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第56回イベントレポート『土中環境改善のための炭造り特別講座』

2023年1月20日。今回は参加者の方が、とっても素敵なレポートを書いて下さいましたので、全文ノーカットで載せさせていただきます。まるで、森の一日を疑似体験してるかのような、臨場感に溢れたイベントの様子を是非、お楽しみ下さい。

レポート (著:きょうちゃん)

2023年1月20日 大寒。

昨年の夏は猛暑だったせいか、冬は例年と比べひどく寒い(と私は感じる)。今日は1年で一番寒い大寒。が、先週よりも来週よりも気温が上がって、このところでは一番暖かい日になると天気予報は言っていた。はたして、それは当たっていた。日差しはたっぷりと降り注ぎ、穏やかな陽気だった。私にとっては久しぶりの森。でも、だからこそ森は、変わらずに温かく迎えてくれたのだった。

今日は、いつものしがらみや階段を作る造作ではなく、炭づくりの特別講座だった。まずは先生のご講義を拝受。炭焼き窯には色々あるが、今回は無煙炭火器を使用。広場の焚火する場所から石をどけて、直径1メートル程の鉄枠のそれを置く。その中で森から刈り出してきた(12/21、1/9に集めたもの)細い下枝を燃やしていく。

そもそも私ったら単純に「木を燃やせば、炭ができる」と思っていた。しかし、先生のご講義を聞き、実際に木を燃やし、炭を作っていく過程を目のあたりにして、そうではない、と言うことに気がついた。確かに木を燃やすのだが、それは木から余分なものを出すため。それは煙となり燃えて、炎として温度を上げる。木が炭となるには、高温(350℃)で密集した状態が必要なのだ。燃え盛る炎の下で、酸素の少ない高温にさらされて、はじめて熱分解し全炭化となる。

今回作った炭は、しがらみなどの造作に使い森に返してあげるのだが、炭になれきれなかった生焼けなものだと、タール分が残って炭素化せず菌糸が入らない。なので、生焼けのない炭を作ることに先生は細心の注意を払っていらした。講義の段階では、檜の生木は炭になりにくいと漏らしていたが、最後出来上がった炭を見ると、檜も太い竹も見分けることができないほど、綺麗な真っ黒な炭になっていた。
出来たばかりの炭はアルカリ度は高い。なので、すぐに土に埋めても菌糸は寄って来ない。充分に空気に触れさせることが必要とのこと。古(いにしえ)の科学は今に至っても不思議な作用を起こすのだと知る。

充分な温度と時間で炭となったら、急速に冷まさないとそのまま灰になってしまう。森の水脈からの井戸(昨年末設置)で汲み上げ、水をポリタンクやペットボトルで運ぶ。今日一最大の肉体労働、メインイベントとなった。

帰りの会の時の先生は、森の廃材で炭を作りそれを森に埋め戻した場合、カーボンニュートラルに貢献したことになり、土に埋めた炭の量は、経済エフェクトとしてカウントできると国連で決まったとおっしゃっていた。「カーボンニュートラル」なる聞きなれない言葉は、どこかの自動車メーカーが使っていたなとぼんやり思っていたが、炭焼きの現場で「カーボン」と聞き、頭の中でそれは「炭素」じゃないか!と結合した時に、正しく「炭づくり」とは最新鋭の科学であり、実は、下世話な言葉を使うと「金のなる木」になるのだなと合点がいった。

人類が火を起こすことで文明を持つことができたが、火は大きくなりすぎて地球の自然を破壊し、環境を悪化させている。炭づくりの技は、炎とは不要なものを燃やし温度をあげるもので、高温に守られた炭を作るためなのだと教えてくれた。大切で、必要なのは「炎」ではなく、内省の「温度」なのだと知る。人類が求める「エネルギー」もまさに「温度」なのだ。自然環境をこれ以上悪化させることなく、人類が生きるエネルギーを生み出すために、「炭づくり」はこれからの経済を支えていく原点になるのだと理解することができた。

さて、炭づくりが一段落しお昼を食べた後は、沢を探索に行った。初参加の方が半数もいらしたからだ。いつも案内して下さる主催者(しげちゃん)ではなく、ホタルを飛ばす会発足当時から森を知る方(てっちゃん)の案内で、沢を登っていく。2年ほど前までは沢は枯れきっていて、水が流れるなど想像がつかなかったが、昨年(2022年)は、雨が多かったせいもあるのか、沢に水が流れていることが多かった。それは、試行錯誤しながらしがらみを作り、階段を造作し、コツコツと森を整備してきたおかげのようだ。雨水が流れているだけかと思ったが、ちゃんと沢の下に水脈があり、ここかしこから水が沁み出して流れていたのだ。

今日も1か月近い乾期で沢の水は枯れていた。しかし、若きリーダー的存在(ゆうきくん)の「沢の石を一個だけでもどかしてあげて」の呼びかけに応え、2人がかりで大きな石をどかしてみると、なんと、そこから水が沁み出てきたのだ。そして、それは微かな流れとなって沢を湿らせていく。それを見た瞬間、空気が変わった。そして森の木々が輝いていく。

~これがあるから、森にまた来てしまうのだな~

きっと、その場にいた誰しもが、そう思った瞬間だった。

炭づくりのことを教えに来てくださった先生方を含め、ホタルの森に初めてくる方が多く、お互い初対面のはずの今回だが、朝のチエックインの時から、住んでる地域が同じとか、それ知ってる、使っている、と、符合することが多く、傍で聞いているだけの私ですら、ワクワク感が止まらなかった。炭を焼きながら、水を汲みながら、お昼を食べながら、沢を登り、石をどけながら、交わす会話に体温は上がっていき、旧知の友と交わっているような気がする。それこそが森のなせる業なのだと、実感する。

最後は先生が丹精込めて作られた菊芋を分けて頂き、家に着いた。調理して食べれば、血糖値の上昇を抑え、免疫力向上や腸内環境を整える。根付きも良く、増えて栽培にも良いのだそう。楽しみなお土産だ。

「お楽しみ様。また、森で会いましょう!」

そう言って、今日を共にした仲間とお別れをした。

きょうちゃん、ステキなレポートありがとうございました。

写真で振り返る1日

参加者の皆様からいただいた写真を含めて1日を振り返ります。
ご提供ありがとうございます。

朝のチェックインの様子
講義風景
点火
集めておいた枝を運びます
バケツリレーで焚べてく
下の方から燃えてる
竹炭の先生が割り方を伝授
電動鋸の使い方をレクチャー
無煙炭化器、無煙の状態
温度が大事
美しい炎
炭になり始めた
なんかイイ感じ♪
水汲み
汲み出し
運び出し
屈強な炭焼きの先生は20Lポリタン×2個を軽々と!!
運び上げ
華奢な女の子は2Lペットボトル×2本を軽々と♡♡
炭化してる
水は一気にかけて急激に冷却
麻袋に入れて出来上がり〜
と、思いきや、、
袋が温かったので再度薄く広げて冷却
念には念を入れて水やり
ランチタイム♪
炭を冷やしてる間に沢の見学ツアー
木こりのてっちゃんの沢ガイド
沢の周囲も観察
お手入れ体験。一人一個、石をどかしました
女の子たち、、まるでJKのよう。
男の子たち、、まるで保育園児のよう。
石の下から現れ出づる、谷の神さま、、、、

一日のふりかえり

作業を終えて一日を振り返り、今日の感想を分かち合いました。

参加された方々の声

♡ YUKIくん
「炭は自分でも作ることがあったので、色々と教えて貰って楽しかった。たぶんもっと違う炭作りもあるんだなと思いながら、より興味が湧きました。あとは、皆んなが行った沢で、変化が見れたのと、ちょっとだけ皆んなで石を動かしたら流れが出来たりして、森が喜んでるナと思ったので、今日作った炭を使って、もっと山と沢の手入れをしたいなと思いました。今日はすごく楽しかったです、ありがとうございました」

♡ おさむさん(講師)
「あの炭焼きは私も初めてだったんで、けっこう簡単だけど、やっぱコツがあるんですね。単純だけど、そこがちょっと、自分でもやってみたいなと思いました。あと、人前にあんまり出ないんで、いつもひとりで炭焼きをやってるんで、皆さんに会えてよかったです。ありがとうございました」

♡ あすわさん
「今日は有難うございました。あたしも、この五年くらいは一人でやってたことが多かったので、今年に入って、仲間が居て、自己紹介の時から一人ひとりの話を聞くのがとにかく楽しいし、この天気、、この、木の流れと沢の流れ、、体感がものすごくあって、それを味わえたのが良かったです。とにかく盛り沢山で消化できないくらい学びがあったなと思ったんですけど、やっぱり自然のものってホントいいな、素朴なものっていいなと思って。皆さんと楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました」

♡ みぃちゃん
「初参加でしたけど、有難うございました。ホント盛り沢山で、色んな、炭のことから、キクイモを生で食べれるとか、皆さんがやってらっしゃることも、ハンターとか古民家とか色んな方がいらっしゃって、それだけでも楽しかったですし、沢が、やっぱり楽しかったです。石をどけて、水が少し湧いて来たのが楽しい!、もっともっと石をどかしたいなという気分になりました。また来ますのでよろしくお願いします、ありがとうございました」

♡ 木村さん(講師)
「私は今日一番面白かったのは、前回お会いした時に高田さんの本に書かれてるようなことを実践されてると聞いて、それをフィールドで実際に見たり、沢の流れ始める所を拝見させて頂いたり、それがボクにとっては一番新鮮でしたね。とても面白い経験でした。有難う御座いました」

♡ 広若さん(講師)
「今日はお付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。こうやって皆さんの前で、色んな話をして、炭もやって、キクイモも差し上げるっていうのが私にとって一番ハッピーな瞬間なんで、このハッピーな時間を皆さんに与えていただいたということで、本当にサプライズたくさんの一日で嬉しかったです。てっちゃんに色々と森の話をしていただいて、あんなにパッションに溢れた話、というかスピリットを久しぶりに浴びたんで、現場にいたのもそうですけど、彼の想いを、夢というか、考えていたことが段々だんだん実現していく、、、そしてそれが自然の摂理に合っているものだっていう確信とか、聞いててゾクゾクするぐらい感動しました、本当にありがとうございました。皆さんも、汚れる仕事を嫌がりもせず、私のヘンなツッコミにも全然たじろぎもせず、お付き合いいただきまして最高のオーディエンスでした」

♡ れいこちゃん
「今日は一日ありがとうございました。とっても楽しくて、炭づくりの時の科学的なおはなし、専門的なお話し、、何回聞いても右から左に流れて行っちゃう自分が恥ずかしいと思いながらも、凄く楽しくやらせていただきました。ここに春ごろに来た時に、とっても気持ちいい山だなぁと思って感動したんです。ここに集まる人たちの空気がいいなぁと思ったのを今日また思い出して、今日集まってくださっている方たちの空気感とか、すごく心地いいなーっていうのを感じて、やっぱりこの山と共鳴する方が集まるんだなっていうのを感じられて幸せでした。ありがとうございました」

♡ きょうちゃん
「なんか、一回ここに来ちゃたら、もうそのプロなんだなっていうところが本当で、皆さんホントに初めてだとは思えないような方々ばっかりで、今日は本当に楽しかったです。炭のことも、森で出会ったことは、きっとどこかで必ず伝えます!」

♡ すみー
「今日も一日ありがとうございました。こうゆう山に来るのも高尾山の遠足で行った以来の何十年ぶりだし、炭づくりは初めてだし、沢に見に行ったりしたのも初めてで、もうなんか今日はスゴく楽しくて、ホントに心地よい疲れで帰れます」

♡ てっちゃん
「皆さん、お楽しみ様でした。ボクも今日はじめて炭焼きっていうものを実際どうやっているのかなと新鮮なものを見させていただいて、火を起こす時でも少し詰めた方が良いだとか、そういうのは今までなかったので、ありがとうございました。皆んなで沢に行って、ボクもそうしてきたんですけど、そこで感じたこととかを他の方々にも逆にしてあげてもらえたら嬉しいと思ってて、そのことは自分自身にも良いし、伝えた方にもハッピーになれることが繋がるので、そういう輪がどんどん広がってけばいいかなと思っているので、これからも今日やったことをまた来て話していただけたらと思います。どうも有難うございました」

♡ あらちゃん
「今日は有難うございました。楽しかったっていうのは、一つの作業が、今日できあがったんですよね、炭っていうものが、、、。その前からの工程もアタシの場合はしてて、木を集めてきたり、運び出しが大変だったり、とか、、。それがひとつのカタチになって、皆んなと協働の経験、体験をしながら出来た!っていうのがすごく楽しかったかなあ、なんて思ってます。普段だったらほんとうに知らない世界の人、、ハンターの人とか、檜原村の古民家の方とか、会うことがないような方と初めて会って、それで楽しく出来るってことが、一つのモノをつくり上げるとか、そうゆうことだったのかなーなんて思ってます。あと、難しい炭の話をはじめすごくメモって楽しく聞けたんですけど、笑いの方が先に立ってしまいまして、、たくさん笑えましたので、ありがとうございました。今日はどうしても来たかったお友だちがいたんですけれど、今日の話を是非教えて欲しいと言われているので伝えたいと思います」

♡ あきちゃん
「今、みなさんの感想を聞いてたら色んな思いが湧き出て来て、真っ白になってる状況です。広若さんには以前、ボルネオのテンカワンの木のことでオランウータンの会でお会いして、炭のことをされてるっていうのを聞いていたので、個人的にはすごい勉強したいと思ってたのが今日、実際にお会いできて、こんなに楽しく時間が過ごせて、嬉しいです、有難うございました。あと、てっちゃんの沢のガイドで、自分では口に出すのが恥ずかしかったようなことだけど、てっちゃんが本当に心がこもって話をするから「あっ、話して良いんだな」と思いました。なんか、ちょっと、こう、ヘンに思われないかな?、とか、そーゆーの、あまり、職業的に、見えない世界のこととか、見えない気持ちを言うと、恥ずかしいとかいう思いが私の中でちょっとブロックがあるんですけど、どんどん伝えていきたいなと思ったのと、私は九州の自分の山で、整備を始めていきたいと思ってるんですけど、それを今始めていけば、その変化を皆んなに伝えていけるし、ちゃんと自分のものに、積み重なったものとして、心から伝えられるっていうのを、それも今日てっちゃんから教えて貰ったなと思って、、、。でもやっぱり山は入って行かないと、こうやって荒れていくんだなっていうのも見えるので、ホタルの会には来れなくても、出来る所は掘って、手を入れていきたいなと思いました。ありがとうございました」

主催者ふりかえり

「今日のイベントでは、朝のチェックインと、帰りのチェックアウト以外をこの森での講座を心良く引き受けて下さった講師陣の方々に完全に委ねたことで、学び多い上に最高に楽しい炭づくりができました。また、私自身も、いち参加者の立場で心の底から純粋にイベント自体を楽しむことができました。ありがとうございました。つくった炭が冷えるのを待つ間に催した沢の見学ツアーも、木こりのてっちゃんに全面的にガイドを任せられたので、私は火の番を買って出て、今まであまり出来ない森での一人の時間を満喫できたのも貴重な経験になりました。

本当に色んな方々が、見えない糸が導かれて交錯するように、この森で出会い、繋がって、見えない何かを紡いでいっているのではないかと感じたりしています。前々回前回と、3回に渡って進めてきた炭づくりから、本当に様々なことを学ぶことが出来ました。炭にも大感謝です、炭こそは地球を救うと思う、ありがと~〜っ!」

今回のエンディングテーマは、何となくこの歌を♪
写真をクリックすると曲が流れます。

参加していただいた皆さま、本当に一日お楽しみ様でした。
ホタルさん、そして活動に興味を持たれた方は、是非一度、森に来てくださいネ!!

今後の活動予定

今年7月から来年6月までは、ホタルの会の新年度になります。年度内で最初に参加する際に、年会費(または単日参加日)をお納め下さいますよう、お願い致します。
◎ 現時点で決まっている今後の予定は、

2/4(土)
2/17 (金)
3/4 (土)
3/17 (金)

※冬の時期(12〜2月)は日が短いため、通常より終了時間を1時間繰り上げて実施します。

4月以降の予定は決まり次第お伝えしますが、ご希望する日時・曜日等ございましたら、どうぞ気軽にご連絡ください。
一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。

協力感謝

『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』は、任意団体です。


公益社団法人 国土緑化推進機構様による緑の募金事業の支援を受けています。

一般財団法人セブンーイレブン記念財団様の〝環境市民活動助成〟を受けています。

支援ありがとうございます。



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