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『フローズンサマー 3』

※BL小説です。性的描写がありますので、18歳未満の方、興味のない方は閲覧をご遠慮ください。

 部屋に着くと、俺は今日真人を呼んだ目的を果たすために、小さな箱をデスクからコッソリ取り出した。後ろ手に隠して真人に近づき、目の前まで来てからそれを差し出す。
「これは……?」
 開けるように促すと、白い指が丁寧にリボンを解いていく。その間中、俺は身体が浮き上がってしまいそうなほどそわそわしていた。心臓が高鳴りすぎて痛い。
 真人は、指先に銀色の細い鎖をすくい取った。ごくシンプルな細い長方形のトップが付いたネックレスだ。
「もうじき一年だから、さ」
 声が裏返らないように、何でもないことのように言うために、俺は腹に力を入れた。
「あのアイスクリームショップで、俺と真人が出会ってから。記念、みたいな?」
 真人はじっと俺の首元をみつめた。俺の鎖骨の間には、同じ細い長方形のトップの下がったネックレス。
 おそろいなんて引かれるかな、と背中にドッと汗が流れた。リングじゃいくらなんでも重いだろうと、ネックレスにしてはみたんだけど。
 実はこのトップは側面に芥子粒みたいに小さなブラックダイヤが一粒入っていて、それは同じ原石から取った世界で一対だけのペアだったりするんだけど、そんなことをこのタイミングで言う勇気はとてもなかった。
 真人は黙って掌の中のシルバーのネックレスを見つめている。
 真人ってアクセとかつけるタイプじゃないし。困ってるのかな。それとも、デザインが気に入らないとか? 別に嫌なら人前で付けなくたっていい。……何か言ってくれよ。
「嬉しい」
 真人は、祈っているかのような仕草でネックレスを胸元に当てている。恋人の清らかな表情はまるで宗教画のようで、胸がキュッとする。
「そんな高いもんじゃないから」
 俺の買えるアクセなんかたかが知れているので、焦ってそう言うと、
「嬉しい……ありがとう」
 うっすらと涙の膜の張った大きな瞳が俺を見つめ返すから、俺はもう愛しさで胸がいっぱいになってしまった。

 汗ばんで光って見える首筋に、細い鎖がキラリと光った。
「あ、あきみく……、ひぁ……! あ、ぁあぁん……」
 以前より、ねっとりと内側の粘膜が俺を追いかけてくるようになった気がする。
 正座した自分の両腿に跨らせる形で凹と凸を合わせたまま、大きく下肢を開かせる。真人の腰を強く引くと、バランスを崩した真人が後ろ手に手をついて、丸見えの結合部がぬちゃっと濡れた音を立てた。
 繋がった場所が見えてしまうこの姿勢を、いつもなら真人は酷く恥ずかしがるのだけれど、今の恋人はそれどころではないらしい。細い首を振り、シルバーのネックレスをきらめかせながら、甘やかな声を滴らせるばかりだ。
 ピンク色の先端に蜜を光らせた花芯も、その下の木の実のような嚢も、すでに硬くなっている。俺が腰を使うたびに、勃ち上がったそれがゆらゆら揺れるのが、何とも卑猥に見えた。
「真人、きもちいい?」
「ん、んっ……」
 こんなに感じるようになってしまったら、俺じゃなくても真人を悦ばせられる奴はたくさんいそうだ、なんて埒もないことを考えてしまいそうになる。
「秋見くん、……好き……っ」
 必死の声に我に返った。どんなにエッチなことをしていても、失われない清純な光を湛えた眼差しが、俺を信頼しきったように見上げている。
「……きだから、秋見くんだから……きもちい……!」
 俺がぐっと前傾して真人の上に被さると、角度の変わった内部が擦れて、真人がたまらないような声を上げた。俺と真人のシルバー製のトップが触れ合って、カチャリと金属音を立てる。
 すべすべした頬が、上気してとても綺麗だ。俺は頬ずりしたくなるようなそこに唇を寄せると言った。
「大好きだよ。真人、これからもよろしくな」
「うん……あ……っ、……あ、」
 返事が途中から嬌声に変わる。それを唇で吸い上げて、上と下で繋がる。
 俺の下で身悶えていたからだが、二度、三度とベッドの上で弾んだ。直に腹に飛沫を感じ、真人が先に達したことを知った。
 痛いぐらいに張っている俺の欲望も、みちみちと破裂しそうに膨らみきって、もう熱を解放したいと叫んでいる。
 でも、まだ、もう少しだけ。恋人の温かな粘膜の抱擁にあやされていたかった。今にも迸りそうな熱を堪えて、俺は弛緩してしまった恋人の汗ばんだ身体を抱きしめ、律動を早めていった。

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