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母と独身娘の恒例年末年始の攻防戦に備えて

あ、そろそろ新幹線のチケット取らないと。
すし詰め状態の通勤電車の中で気づく。

お正月とお盆は実家に帰らなければいけないような気がする。
帰らないとなんだかソワソワしてしまうのは親孝行というよりは、育った環境の刷り込みだろう。
良い家柄というわけでもないが、本家と分家というような呼び方が残る田舎なので、お正月には毎年「おばあちゃんの家」へ親戚が集まっていた。
小さい頃のお正月といのは、いとこと遊んだり親戚の叔父さん叔母さんにお年玉をもらえる日という感覚だった。
蓬莱飾りの甘栗をつまみ食いしたり、昆布だし白みそに丸餅、鰹節をまぶしただけのシンプルなお雑煮や、スープみたいな感覚の昆布茶も小さい頃から好きだった。

そんな楽しいはずのイベントだったのに、30手前で6年付き合った彼と破局をしてから実家に帰るのがおっくうになっている。
そう、いつあの話題を出されるか。
なんと言ってかわそうか、攻防戦に向けて思考を巡らす。
居心地が良くないのだ。思い返せば20代後半にはチクチクと攻撃は始まっていたけれど、当時の私はこの人と結婚するだろうしー、と余裕があったのでダメージが少なかった。

上の兄と姉はすでに結婚し子供もいる。
孫が3人いるのだから満足してほしいけれど、母からするとそれとこれとは別らしい。どこどこの誰の娘さんに2人目3人目ができたとか、離婚して帰ってきたとか、そんなゴシップが飛び交う田舎で暮らす母からすると、結婚もせず東京で暮らす私が不可解であり、心配でならないらしい。
娘の結婚が決まった!と周囲に言いたい気持ちもあるだろう。
「まぁ今はいろんな生き方があるし結婚せぇへん人も増えてるらしいしなぁ」と理解あるような前置きをした後に「で、いい人おらんの?」と続く。

私だってしたいと思う人がいればしたいけれど、
結婚を目的とした結婚はしたくない。
そう思っているうちに月日が過ぎてしまっただけだ。

「結婚して子供を産んで家族を作る」
それが幸せの形だと思っている母の価値観を責めるつもりもないし
そう思ってくれているのは娘の立場からするとありがたいことかもしれない。両親は決して仲良し夫婦ではなかったので、よくケンカもしていて離婚も考えたらしいが、子供がいてよかったと言っていたことがある。

きっと母の言う「いい人おらんの?」は
「大切に思う人や頼れる誰かはいるのか?」という意味なのだろう。

私は自分で生きていくから心配しなくていい。
けっこう今楽しいし、今後も何とかするから大丈夫と安心させてあげなければいけないのだが、いざ話題を出されると頼むからほっといてくれ!という気持ちになってしまう。
きっと今年もどこかのタイミングでチクっと刺してくるのだろうな。
結婚のタイミングは急かされるのではなく恋人と相談して決めたい。
全くそんな話は出ていないけれど・・・。

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