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Episode 479 違いを認めるのが大事です。

10月に入って日が短くなり、次第に朝晩冷え込むようになったなぁ…と思ったら、夏の間は聞くことがなかった「あの鳥」の声が聞こえるようになりました。
そうです、白鳥です。
「潟」と呼ばれる水辺が多い私の住む地域は、あちらこちらに白鳥の越冬飛来地 (池) があって、優雅で特別な鳥…ではなく、冬場に身近に普通にいる鳥なのです。

以前に私はASDの男性を「白鳥」に見立てた「オトギバナシ」というシリーズ記事を書きました。

この話の中で私は、ASDの男性を冬鳥である「白鳥」、ASDの女性を夏鳥である「ツバメ」、一般に「定型」と呼ばれる人たちをどの季節もひとつの場所にいる留鳥の「スズメ」に見立ててお話をしました。

「オトギバナシ」の中では、ツバメの「擬態」や白鳥の「外モード」など、ASD側が定型社会に馴染むための方法を説明しながら、ASDの特性や独特な社会とのバランスのとり方をお話ししたのですが、最終的にはツバメはツバメで、白鳥は白鳥なのだと、ご理解いただきたかったのです。
つまり、定型スズメであるあなたとは違う…ということ。

ASDである私は、マジョリティである定型に有利な世の中で生きていくために「スズメのフリ」をしなければならない場面があります。
これが所謂「外モード」と呼ばれるものなのですが、簡単に言えば外モードという「マジック」の効果があるうちは、白鳥の私がスズメに見える…と思っていただけば良いかな…と思います。

自覚したASDが陥りやすい袋小路の罠の話を先日したのですが、必死で定型に寄せようとすればするほど、学習した「定型風」の言動を当てはめようとするジレンマが発生するのです。
これが、外モードによく似ていて…ですね。

私は、ASDと定型の組み合わせのパートナーシップとは、「スズメ×スズメ」では成り立たないと考えています。
スズメである定型のあなたは…スズメが相手なら、それは楽でしょう。
でも、ASDの私はスズメじゃない、つまりスズメに見えるようにムリをしているということです。
当然、ムリは長続きしないのです。

ASDの自覚で自分の本質は変えられない…ということは、「おおかみこどもの雨と雪」の話でお話しした通りです。
だから、私の本質を隠さずに抱えて、そのうえであなたを驚かせないように最大限の気遣いを心掛けるのです。

もうお分かりいただけていると思いますが、ASDの私が白鳥(オオカミ)であることを隠さずに内包する…の裏側は、定型スズメであるあなたも、私がスズメではない…と認めるということです。
白鳥(オオカミ)である私の姿を認める、それが定型のあなたがASDの私と上手に生活するための、大きなポイントだと私は思います。
もちろん、認めるのは白鳥(オオカミ)である私の姿「だけ」であって、あなたに対して、その本性の100%行使を認めなさい…と言っているのではありません。

定型のあなたがASDという白鳥(オオカミ)である私と共に生きていくとは、そういうことだと思うのです。
滲み出てしまう白鳥(オオカミ)の習性を、「スズメにはない!」と一蹴してしまえば、確実にその関係性は壊れます。
マジョリティであるスズメのあなたには、自分の手のひらの上で白鳥(オオカミ)を転がすだけの社会的アドバンテージがあるのです。
あなたが手のひらに乗せられないのなら、私が手のひらに乗る気がないのなら、この関係性は作れないと、私は思うのです。

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