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音楽演劇「冠婚葬祭」居心地の良さ


稽古後の夜の電車


昨日はほしぷろの1月公演に向けた公開制作もあり、誕生日だったの荻野くんとのご飯会には行かず、いつもより早めに家に帰った。

帰りの電車は1箇所目の乗り換えまでは満員電車でいつものように虚な目をした人たちを眺める時間だった。

しかし、乗り換えをしたあとの電車の中は適度な隙間があり、気持ちも楽に乗っていられた。

そこでふと周りを見る。

人の顔や動向を見てみる。

満員電車のときと違い、人々の目や表情が虚ではない。何かから避けるようスマホを見ておらず、楽しそうに画面を見ている。しかし集中が画面にだけ向かっているわけではない、周囲へいつでも気を配れるだけの集中は向けている。
楽しそうに喋る二人組もちらほら。
窓の外をぼんやり眺める人も。
パソコンで残作業をする人もいる。

日本の映画で夜の電車のシーンを見る時、人々は総じて他者への配慮はなく、登場人物たちは物思いにふけり、まるで存在していないかのように乗車する。

しかし、現実はどうだ。

夜の電車の中で、人々は思い思いの時を過ごしているではないか。
僕は呆気に取られ、読んでいた本のことを一時忘れてしまっていた。
経験と体験を別にすることの意義について本で読んでいたばかりだったからか、僕は今までの経験でいろんな現状を予測していたことに気がついた。

この体験をすぐに経験にせず、体験を体験として抱えておけば、また居方が変わるかもしれない。その感覚を覚えた。

そして今、電車は空いている。
午前中のゆったりとした電車内の人々の表情もまた軽やかだ。思い思いに、何かを避けるようにではなく、過ごしたいように過ごしている。

劇場の居心地


ふと劇場のことを考える。
日本の小劇場は客席をギュウギュウにして入れられるだけ入れることがままある。
おそらく海外でも似たことがあるのだろうが、湿気大国日本でのそれは、よほどお祭りのような演目(僕はすぐにテント芝居や野外を思い出すが)でない限り、ジメジメに集中してしまうかもしれない。

現実問題、採算が取れないことや、俳優が観客を呼ぶことが俳優の仕事と考えられているような現状では、観客の過ごし方についてはあまり考えが及んでいないとは思う。

(僕は観客ゼロでの芝居をしたことも、1人や2人相手の芝居をしたこともある。今でも100人呼べるかどうかは怪しい。俳優としてはその程度ということだ。だから、そんな僕がこんなことを言っても説得力のかけらもない。これまで出演依頼をくれたみなさん、ごめんなさい。)

だが観客が能動的になれるような居心地の追求は予算が許される限り考えている。

ほしぷろでやる時は、撮影自由(撮影タイムの提示)、途中入退場あり、立つのも座るのも自由。飲食もどうぞご自由に。僕や周りの人の命や自由を奪わなければ、1人の人間の自由意志を尊重する。
観客が舞台に上がることも、作品中にコミュニケーションを取ることも厭わない。

今回の音楽演劇「冠婚葬祭」の居心地の良さの追求はなかなかなものだと思う。
これは劇場に来てもらわないとなんとも言えないが、来てもらえればわかる。

ワンドリンク無料。撮影もできる。自分の意志で選び取れることがたくさんある。ゆったりと、けれども時には激しく見ることだってできる。その余地は残されている。僕に話しかけることだって構わない。僕も話しかけるかもしれない。せっかくなら顔見知りぐらいにはなりたいから。ただの人間としての欲求が僕にもあるから。

どう楽しむかは人それぞれ。
他者への尊敬を持ち、それぞれの意思で作品を楽しんでください。

見る前に作品のことが、エリア51のことが知りたい人々👥へ

SNSを見てもらえればわかるが、たくさんの応援コメントや、稽古動画が上がっている。これだけでもエリア51の注目度の高さは窺えるだろう。
さらにいろんな人との対談も行われている。
神保くんらの思いをどうか見逃さないでほしい。

音楽好きにも、演劇好きにも、ダンス好きにもきっと満足してもらえる。けれどもこれらはやはり見てもらわないと共有できない。それが劇場という場所なのだ。

どうか、見に来て、体験してほしい。
そしてそれをどうか経験にせず、言葉にできない体験としてとっておいてほしい。

ケに居場所のない私にとって
この場所だけは
かけがえのない私だけの居場所
それが、広場なんだ

公演にまつわるいろいろ

公演情報

音楽演劇「冠婚葬祭」

作・演出:神保治暉
音楽・演奏:エリア51

俳優:
星善之(ほしぷろ/旅するたたき場)、熊野美幸(ぺぺぺの会)、中嶋千歩、高田 歩、荻野 未友治

ゲストパフォーマンス:
7/25 19:00の回......リリセ with 仲間たち
7/26 19:00の回......上本竜平
7/27 17:30の回......さかさ舟
詳しくは特設サイトへ!
 
公演スケジュール:
7 ⽉ 25 日 (木) ☽19:00
7 ⽉ 26 日 (金) ☀︎13:00 / ☽19:00
7 ⽉ 27 日 (⼟) ☀︎13:00 / ☽17:30
7 ⽉ 28 日 (⽇) ☀︎13:00
☀︎...終演後も、客席内でゆっくりお過ごしいただけます
☽...終演後、ゲストパフォーマンス(30分ほどの予定)があります
※受付開始・開場は、開演の60分前を予定しております
※本編の上演時間は100分~120分を予定しております

チケット料金:
一般 3,500 円 (税込/自由席)
U35 3,000 円 (税込/自由席)
U22 2,500 円 (税込/自由席)
すみだ割 500 円 (税込/自由席)
※すみだ割の対象者:墨田区に在住・在勤・在学中の方
※当日券は全券種500円プラスの料金になります

🎫チケットサイト

🌏特設サイト

🗒️応援コメント一覧

円井わんさん(俳優)
徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)
綾門優季さん(キュイ)(劇作家)
鈴木はじめさん(妖精大図鑑)(音響/映像)
飯塚うなぎさん(妖精大図鑑)(脚本/美術)
永野百合子さん(妖精大図鑑)(演出家/振付家/ダンサー/俳優)
おにぎり海斗さん(オドリバ/かまどキッチン/横浜中華街BOYZ)(舞台音響家)
佃直哉さん(劇団かまどキッチン)企画制作
丘田ミイ子さん(文筆家)
木原実優さん(吉本興業)(俳優)
江上龍さん(Sijima)(バンド)
槙尾ユウスケさん(かもめんたる)
黒澤美澪奈さん(アンドラフ)(俳優)

📽️稽古動画(一部)

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