花葉が踊る、 桜咲く。

 おはようございます。

 今日ふと桜の樹を見ると、花がちらほら咲いていました。
 冬が苦手な木々が眠る季節はまもなく終わろうとしているんだなあと思います。目覚めの季節です。

 桜は日本では昔から馴染みのある植物です。日本由来の植物なので日本には当たり前に生えています。
 奈良時代くらいに中国から梅が持ち込まれてからは実は花見と言えば梅、というくらい昔は梅が花見の対象となっていた歴史があります。梅は当時の貴族からは位が高い植物として扱われていたので貴族の娯楽として鑑賞する風習が始まったようです。
 桜は当たり前に生えすぎていて、どうやら特別感がなかったのかもしれません。
 いつもそこにあるものを特別な気分で見るのは確かに難しいのかもしれませんが、今は習慣として根付いているので、みんな当たり前に桜の花見をするようになりましたね。

 その昔、農民の間では、春の訪れと共に冬の神様を山に送った後、春の神様を現世にお迎えする行事としてお花見が行われていたそうで、桜の咲き具合を見てその年の豊作を占う、といった風習があったそうです。 
 自然信仰と神様が結びついてた時代ならではの考え方ですね。個人的には今の「綺麗だから見たい」「花見という行事を楽しみたい」という風習より何となく美しいと感じてしまいます。

 桜はとても品種間交雑をしやすい植物で、今はすっかり馴染みになったソメイヨシノも実は原種ではなく交雑種です。
 エドヒガンとオオシマザクラという二つの品種が交配したものが江戸時代に生まれ、それが鑑賞用として広まったもので、以外と歴史は浅いものです。
 日本には分類にもよりますが、ざっと200種類近い桜があります。このほとんどは原種というよりは交雑によって生まれたものですが、その多くは名前も知られていないでしょう。原種はおおよそ10種類程度しかなく、そこからたくさんの桜が生まれたことになります。
 ソメイヨシノは鑑賞用に全国に植えられたので今では最も有名な桜となりましたが原種の桜達も劣らず綺麗な植物です。以下、列挙してみますので、ふとした時に探してみてください。

■ヤマザクラ(山桜)
■オオヤマザクラ(大山桜)
■カスミザクラ(霞桜)
■オオシマザクラ(大島桜)
■エドヒガン(江戸彼岸)
■チョウジザクラ(丁子桜)
■マメザクラ(豆桜)
■タカネザクラ(高嶺桜)
■ミヤマザクラ(深山桜)
■カンヒザクラ(寒緋桜)

 ここに、2018年な発見されたクマノザクラを入れて現在は原種は11種類とされることが一般的なようです。
 中でもオオシマザクラは特に桜として花の咲き方が美しいとされ、人工交配の親に使われていることが多いです。名の通り、東京都に属する伊豆大島に分布していますが、房総半島や三浦半島にも自生しています。

 2月ごろに一足早く咲く河津桜もオオシマザクラを親に持つ自然交配種です。鑑賞用の桜は実はほとんどが原種ではないことが分かりますね。(もう片方の親はカンヒザクラです)

 桜はその交配しやすい特性からか、自然と分布域が分かれており、基本異なる品種が交わる機会は少ないものでした。
 しかしながら、人間が鑑賞用に色んな場所に植えたりすることで品種間交雑が起こりやすくなっていて、遺伝子汚染が懸念されています。
 外来産ペットの野生が問題化されている現代ですが、植物にもこのような問題は起きますので、人が無闇に自然環境を変えないことはこれからも求められるものでしょう。

 本当に自然を大切だと思っているのであれば、自然がどう成り立っているのか考え、思いを寄せたいものですね。花を愛でることは大切ですが、花は人のために咲いているものでも生きているものでもありませんから。

 さて、終わりになりますが、関東地方はまもなく桜が満開の時期を迎えるでしょう。新年度、学生さんの入学式の頃のタイミングになるかもしれませんね。
 来年も当たり前のように同じ花が咲いてくれるとは限りません。
 今年目の前で咲こうとしてる花をどうか忘れずに心に残して欲しいと願います。

 枯木🍂 

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