見出し画像

Episode 476 セッターをイメージするのです。

袋小路(ふくろこうじ)=物事が行きづまって先に進めない状態。
大辞泉(小学館)によると、そんな解説がされている言葉です。

ASDの私は、よくその袋小路に迷い込んでしまうのですが、その主たる原因は、結果としてあなたとの関係を「自己完結」してしまうことによると思っています。
その自己完結こそがASDのA=( Autism・自閉症) であると先の記事で指摘しました。

ASDと社会のバランスを考えたときの最大の問題点は、ASD者が自分の意思の出力コントロールをできないことにあると考えます。
その一方で知的障害を伴わない自閉症者は、社会が自分の意志とは関係なく動いていることは知っているのです。
だから、その動きに合わせていこうと努力はするのですよ。

何度も指摘する通り、定型の皆さんはあなたと私の意志の折半を行って妥協点を模索するわけですが、ASDの私はその妥協点を探る作業をあなたと共同で行うことが難しいのです。
では私はどうするのか…という点で出てくるのが「妥協点を一人で探り当てる」ということね。

少年ジャンプの人気マンガ・古舘春一氏の『ハイキュー!!』は高校バレーを題材にした作品で、その中で天才セッターである影山飛雄が主人公・日向翔陽のスパイクポイントにピンポイントのトスを繰り出す速攻・「変人速攻」というスーパープレーが出てきます。
ひと言で言ってしまえば、スパイクの素振りの打点にボールを正確に合わせる技術…ということ。
スパイカーが目をつぶっていても確実にジャストミートさせる寸分の狂いもない正確なトスワークってこと。
ASDの私が一人で妥協点を探るって、こういうことなんだよね。
普通であれば、上がったトスをスパイカーが目視してタイミングを測って打ち込むわけなんだけどね…。
ただね、現実にそんなピンポイントのジャストミートが可能かと問えば、なかなか…せいぜい100本に1本当たるくらいじゃない?

出口の打点を一人で探って速攻のトスをバンバン繰り出したって、あなたがうまく合わせてくれるワケがないじゃない?
コンビネーションが上手くいかなければ、上手くスパイクが決められる方法をふたりで考えれば良いんだけど、ASDの私はあなたが打ちやすい位置を一人で必死に考えてしまう…これが乗っ取り。
どうやったらあなたが打ちやすいかは、あなたに聞くのが一番なんだけどね、その摺り合わせ作業はとっても苦手なのよ。
だから、独りでその作業をしてしまおうとする…その方がASD的な思考では楽だからね。
結果、ピンポイントのトスの精度が上がる…わけもなく、苦しむことになる。

ASD的な思考の袋小路…考えているはずなのにうまくいかないのは、「自己完結」による思考乗っ取りが原因の事が多いと思います。

ASDの思考乗っ取りを止めるのは、バレーボールのセッターをイメージするといいかもね。
『ハイキュー!!』の中で描かれる天才セッター・影山飛雄の人間的な成長は、ASDの自覚・自認に通じる「あなたと私」が描かれていて面白いのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?