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あやとり家族二十六

第二の母、すずちゃん

祖母に育てられたすずちゃん。なんでも言うことを聞いてくれる環境で、愛情たっぷりに可愛がられた。

だから、自分の意見が通るのが当たり前。私には決して譲らない。
おやつを食べるときも自分が先に選ぶ。

「2人で仲良く食べなさい」なんて大皿におやつを用意された時は、早く食べないとすずちゃんに食べられてしまうという思いがあった。

だから口の中に入っている状態の時に、次のおやつを手に取って持っていた。
すずちゃんは、この食べ方すら気に食わない。

「だめだよ、手に持ったら」って食べ方まで言われる。食べることが遅かった私。当然すずちゃんの方が多く食べることになる。

うちは来客が多い家だった。しょっちゅう色々な人たちが来る。
みんな手土産を持ってきて、私たち兄妹にもおやつや洋服など買ってきてくれた。
それをもらうことが嬉しかった反面、私の好きな方は選べないという実感が湧く。

そして来客者の殆どは双子が珍しいことから、私たちを呼び付ける。
私たち双子を目の前にして「どっちがお姉ちゃん?」「どっちが背が高いの?」
など同じ質問を毎回される。うんざりだった。

そんな中でも信じられない質問をしてくる人も少なくなかった。
「どっちの方が頭がいいの?」
「どっちの方が足が速いの?」

こういう優越ある質問で比べられる。それを横で聞いている親達も返答しているから驚く。

同期の子たちと比べると私たちは明らかに小さかった。それでも比較されると、私の方が背が高く、すずちゃんよりも体重も多かった。

すずちゃんはそのことを理由に、私のことを「デブ」と事あるごとに罵るようになった。

喧嘩したときも「デブ」
洋服の取り合いをするときも「デブ」
おやつを食べるときも「デブ」

「デブじゃない!」って抵抗しても「デーブ、デーブ」って言ってくる。

だから私は、喧嘩をすることをやめて我慢することにした。
我慢していれば罵られないで済むから、傷つかないで済むから。

大人になってから仲良くなった時期もあったが、結局すずちゃんのお嬢様体質は変わらなかった。

ある日お金を貸して欲しいと言われ貸したが、未だに返ってこない。
返してほしいと何度か言ったが「少しずつだと悪いと思うし、一気には返せない。振込と直接渡すのとどっちの方がいい?」と頭の悪い返答をする。

だからもう関わらないようにした。

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