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比較的悪くない記事

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習作の内、比較的悪くない出来の記事
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我が理想のシャングリラは美しいか

街の写真を撮るのが好きである。 カメラ好きの人には怒られるかも知れないが、 当方、一応一眼を所持しているものの、機材への拘りは殆ど無い。 只、スマホでは味気無いので、気分を乗せるために一眼を抱えているだけのことである。 街を撮るのは、近くて安く済むという経済的理由もあるのだが、 一番はやはり街という場所が好きなのだと思う。 特に、街の陰に隠れがちな汚い部分が好きである。 それは汚れた路地裏であったり それは乱雑に入り組んだ配線であったり それは場違いに置かれた自販機であっ

眠る、落ちる、往く。

眠れない夜がある。 特に理由があるわけでは無いが、 どうにも体勢が定まらない。 詮無きことで思考が止まらない。 思考と言っても、同じところをくるくる回り続けているような、振り子の如く行ったり来たりを繰り返すような、徒に実のない思考である。 こんな時には、いつもと反対を向いて寝ることにしている。 要は北に枕を向けてみる。 言わずと知れた、釈迦入滅の方角である。 仏教文化が根強く残る日本においては、 北の枕は死を忌む不吉の方角とされ、一種の禁忌となっている。 仏となった遺体は煩

日本殺人巡礼という旅

日本において、年間およそ千件の殺人事件が検挙されている。 殺人者とは異常な存在である。 彼らは我々常人の理解の範疇を超えた異常性を抱えていて、 我々には到底理解できない行動原理に基づいて人を殺す。 兎に角、我々常人とは別種族に属する人間である。 と、思いたい。 。。。 八木澤高明著「日本殺人巡礼」を読んだ。 本書は日本で起きた10の殺人事件に関する現地取材をまとめたルポタージュである。 もともと著者の八木澤氏は週刊誌のカメラマン出身で、その後フリーのライターとして

どうでもいいとか、面白いとか

どうでもいい、面白いと感じることについて。 私はどうやら人よりも色々なことがなんでもいいらしい。 犬が好きだし、猫も好き。 きのこの山が好きだし、たけのこの里が好き。 晴れた日は気持ちがいいし、雨の日は気持ちが落ち着くし、曇りの日は涼しくて過ごしやすいし、雪の日は気分が高揚するし、霧の日の視界の狭い感じも上がる。 春が好きで、夏が好きで、秋が好きで、冬が好き。 日曜日が好きで、月曜日が好きで、火曜日が好きで、水曜日が好きで、木曜日が好きで、金曜日が好きで、土曜日が好き。 食

蝉の断末魔

九月上旬の午後七時を過ぎた頃だった。 移り行く街の景色は容赦なく、今年の夏も残り僅かと喚く。 秋の虫が鳴いている。 どこからともなく金木犀が薫っている。 もうすぐ夏が終わってしまうという特に謂れのない焦りが胸中を支配する。 徒に流れる時間の速さに焦燥し、 自身の進歩の無さに憔悴する。 でも、まだ夏は終わっていない。 未だ厳しい残暑を盾に、私は醜く夏に執着する。 コンビニで弁当を買って、 大学に戻るところだった。 信号が青に変わり、横断歩道を渡る。 横断歩道の半

漢字に内包される情景の奥行というか、ダイナミクスというか。

書き言葉について。 文字を書くとき、言葉は出来る限り漢字で書くようにしている。 日常生活に於いては常用漢字以外はひらがな表記(ここはひらがなの方が意味が通じやすいと判断したためひらがなのまま)が推奨されている。 特に新聞においては新聞常用漢字表によって使用できる漢字が決められており、其処に含まれない漢字はルビを振る、またはひらがなに直すという処置が必要となる。しかし括弧書きで読み仮名を振るのは文字数が嵩む為、掲載面積が限られた新聞という媒体においては不利に働くことが多いた

擬人化の相性

擬人化について。 遅ればせながらウマ娘プリティダービーを視聴した。 ネタバレは極力避けるが2期のラストはもうボロ泣きだった。 ウマ娘とはその名の通り、競走馬を萌え擬人化したマルチメディア作品である。容姿、体格だけではなく性格に至るまで、実在の競走馬の特徴が忠実に反映されている(らしい)。史実に基づくマニアックな小ネタがあったりで従来のゲームファンだけのみならず、古参の競馬ファンも楽しいギミックがいろいろと仕組まれている(らしい)。 ストーリーとしてはギスギスする展開があ

賽の河原

常世と現世を隔てる三途の川、 その河原を "賽の河原" という。 賽の河原では親に先だって死んだ子供たちが、 黙々と小石を積んで親を供養している。 やがて彼方から鬼がやって来る。 なんだ、この歪な塔は。 こんなもので供養になると思っているのか。 親より先に死んだ親不孝者が。 この程度の事も満足にこなせない。 貴様の両親は嘆いているぞ、 何故こんな子を産んでしまったのかと。 貴様の両親は恨んでいるぞ、 あんたなんて産むんじゃなかったと。 お前はなにも生み出さない。 誰もお前

たのしい大学体育 タグラグビー 序章

大学時代の「タグラグビー」の授業についての話。 大学3年の後期、体育の単位がまだ残っていた。 体育の授業には人数制限があり、抽選によって履修の可否が決定される。基本的に1年生及び未履修者を優先的に受け入れるため、2年次以降の履修は急に狭き門となる。通常は1コマ分の履修で充分なので特に問題にならないのだが、私は教職過程を別にとっていた為他の人よりも1コマ余分に単位が必要だった。毎学期、必修科目の穴を見つけて抽選に応募していたのだが、上記のシステムにより遂にここまで2コマ目の履

夜の札幌。寒空の下聴いた、あの路上ライブは

学会で行った札幌で、先輩と路上ライブに通い詰めた話。完全版。 寒空と言いつつ時期は九月中旬です。 夜の札幌、寒空の下聴いた、あの路上ライブは。前編 夜の札幌、寒空の下聴いた、あの路上ライブは。後編 9月中旬に札幌で学会があった。 初日の午前中が発表だったので、前日の夜に札幌に乗り込む。 当初予約していた成田発のpeachが当日、資材の搬送によって欠航なり、 急遽ANAを取り直したというアクシデントがあった。 旅費はこちらで立て替え、後日学校から支給されるシステムだ

映画館における嗅覚

映画館の匂いについて。 久しぶりに映画館に行った。 普段あまり映画を見ないので、映画館に行くのも1年振りくらいになるだろうか。 地元は自力で行ける範囲に映画館が無く、両親もあまり映画を劇場で見る人ではなかったこともあり、元々映画館に行く習慣が無かった。 そういうこともあって、映画館の映写室に入る瞬間、 独特の高揚感を伴う緊張感を感じる。 これから映画を見るに相応しい、 悪くない緊張感だ。 しかしこの日は。 映写室に入った瞬間も何も感じなかった。 なんだろう、、、

ゆりちゃん

特に親しくなかった同級生に関する唯一の思い出。 先日実家に帰ったとき。 同級生のゆりちゃんに彼氏がいるらしいと母から聞かされた。 (母は役場勤めで、地元の友達の近況を私よりも知っている) 特別の興味はなかったのでふぅん、そうなんだ、と流した。 ゆりちゃんとは保育園から中学まで一緒だったのだが、 これといった接点はなく、 話をした記憶もほとんど残っていない。 強いていうなら猫みたいな喋り方をする子だったというくらい。(別の友達も言っていたのである程度は共通認識だったのだろ

宮崎食事録

日記の書き起こし。 四泊三日で宮崎に行った時の外食まとめ。 学会の数少ない楽しみ。 初日ー昼飯 宮崎駅_昼_栄養軒_ラーメン_650円 発表は明日だが、ホテルのチェックインは3時からなので、会場を確認したのちに宮崎神宮を観光。帰り道でいい雰囲気のラーメン屋を見つけたので昼食にする。ラーメン650円。学生ラーメン550円を頼もうとしたが、中高生限定らしい。赤面。学生証の確認を求められたのでまだ中高生で通用するのか、或いは中高生的な幼さが残ってしまっているのか。 ラーメンの方

愛と性的倒錯

愛の形について。 前置き~前略~ たくさんの空回りを繰り返して 何度も何度も傷ついて でも僕はまだいろんな人と出会いたいんだ 男も女もじいちゃんもばあちゃんも 仕事も家柄も関係なく 愛し方なんて千差万別 君の愛で僕は強くなる ~中略~ 愛の形は人それぞれ ~後略~ 「i」 ベリーグッドマン 当方、ベリーグッドマンを知りませんし、 この歌も全然知りません。 愛の形は人それぞれ、十人十色の愛の形がある。 本題の引き合いに出すために、そんな感じの歌詞を探していたら、 この歌詞