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家事代行時代、部屋を片付けられない人に、「神棚を作ってほしい」と提案していた話

今はフリーランスでライターをやっている私だけど、ライターを始めるまえは、「家事代行」を仕事にしていた。

高校2年生の終わりから、卒業後の数年間を合わせた4年の間で、回った家は150軒を超える。

家事代行というと、料理や洗濯なども含まれるが、私が得意としていたのは、「掃除」だ。

お客様の家に行って、困りごとをヒアリングしながら、居心地良く暮らしてもらうために、お家の隅から隅まで、キレイにしていく時間が大好きだった。

年齢も性別も生活スタイルも経済状況も、まったく違うお客様のお家をまわって家事のサポートをするうちに、部屋を片付けられない人の共通点に気がついたことがある。

今回はそんな、掃除や片付けについて話したい。


150軒の家をまわって気がついた「片付けられない人」の共通点

部屋を片付けられない人の共通点、それは「ひどく疲れている」ことだ。

「疲れているんだから、部屋が片付けられないのは当たり前だろ」と思うかもしれない。「疲れている人」というより、「追い詰められている人」と言ったほうが正しいだろうか。

追い詰められているというのは、何も激務をまっとうしている人だけの話ではない。

家庭に悩みを抱えている人や、理由はどうあれ知らず知らずのうちに自分を責めている人、本当はやりたくない仕事を無理してやっている人など、形はさまざまだ。

今の社会を生きている人は、当たり前にみんな頑張っている。そして、そのなかには、頑張りすぎている人がたくさんいる。

頑張りすぎて、自分を追い詰めすぎて、その反動がお部屋の状態に表れているお客様を、私はたくさん見てきた。

もしこの文章を読んでいるあなたが、家の中を片付けられないというなら、それはあなた自身が追い詰められているのかもしれないということに、まずは気がついてほしい。

日常が忙しなく、頭の中はぐちゃぐちゃで、心にわだかまりを抱えている状態で、でも部屋がキレイなんてことは、なかなか実現できないのだ。

疲れすぎて片付けられない人は、部屋に「神棚」を作ってほしい

さて、そんなお客様に対して、私は家事代行の人としてよく提案していたことがあった。

それは、家の中に「神棚」を作ってほしいということだ。

神棚というと、あの本格的なやつを思い浮かべるかもしれないが、そういうのではなくて、自分なりの神棚という話である。

コスメが好きな人なら、洗面台やコスメボックスでもいいし、本が好きな人なら、本棚でもいい。

要するに、自分が好きなものや、自分自身や人生を象徴するものを置く場所を、「神棚」ということにして、どんなに疲れていても、そこだけはきれいに保っていてほしいのだ。

家の中に神棚を作る効能は、2つある。

1つは、自分の好きなものを置く場所を、聖域としてキレイにしておくことで、シンプルに自己肯定感が上がるということだ。

人は自分の大切にしているものを、自分で大切にできないと、知らず知らずのうちに傷ついてしまうし、それによって自分を責めてしまう。

だから、まずは自分の大切にしているものを、自分で大切にできているという感覚を日常的に持てることがとても大切だ。

自分の神棚を掃除して、まだ余裕があったら、次は2番目に大事にしているものや場所を掃除したらいい。そうして、少しずつ片付ける範囲を広げていくことがオススメだ。

2つ目の理由は、もし神棚が散らかってしまったら、「ちょっと休みましょう」のサインだと気がつけるようになること。

仕事や生活に追われて、自分の大切にしているものを大切にできなくなるということは、セルフケアができないくらいに疲れているとわかるようになる。

休むことが苦手な人や、自分を責めがちな人ほど、片付けが苦手になる。だから、「今の自分、ちょっとヤバいかも」と気がつく基準を神棚に置くことで、セルフケアを見直すきっかけになるのだ。

もうどうしようもないくらい、部屋が散らかってしまった人は「頼る」ことからはじめよう

では、神棚を作るほどの余裕もないほど、もう再起不能なくらい家が散らかってしまったら、どうすればいいのか。

もともと家事代行をやっていた私が言うと、ステマっぽくなるからあんまり言いたくないのだけど、それこそ、専門業者に頼ったらいいと思う。

お金をもらって家事をやっているプロは、やっぱりすごい。段取りをよく理解しているし、大事なお客様の家だから丁寧に掃除をする。

もし金銭的に余裕がなかったら、掃除好きの友人に頼るのもいいかもしれない。家族や親戚に助けてくれる人がいそうだったら、連絡してみてもいいかもしれない。

散らかった部屋を見せるのは恥ずかしいかもしれないが、あなたが散らかった部屋のなかで苦しんでいることのほうが、よっぽど問題なのだ。

「もうどうしようもない」と思っても、どうにかする方法は必ずあるので、希望を持って、考えるなり調べるなりしてみてほしい。

大切なのは、「もう戻ってこられない」ほど、自分を追い詰めないこと

かくいう私の家が、特別キレイなのかと言われれば、全然そんなこともない。

ベッドの横に積まれた本たちは、私の意思に反していつのまにか増えているし、冷蔵庫の中で未確認生物が誕生していることもある。

自分で言ってて呆れてくるけど、家事代行をやってた人間ですら、そんなもんである。

「でも、まぁ、それでもいっか」と思える気軽さも、生活と向き合ううえでは重要だ。というか、それでいいと思い込んでおきたいじゃないか。

大事なのは、何事もおいても「もう戻ってこられない」と思うくらいに自分を追い込まないこと。

そして、自分の状態がヤバいと察知できるよう、生活に基準を設けておくことだと思う。

片付けも生きるのも、まあまあめんどくさいことだが、何とかやっていこう。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
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