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アンチ”丁寧な暮らし”からの脱却。外出自粛が教えてくれた丁寧な暮らしの楽しみ方。

虹色のスイーツや、
これでもかと盛られたパンケーキ。
オシャレな服を着た女の子が
可愛い壁の前でポーズを撮った写真。
女子高生の定番アイテムであるタピオカ。

そんな、Instagramが生んだ
超見た目重視とも言える、

インスタ映え文化」が世間を賑わせていたことは
未だ我々の記憶に新しい。

しかし、若者のトレンドは
常にものすごい速度で変化を続け、

ついにそのインスタ映えの文化でさえ、

古くてダサいもの」になりつつあることを知った。

私はこんな昨今の流行の移り変わりのはやさに
半ば恐怖を覚えつつ、
ピカピカとネオンの輝きを放つ
タピオカという大看板の隣で、

天然ハーブの香りを漂わせながら、
日々の生活に感謝するということを
絶対的な価値観だと謳い、
ひっそりと、しかし、これ見よがしに佇む、
あの文化について思いを馳せていた。

そう、インスタユーザーなら
知らない人はいないであろう、

ハッシュタグ「丁寧な暮らし」についてだ。

(これらは私の完全なる偏見である)

ていねいなくらし。

なんて嫌な響きだろう
暮らしに丁寧もなにもあるのか。
そもそも”丁寧”の定義はなんだ。

オーガニック野菜を使って、
塩とオリーブオイルのみの
シンプルな味付けをしたおしゃれなランチを
こだわりの食器と木製のカトラリーで
食べることがそんなに偉いのか。

一方の私はというと、
大好物はもっぱら焼き肉とカップラーメン。
夜中に豚骨スープをすするこの生活は、

とんでもなく雑な暮らし”とでもいうのべきなのか?

そんな屈折した視点による悪態をつきながら、

(それとは裏腹に少しばかりの羨望を抱きつつも)

依然として自然色を基調とした写真があふれかえる
タイムラインをスクロールしていた。





話は変わるが、
コロナウイルスの襲来である。

外出自粛祭りが続くなか、
私は仕事のほとんどをテレワークに切り替えて
自宅でせっせとタスクをこなしていた。

感染の恐怖や毎日流れる悲劇的なニュースによって
陰鬱とした気持ちに苛まれるのは、想像に容易い。

しかし、そんな私を温かく癒やしてくれたのは、

日本茶」の存在だった。

日本茶といっても、そんなに高級なものではなく、
家族が引き出物かなにかでもらってきた
ごく普通の茶葉。静岡県産。

普段は紅茶かコーヒーを好んで飲んでいた私だったが、
年のはじめに歯列矯正器具を付けたことをきっかけに
色素の濃いものは口にできなくなってしまっていた。
(矯正器具に色素沈着がおきてしまうからだ。)

そんな私の元に突如現れた救世主、日本茶。

さながら柔肌の乙女を迎え入れるように優しく扱った。

そもそもあまり飲む習慣がなかったものだから、

日本茶の正しい入れ方など知らなかった。

お湯の温度はどれくらいだろう。
茶葉は蒸らすべきなのか否か。
茶器を温めて置かなければいけないらしい。

日本茶の才能をいかに引き出すかに、私は必死になった。

(あれは恋と言っても過言では無いだろう)


仕事も一段落した昼下がり。

私は自宅で持て余した時間を、またもや日本茶につぎ込んでいた。

もはや、この私を止めるものは誰もいない。

十分に温めた茶器に、お茶をゆっくりと注ぎ込む瞬間に
私はあることに気がついた。

「あれ?これって、”丁寧な暮らし”なんじゃ……?」

ショック。
驚いた。

電子レンジとインスタント、
この2単語が大好きだった私が。

化学調味料と脂質に愛を誓った私が。

あれほど毛嫌いしていた”丁寧”に、いつの間にか染まっていたのだ

(なんてことだろう。)

膝から崩れ落ちそうになる感覚をこらえ、思考を巡らせる。

(そうか、私に足りなかったのは、

丁寧さではなく、

”時間”だったのか。)

有り余る時間という富を手に入れた私は、
心に余裕が生まれ、
ついには”丁寧さ”すら身に着けてしまった

丁寧さを裏打ちしていたのは、溢れる余裕と、生活への愛だったのだ。

日本茶のことを考えながら、
あれだけ馬鹿にしていた”丁寧な暮らし”ユーザーに懺悔した。

そうして私は、
”煩雑”のボロ布を脱ぎ捨てて、
”丁寧”のドレスを着ることができたのだった。



さて、茶番はこれくらいにして今回の教訓である。

「おうち時間に工夫を。
日々の暮らしを少し丁寧に過ごしてみよう」

この言葉を胸に、
この激動を生き抜いていこうと思う。

あ、あと日々の暮らしに感謝しなきゃ。

おわり。

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