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勤務シフトの自動化に挑戦した理由

「ほすぴタッチ」は、AI(人工知能)と数理モデルを活用して、介護・医療・ヘルスケア業界の複雑で独特な勤務シフトを自動編成するクラウドサービスです。

詳しいサービスの紹介は公式サイト[ hospi.ai ]に任せるとしまして、今回はなぜこのサービスを開発することになったのか、その背景をご紹介したいと思います。


とても忙しい医療・介護業界

少し考えていただければわかると思いますが、医療・介護福祉などの業界はとても忙しいのです。

単に忙しいというよりも、人様のお世話をする仕事ですからその責任や使命といったら、並みの大変さとは種類が違うかもしれません。

当社(シーライヴ株式会社)はもともと企業・大学・官公庁向けにウェブサイト構築やシステム開発を提供していました。そのお客さまの中に国立大学とその附属病院がありました。

ある日、担当の先生と打ち合わせ中にご相談がありました。

「この度、附属病院の勤務シフトを担当することになったが、私は病院で診察をしながら、大学で講義もあり、自分の研究もある。そして研修医の指導もしている。この上、紙とExcelで数百名の勤務シフトの管理をする余裕もないし、正直しんどい」というものでした。

もう当社もうなずくしかありませんでした。この先生は早朝から出勤して仕事をされるようなとても生真面目な方で、ある意味大学教員のお手本的な方でしたので、当時の当社の担当者も「かわいそうだ、なんとかしてあげたい」という気持ちがふつふつとわき上がりました。


当時は現在のような技術が未熟だった

その当時(2013年ごろ)は、AI(人工知能)技術やクラウド基盤もまだまだ未熟で、システム開発というと、一から作るしかない、非常に労力のかかる時代でした(いわゆる「オンプレミス」「オンプレ」と呼ばれるものです)。

したがって、それまで大学附属病院でやっていたExcelマクロによる勤務シフトの編成業務を、Web化するのが精一杯といったところでした。それでも多数の勤務シフトのロジックを全部プログラムに落とし込み、管理者や一般ユーザ向けの画面を用意して、データベースも構築しなければなりません。もちろんサーバ基盤も必要です。

そのような工程を経て、半年以上かけて、従来のExcel管理からWebサービスが誕生しました。Web化したおかげで、院内でスタッフが共同で閲覧ができるようになり、また、勤務シフトの個人間での交換もできるようになりました。

単純なようですが、それでも当時としてはかなり開発に苦労しました。その一方で、お客さまには喜ばれ、随分と業務効率がアップしました。


AIと数理モデル-min

時代が進んで

それから数年。私たちの業界の技術基盤は大きく変貌を遂げました。

・AWS(Amazon Web Service)に代表されるクラウド基盤は、従来のように高額で労力のかかるサーバなどインフラ構築業務を大幅に圧縮してくれました。

・AI(人工知能)もパッケージ化され、クラウド上で従来よりもはるかに手軽に導入できるようになり、また技術水準もまたたくまに伸びました。

・そして何よりもこれらの導入に要するコストが大幅に低下し、これまで躊躇していたようなシステム開発に気軽に挑戦できるようになりました。

・また、従来データ保護・セキュリティ上の観点から二の足を踏んでいた官公庁や医療機関もクラウドの長所を認識してくれるようになってきました。


こうした時代の遷り変わりを経て、かつて数年前に開発した勤務シフトの管理システムは、人間がわざわざ勤務シフトを編成しなくても、システムによる自動化の機運が一気に高まってきました。

かつての先生のお話だけでなく、日本中の介護業界・医療業界の人々が複雑な勤務シフトの編成や管理にまだまだ悩まされているはずだ、これらの人々にもっと楽をしてもらいたい、人様のお世話をするという本来の業務に集中して欲しいという願いから、2019年、新生「ほすぴタッチ」の開発プロジェクトがスタートしました。


まだまだ続く旅路

当社の取り組みはまだ緒についたばかりで、これからがむしろ旅路の始まりです。

カスタマイズ無しで、あらゆる組織・チームの独特な勤務ルールに対応できて、またそれらを現場の人々が苦労することなく簡単に登録できるようなしくみをブラッシュアップしていくことをはじめ、勤務シフトの管理・運用以外の付帯サービスも強化していく計画です。

いまはコロナ禍によって業界全体が疲弊しながら持ちこたえているような時代です。

だからこそ、介護業界・医療業界・広くヘルスケア業界のみなさんが毎日明るく元気に働いていただけるようなクラウドサービスを提供していくこと――もう、紙と Excel に泣かされる人を生み出さない――が当社のミッションだと考えています。

その旅路はまだまだ続きます。これからも「ほすぴタッチ」をどうぞよろしくお願い申し上げます。