確認なのかもしれません。
最近になって、そんなことを思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2020/2/24

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