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音楽演劇「冠婚葬祭」僕と祭・葬の話

祭事との思い出

町外れの一軒家に住んでいた僕にとって、祭りとは他人事だった。
学校の文化祭とかはもちろんやってきたが、町のお祭りとなると、お囃子に参加することも御輿に参加することもなかった。いつも来場者だった。

だからいつも遠くの存在に感じられた。
自分は型抜きをして、たまたま会った友達と喋って。けど、その友達は僕よりも仲の良い友達とどこかに行ってしまう。

僕は小さい頃から、とても仲が良い人がいなかったから、祭りに一緒に行く友だちなどはもちろんいなかった。親と行き、1人で自由に遊んでいた。
時折現れる音楽家たちの演奏には心を躍らせた。身体が反応し、身体を動かしたいと思えた。けど、その時はそれをやれなかった。

祭りは、嫌いだった。と思う。
1人を感じるから。
でもあの時の祭りへの嫌悪感は、憧れだったのかもしれない。いつか自分もやってみたいという。だが、僕は集団を動かすのが本当に苦手だから、今でもやっぱり1人で祭りを作ってしまう。

海外にいた時、街中でウェディングパーティーの場に遭遇した。こじんまりとした、けれども本当に幸せそうなパーティーだった。型にはまっていない、自分たちの幸せのためのそれだった。それもまた憧れる。

今、僕は、祭りを作っている。
僕としては珍しい、集団の中に入り、作っている。
稽古を見ていると祭りとはこうやって作っていくのかと勉強になる。やれるかはわからないけど、勉強はしないと。

僕はちゃんと祭りを作れるか。
ずっと外側にいた人間だったから、その人間なりの祭りを作りたい。

葬式の思い出

母方の祖父が亡くなったのが5つぐらいのとき。
亡くなるということが僕には分からなかった。
ただ、燃やされていくことは怖かった。そんな記憶だ。骨だけになった祖父からは祖父の魂を感じることはできなかった。
一番強烈に残っているのは、お坊さんが読み上げたお経だ。それ以降、母方の実家に行くたびにお経を読み上げていた。漢字の読み方はわからなかったはずだが、読めると思った漢字のところを読み上げ、お坊さんの読み方を記憶を頼りに真似していた。
別に特別なことではなかったが、僕にとってもしかしたら祖父と繋がるための一つの儀式だったのかもしれない。

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

人の死にまつわることだが、母方の祖母が亡くなった時、しばらく遺体が棺に入った状態ぇ実家に安置されていた。その時の息を引き取った祖母の姿は僕が人生の中で見た最も美しいものの一つだ。
この世で必死に生きた人の死に体がこんなに美しいのかと呆気にとられた。僕はその姿に憧れている。死んだ時、このぐらい美しくありたい。

死に体の美しさについては、太宰治の「メリイ・クリスマス」のモデルになった林聖子さんもそんなことを話してくれた。
僕が劇団時代にうちうちで作った一人芝居「メリイクリスマス」を上演した後に、モデルとなった林さんに会いに行くために、林さんが当時経営されていたバーに遊びに行ったことがある。
そこで「メリイクリスマス」を劇にしたことを伝え、太宰についての話を聞かせてもらった。

その時の話はわりとよく覚えているのだが、その中でも強烈だったのが、太宰の死に体の話だった。

調べればわかることだが、実際に見たという林さんから語られるそれは色合いが違った。

太宰の顔は本当に安らかだったと。

太宰のことなど何も知らないが、それでも話で聞いた彼の逸話や読んだ作品から、なんとなく苦しまずに亡くなってそうだなと感じてしまった。

葬には人の生き様が投影される。

そんな気がしている。

僕はどんな最期を迎え、どんな顔をするのだろう。
僕自身がそれを確認できないのが悔やまれる。

見る前に作品のことが、エリア51のことが知りたい人々👥へ

SNSを見てもらえればわかるが、たくさんの応援コメントや、稽古動画が上がっている。これだけでもエリア51の注目度の高さは窺えるだろう。
さらにいろんな人との対談も行われている。
神保くんらの思いをどうか見逃さないでほしい。

音楽好きにも、演劇好きにも、ダンス好きにもきっと満足してもらえる。けれどもこれらはやはり見てもらわないと共有できない。それが劇場という場所なのだ。

どうか、見に来て、体験してほしい。
そしてそれをどうか経験にせず、言葉にできない体験としてとっておいてほしい。

ケに居場所のない私にとって
この場所だけは
かけがえのない私だけの居場所
それが、広場なんだ

公演にまつわるいろいろ

公演情報

音楽演劇「冠婚葬祭」

作・演出:神保治暉
音楽・演奏:エリア51

俳優:
星善之(ほしぷろ/旅するたたき場)、熊野美幸(ぺぺぺの会)、中嶋千歩、高田 歩、荻野 未友治

ゲストパフォーマンス:
7/25 19:00の回......リリセ with 仲間たち
7/26 19:00の回......上本竜平
7/27 17:30の回......さかさ舟
詳しくは特設サイトへ!

公演スケジュール:
7 ⽉ 25 日 (木) ☽19:00
7 ⽉ 26 日 (金) ☀︎13:00 / ☽19:00
7 ⽉ 27 日 (⼟) ☀︎13:00 / ☽17:30
7 ⽉ 28 日 (⽇) ☀︎13:00
☀︎...終演後も、客席内でゆっくりお過ごしいただけます
☽...終演後、ゲストパフォーマンス(30分ほどの予定)があります
※受付開始・開場は、開演の60分前を予定しております
※本編の上演時間は100分~120分を予定しております

チケット料金:
一般 3,500 円 (税込/自由席)
U35 3,000 円 (税込/自由席)
U22 2,500 円 (税込/自由席)
すみだ割 500 円 (税込/自由席)
※すみだ割の対象者:墨田区に在住・在勤・在学中の方
※当日券は全券種500円プラスの料金になります

🎫チケットサイト

https://t.livepocket.jp/e/farewell

🌏特設サイト

https://www.area51map.net/farewell

🗒️応援コメント一覧

円井わんさん(俳優)
徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)
綾門優季さん(キュイ)(劇作家)
鈴木はじめさん(妖精大図鑑)(音響/映像)
飯塚うなぎさん(妖精大図鑑)(脚本/美術)
永野百合子さん(妖精大図鑑)(演出家/振付家/ダンサー/俳優)
おにぎり海斗さん(オドリバ/かまどキッチン/横浜中華街BOYZ)(舞台音響家)
佃直哉さん(劇団かまどキッチン)企画制作
丘田ミイ子さん(文筆家)
木原実優さん(吉本興業)(俳優)
江上龍さん(Sijima)(バンド)
槙尾ユウスケさん(かもめんたる)
黒澤美澪奈さん(アンドラフ)(俳優)

📽️稽古動画(一部)

https://x.com/area51_tw/status/1812079680977314240?s=46&t=1DMWLGzYDbtg89ZjWSDwkQ

https://x.com/area51_tw/status/1811354760420745279?s=46&t=1DMWLGzYDbtg89ZjWSDwkQ

https://twitter.com/area51_tw/status/1810267586279420304?s=46&t=1DMWLGzYDbtg89ZjWSDwkQ

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