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自分史

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2023年5月の記事一覧

寂しい幼年期

寂しい幼年期

これまで書いてきたnoteとは正反対に、暗い現実を避けずに直面することにする。ぼくの幼年から少年の時期は、今から思うととても寂しい思いをしていたことを認めざるを得ない。父は日曜日も働いていてどこかに連れて行ってもらったことがほとんどない。中学の時友達になったU君は、あまりにぼくがどこへも行っていないのに同情して、夏休みに親戚のある生駒に連れて行ってくれたことがあった。小学校の間は、児童公園や近郊の

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学習参考書を読んだ日

学習参考書を読んだ日

無限にある本から一冊だけを選んで読むことの充足感について。ぼくの中学3年生の夏休みは、高校受験勉強に集中して毎日家にこもって勉強していた。確か5教科まとめた分厚い受験用参考書を一冊買ってきて、ノートを取りながら1ページずつ読んでいった。その一冊だけをとにかく読んでその中の練習問題を解いていった。どういうわけか集中できた。ラジオはつけていたと思う。ニッポン放送の深夜の「オールナイトニッポン」を欠かさ

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ぼくが病んでいた頃

ぼくが病んでいた頃

もう悲しくて苦しくて寂しかった孤独死寸前の時期を脱して何とか高校へ行っていた頃、多分必死で母はぼくを支えるのに大変だったと思う。どうしていいか分からず祖父に相談して大学病院の精神科で診てもらうのに付き添いをお願いしていた。しばらく精神安定剤を服用していた。ほんの少し意志すれば死ねるような気がしていた。母が作るご飯は食べていたのだろう。病むことは簡単だった。手当たり次第本を読んで、生活している日常の

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本の世界に目覚めたころ

本の世界に目覚めたころ

現実に目に見えるのは、本という活字の塊で背表紙にタイトルというものが付いている。何が書いてあるか、読むまでは謎の状態でいつまでもじっと控えている。中学を卒業して友人の家に遊びによく行くようになって、友人の部屋の本棚にそれらが整然と収まっていた。今から思えば、友人のご両親は我が息子にそれだけの愛のある教育環境を整えていた。私の両親はそのような配慮は思いつかない階級に属していた。でも本は読まなければた

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