「魔王」BaseBallBearをしっかりと語る回 -200815
・今日は「ベボベ」こと『BaseBallBear』の話をします!(追いコンを振り返りながらそのバンドの話をするやつの5つ目です)
⑤BaseBallBear
1. short hair
2. yoakemae
3. The Cut
4. 魔王
5. PERFECT BLUE
・ついに5曲やってる!今まで時間の都合で3曲とかばっかだったのが少なすぎたのだが、この5曲の並びは正直めちゃくちゃ良かったなと我ながら思う。4人の意見を合わせたはずなんだけどまるで自分1人が独断で決めたかのような良さがあるな。
・BaseBallBearがどれくらい、世の中的にご存知な存在なのかがイマイチ掴めない。セールス的には2007年〜2011年くらいまでが一番売れてたはずなんだけど、テレビとかも全然出てないし、いわゆる『邦ロック』が好きな人ならまあ知ってるけど、興味がなければ名前をギリ聞いたことあるくらいなもんだろうか。
・アニメ「おおきく振りかぶって」OPの『ドラマチック』
アニメ「銀魂」OPの『Stairway Generation』
アニメ「図書館戦争」EDの『changes』
あたりが有名なところになるのかな、聞いたことあります?
・さっきからおっかなびっくり説明しているのは、BaseBallBearが自分の中で1,2を争うくらいに好きだからだ。好きで詳しいが故に客観的な見え方がわからなくなってしまって困っている。
・ベボベってどういうバンド?何が良いの?と聞かれてしまうとこれも正直返答に困る。これといった特徴が無い、『普通』のバンドなのが特徴なのかもしれない。
・いや、無理にでも言おうとすれば言えることはあるんですよ、よく言われてるのが『青春』というワード。
・なんだけどな〜〜それももちろん良さではあるけど一部でしかないというか、『青春』という言葉を聞いて「ウッ」となるような人にも刺さる曲がたくさんあるし、むしろそっちの方が好きだったりする。バンドの中心人物であるボーカルギターの小出祐介がそもそも根っからの『陽』の人物じゃない。
・そんな一言で言い表しがたいBaseBallBearの魅力を語るにあたって、この5曲は非常にちょいどいいバランスの5曲になっている。そういう意味でも良い選曲だったなと思う。ということで、1曲ずつあげていきながら、最終的にはなんとなくベボベの良さが伝わっている、そんな構成でいきましょう。
・PVの再生回数が一番多いのがこの「short hair」。かといってこの曲が一番の人気曲かと言われると微妙な気がするのは、再生数のうちの半分くらいが『本田翼がかわいい』を見にきているだけの可能性が高いからだ。
・ベボベの『爽やか系青春ラブソング』の看板曲と言っても良いかもしれない。
僕はいま僕のことだけ 僕がいま僕のことだけ
考えられればきっと傷つかないのに
なぜだろう 君のことだけ 浮かぶのは君のことだけ
呼び止めて振り向いた君の瞳に 思わず抱きしめそうになった
・『青春』なんだけど痛々しい距離感というよりはどこか近づききれないもどかしい感じの歌詞が個人的には心地いい。
・演奏もミドルテンポのシンプルなギターロックといった感じで、これを聴いて嫌いだと言う人は音楽に親でも殺されてるんじゃないかと思うくらい優しい曲。が故にこの曲のイメージしかないと『ベボベって無個性で普通なバンドだな〜』って思われちゃいそうなところが少し惜しいところ。
・「有名だし普通に良い曲」枠として1曲目にちょうど良い。人に薦めるにもまずは無難に差し出しておきたい名刺の1曲という感じ。
・「yoakemae」は先ほどのshort hairとは何もかもが真逆な曲。
・およそギターから発せられてるとは思えないシンセのような機械的なメロディに、ハイテンポでダンサブルなドラムと、苦しい夜の焦りとやるせなさを吐き捨てたような歌詞。牧歌的な雰囲気のshort hairと比べると、深夜の自室での孤独さと感情の昂りを感じさせるシリアスな曲だ。
東側に見える明るさに僕は怯えている 今夜も
不安ばかり積み上げた僕の心の中みたいだろう 隙間のない部屋
夜明け前は すべて放置で
夜明け前は 投げ出したくて
夜明け前は 尋ねたくなるよ 明日が、あるか
・この辺の歌詞とか意味もなく徹夜を繰り返してしまう自分には痛いほど刺さる。
・でもこの曲はやっぱり詞よりも曲かな。この当時まだリアルタイムで追えてはなかったんだけど、時系列で聞いていくとこの yoakemae が明らかに「やべぇの出してきたな」っていうターニングポイントの1つになってる。
・あくまでギターロックの枠の中で、こういう攻めた新しい音楽性を追求し続けてくれてるのもベボベの強い持ち味だと思う。
・3曲目の「The Cut -feat. RHYMESTER」は曲名にもある通り、ヒップホップグループのRHYMESTER(ライムスター)をフューチャリングに迎えたイカした楽曲。
・ロックとラップが綺麗に融合していて、コールアンドレスポンス的な要素もあり、ライブでも盛り上がる曲。曲の展開も先が読めない面白い構成をしていて楽しい。
・綺麗に融合とか言ったけど正直ラップに詳しくないので、「普段のベボベの良さそのままに、なんか違う要素が乗っかってきて、すごいイイ感じになってるぞ!」という感覚だな。アホっぽい感想。
・この曲は演奏も良いんだけどラップとの噛み合わせにより、歌詞に小出祐介の現代批評的眼差しが強く現れ出ているのが良い。一億総発信時代とも呼べるこの時代に対してかなりキレている。
今日も聞きたくなんかない小声が横行して
発表するべき叫びなんて存在しない
雲の上の交差点さ
・『発表するべき叫びなんて存在しない』とか良い言葉のチョイスだな〜〜
・最近は小出のラップ好きが高じてRHYMESTERのラップパートまで全部自分で歌っちゃうver.をライブでよく披露していて、これでも成立しちゃってるのがすごい。コピーしたのもこのver.でなかなか楽しかった。
・あとCutにちなんでワンカットで撮影されてるPVもかなりカッコイイので見てくれ...
・音楽性の幅広さと歌詞のエッジの効いた批評性、これも1つの特徴だな。
・4曲目の「魔王」はシングルでもないしベボベを代表するような曲でもないが、
僕ね、この曲の歌詞を書いてるときに泣いちゃったんですよ。歌詞を書きながら泣くなんて初めてだった。たぶん最初で最後だと思うけど。“あ、俺はこれが言いたくてミュージシャンやってたんだ”って思った。
・歌詞を書いた小出がインタビューでこう言ってるくらいに詞の良さが詰まってる1つの『結論』みたいな曲だと思う。
願うだけじゃ叶わないってこと そんなの知ってる
想うだけじゃ繋がれないってこと それもわかってる
光射すあの丘に 旗を立てた彼のように
なりたい でも なれない
それじゃ、僕じゃないから
見ないことにされてた 僕の世界が 君のことをずっと待ってる
聞かないことにされてた この声が
例え枯れてしまおうが ここで歌いつづけるよ
・自分と誰かを比べたり、誰かになろうとしたりしてしまうけど、結局は今、自分が座っているこのイスを王座にしてしまって、自らを『魔王』としてしまおう。っていう、平たく言えばそういう曲なんですけど、まあその無駄なく研ぎ澄まされた歌詞の一言一句が本当に良くって。
・最初は弾き語りに近い状態から、徐々に楽器が増えていき、最後にはBPMも上がって解き放たれていく感じが、こう心にきます。この曲を聴いて泣いたこともある。
・あとこれはもうかなり個人的な話なんですが、4年のサークル活動を経た想いの到達点的な意味でもこの曲がやりたかった。楽器未経験で入って、思うように演奏もできず、お歌も上手に歌えないし、言ってしまえばただの練習不足なんだけど、どうしても比べては負い目を感じるような日々だったのが正直なところで。でもそれでもなんとか最後まで続けてきて、こうして自分なりに満足できるようなところまでは来れたっていう想いが、この曲の詞と重なって、なんていうか、、、エモかったですね〜〜〜
・え???こんなに丁寧に言葉選んで最後の最後で「エモかった」ってマジ??しょうもなくない??恥ずかしくないの??
・陳腐な言葉ですけど「エモかった」がちょうどいい言葉だな。そう!こういう詞の「エモさ」もベボベの好きなところとしては外せない点です。
・最後は「PERFECT BLUE」。この曲も本田翼です。本田翼に始まり本田翼に終わる。ベボベはオセロなので実質全部本田翼です。
・この曲は詞とか抜きにして演奏だけで考えたら曲として一番好きかもしれない。爽やかさと疾走感。夏って感じ。ちょっと速くした「short hair」みたいな聴き心地の良さがたまらなく良い。
・歌詞ももちろん良いんだけどこの曲聴くときはあんまり歌詞を意識して聴いてない気がする。曲によって歌詞をすごい聴きたくなる曲とそうでもない曲ってありますよね。
・サビの「君は翔んだ〜」がかなり低い音程から入って、徐々にサビの終盤にかけて音程が上がっていく感じが好き。
・この曲は3月と9月と11月の計3回演奏したことがあるんですが、曲最後の歌詞の「もうすぐ 夏が来る」を歌うたびに『いや今じゃないんだよな〜〜』という気持ちになってしまうところだけがバッドポイントですね。
⑤BaseBallBear
1. short hair
2. yoakemae
3. The Cut
4. 魔王
5. PERFECT BLUE
・5曲の曲順としては、爽やかなパブリックイメージに合った「short hair」から始まり、楽曲の幅を見せる「yoakemae」エンタメの「The Cut」と挟み、エモさの詰まったマイナー曲の「魔王」から最後は爽やかに「PERFECT BLUE」で〆るという感じで、バランスが良かったなと思います。
・ただ、強いて言えばBaseBallBearの15年以上の活動の中でもかなり狭い期間から曲を選んでしまったというのはありますね。2011-2014までのアルバム2枚だけに収まっててそこはちょっともったいなかった。個人的にそのアルバム2枚が一番好きなので仕方ない。
・長くなってしまいましたが、そんなところで、だいたい伝わったでしょうか...
・結局ね、音楽なんてグタグタ御託を並べても聴いてもらわないと意味ないんでね、まあこれ読んで聴いてくれたらありがたいな、ってとこなんですけど。
・あ〜〜〜超書くのむずかった〜〜〜〜 音楽を語る語彙が少ね〜〜〜 では!
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