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Episode 767 上書きされない特異です。

何度も申し上げて恐縮なのですが、私がここでお話しする内容は「極めて個人的」なモノでして、なるべく単純に模式化するために、敢えて大きな枠組みで物事を捉え、細かな部分を切り捨てるなどのデフォルメをしています。
先ずは全体的な図式がイメージできることが最優先…個別の細かな枝葉の部分は、全体像の理解があってからで十分に間に合うと思います。
さて…。

レイ(@wagonthe3rd)さんが提唱する「日本社会はオーティスティックに親和的」という指摘を「なぜなぜ分析」の手法で解析してみる企画の続き、今回はその4回目です。

前回の記事「恐怖が団結を作るのです。」で触れたのは、大陸的視点を作り出す原点付近に「異宗教/異文化と隣接する環境」があっただろう…というお話しです。

私の思う大陸的視点のベースにあるのは、隣り合う異宗教民族/国家への恐怖心です。
「話せばわかる」というのは、わかり合うベースの共有があるから…とした時、話が通じない異教徒との覇権争いで勝利しても、相手が生存している限り、恐怖から解放されることはないワケね。
つまり「大陸的視点」は、思想的に異文化融合しにくい「異教徒隣接の緊張感」から、同族の、より強い宗教的な団結によって作り出されたのだろう…と。

note記事「恐怖が団結を作るのです。」より

今回はコレと対比する形で説明する、日本的宗教観が作り出す「島国的視点」の形成…というハナシです。

note記事「溶け込む感覚を知るのです。」では、日本人は無宗教なのか…という問いに、「いや、固定の宗教/宗派を篤く信仰していないだけで、日本神道をベースにした『全てのものに神が宿る』という教えが、多くの異なった教えを融合させる感覚を日本人は共有している」という答えを書いたのです。
つまりね、誤解を恐れずにぶっちゃけた表現を使えば、八百万 (やおよろず) の神の中に、神道で崇拝する元々の神様たちも、仏教のお釈迦様も、キリスト教のイエス様も、存在してしまうワケよ。
そして全てのものに神は宿る(アニミズム的な)思想であるが故に、基本的にモノは粗末にされないのね…だって、全てが神様なら、全てを粗末にできないでしょ?
詳しくは過去記事にジャンプしてもらうとしてですね…。

この多神教の宗教観は日本国内に限らず、世界中に存在していたのですが、現存するものは多くありません。
なぜ淘汰されたものが多かったのか…と問えば、それは前回お話しした「異宗教/異文化と隣接する環境」が影響したからというワケです。
もちろん、理由がそれだけであるワケはないのですけどね、ここでは「大陸的視点」が形成される理由を模式的に示すのが目的ですから、他の理由は一旦横に置くことにします。

その一方で、日本神道をベースにした日本的多宗教混在型の無宗教が現存する理由は、日本が海に囲まれた島国で、「異宗教/異文化と隣接する」機会が極めて少なかったからという点は大きいワケです。

大航海時代から始まる西欧諸国のアフリカ・アジア・アメリカへの植民地支配は、虐殺の歴史であるといっても過言ではありません。
相いれない価値観に融和を求めることは基本的にありません…なぜならば、異宗教/異文化を招き入れることは、自らの生命の危機を容認することに繋がるからね。
自らとは違う価値観を持つものを敵として認識し、攻撃して淘汰する…は、自らの安全を確保するために必要だったということです。

日本は中学/高校の歴史で習う通り、他国からの攻撃 (元寇など) を何度か受けたことがあったのは事実ですが、他国に国内を荒らされた経験がありません。
それほどまでに海に囲まれた立地が、日本を侵略から守ってくれていたワケです。
ここで異教徒による侵略があったのなら、「和風文化が今のカタチで今あるのか」は、甚だ疑問です…だって、その逆はしているのですから。
隣接する北方のアイヌや、南方の琉球など、違う価値観を持つ地域への「侵略」はあった…そして、その文化の多くは失われ、和風文化への上書きがあったのは、間違いありませんから。

異宗教/異文化が、大きな勢力を以て日本に攻撃/侵略してくることがなかった…は、イロイロな偶然が重なった結果だったとしても、日本が「大陸的視点」を形成するに至らなかった最大の理由のひとつと考えられるワケです。
そしてこの「大陸的視点」を形成せずに、独自に発展させた「島国的視点」の原点に日本神道をベースにした日本的多宗教混在型の無宗教の感覚があるのだと、私は思うのです。

そして「覇権」に絡む緊張感や植民地支配を受けず、国内を荒らされずに産業革命をむかえた「特異な国」として日本/和風文化は存続し続けるワケです。

そして、次回。
「島国的視点」を持った産業革命後進国である日本が、国を挙げて「カムフラージュ/擬態」を押し進める Autistic 的なライフハックの形成につづく…。

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