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Episode 639 過去が良いワケないのです。

1970年生まれの私は今年で52歳になりまして、私の人生の今までを振り返るって思うのは、社会の急速なデジタル化を目の当たりにした世代だったよなぁ…ということです。

前回のnote記事で扱ったように、私は移動通信機器を初期のころから実際に手に取って扱っていた世代なのです。
記事でも触れたように、私が最初に携帯電話を買ったのが1997年のことで、それは今から25年も前のことになるワケです。
携帯電話以外のことで言えば、仕事でどうしても必要になって「ポケベル」なんてものも使っていました…1993年頃のハナシ。
PCを始めて購入したのは1996年のこと…今思えばWindows95がOSとなって家庭への普及が加速した最初のタイミングだったワケです。

当然それ以前の私の人生は、デジタル機器が一般に普及する以前のハナシなのです。
もちろんCDなどのパッケージ化されたデジタル商品はあったのですが、「自らが発信できる双方向の」という意味に於いては、やはりPCが普及してからのハナシでしょうね。

デジタル化が進行するのと時を同じくして、「発達障害」の社会的認知が進むようになって行きます。
私は以前に、デジタル化という省力化・効率化の波が押し寄せることによって、「発達障害」の顕在化が進んだのではないか…という記事を書いたことがあります。

ひとつの仕事に対してどっしりと黙々と取り組める…という環境が急激に減り、(PCなどを含む)機械を操作して複数の案件を並行して処理していく業務が増えるワケで、それに合わせて世の中が進化するワケです。
その社会の流れに乗れる人たちが多数派を形成し、多数派に有利な社会がより進化を加速させる中で、こぼれ落ちた人たちが少数派を形成する、その一部に「発達障害」とカテゴライズされた一群があるとしたら…。

note記事「現れ方が逆なのです。」より引用

私は最近Twitterで、この記事と同じように「発達障害」とカテゴライズされた一群が取り組める仕事の減少を憂うツイートを見ました。
そのツイートの論調は現状を憂うあまりに、発達障害者も発達障害という認識を与えられず、一般の枠組みの中で生きるための仕事があった「あのころは良かった」というように言っているように思えたのです。
もし仮にその通りの意味でツイートされていたとしても、それはその方の意見ですから、私が「どうこう」言うハナシではないのです…でも。

私はどんな時代においても、過去の方が良かったということはない…と思っているのですよ。

私が学生だった頃までは「アナログな時代」だった…それは間違いありません。
そのアナログな時代は、ひとつの仕事に対してどっしりと黙々と取り組める…という環境がある一方で、それ故に分業して世の中を回さないと命を繋ぐことが出来なかった時代でもあったのだ…というのが私の意見です。

私は女性の社会進出と家事労働の軽減には「大きな関係」があると感じています。
さらには機械化/デジタル化によって、体力的に女性が作業可能な職域が広がったのも事実でしょう。
世の中が進化する中で、まだまだ十分とは言えないものの、アナログな時代に比べて女性の人権問題は飛躍的に改善したのだと思います。

ただ、社会の進化は全てにおいて均等に進化するワケもなく、デジタル化の時代で、炙り出されるように「発達障害」の発見と認知も急速に進んだのだとも思うのです。
もともと発達障害の資質はアナログな時代にも存在していたハズで、それが顕在化しない理由がその時代背景にあったとしても、例えば先に示した女性の社会進出が進まずに家庭に縛り付けられていたら、女性の人権問題は今ほど改善したのかは疑問です。
さらに、女性が社会進出する中で、ようやく女性の発達障害にも光が当たり始めたのだろうと思うのです。

時代が進化することにより、多くの人がその進化の恩恵を受ける一方で、進化に付いて行けずに落ちこぼれる人々が一定数いるというのは、たぶん事実です。
でも、進化することによって大きく世界が開ける人も多数いるワケです。
そう考えたときに、「あのころは良かった」という発想は何とも後ろ向きです。
それを「しょうがないじゃない」というように切り捨てるつもりはありません。
現に私がその「こぼれ落ちた少数派」に属するワケですから、何とかしてほしいし、何とかしたいと考えるワケですよ。

TVやスマホのキレイな画面を見て、過去のアナログ放送や粗いドットの二次元デジタルの時代に戻りたいと思う…ワケないじゃないですか。
自分も十分に時代の進化の恩恵を受けている、その中で自分の都合の悪い部分だけ「元に戻せ」って、何ともムシの良い話だと思うのですよ。

進化は不可逆性のモノだと私は考えます。
今の世の中が完璧でなく問題があるのなら、「過去に戻す」のではなく「進化させる」の一択なのだと私は思うのです。

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