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おとな気なく思い切り嫉妬して拗ねた話

何人かで小説を書いてみる遊びをしていた。

というのも、会社の同期に小説を書き続けているのがいて、
今月の公募ガイドに「3日で書ける小説キット」が載っているから、書いてみてはどうかと言われたのだ。
作品を作ったことはないとはいえ、本読むのは好きだし、なんとなく人より感受性も豊かな気がする。
ということで、自信満々で小説を書くことにした。

自分の実体験をテーマに決め、
ただ事実の説明にならないように、いかに小説っぽく見せるかに苦労しながら書き上げた。
我ながらよくできたように感じた。
実際、周りの人の評価も高く、よくできている、小説よく読んでるのがわかると言ってもらった。

この時点で私は天狗である。
普段文章描かないけど、やはり文才はあるのでは?
そういえば小学生の時に一度だけ作文で賞をとったことがある。
このまま応募したらいいところまで行けるんじゃ・・・・・・
あたりまで考えていた。
本当におめでたい性格だと自分で微笑ましくなってくる。

調子良く行ったのはここまでだ。

〇〇さんも小説書いてみるのどうですか?と自ら誘った〇〇さんが書いた小説によって、私はひねくれロードを突っ走ることになる。

元々その人は音楽好き、ホラー好きで、ちょっとした言い回しや文章になんとなくセンスが光る人だった。
意味はよくわからないけど、雰囲気はもりもりでちょっと面白い、みたいな。

その人が最初書いてきた小説は、小説というよりはどろどろに濃い短文の集まりだった。
この時点では、まあね、小説読んでないと書くのは難しいよね、と完全上から目線の私である。

問題は、小説好きの同期に指摘をもらって書いてきた2作目だ。

まず私は1作で満足したところ、書くのって結構楽しいねと1日で2作目を作成。
この時点で、楽しいのか?いい感じに書こうが先行しすぎて楽しさそんななかったなそういえば、と焦り始める。

そして中身。

小説を書いている同期も他の人も大絶賛だった。

叙述トリックを使ったちょっとしたどんでん返しの話。
特筆すべきは内容ではなく、各所に散りばめられた退廃的な雰囲気のある比喩と改行がほぼなくてもすらすら読めてしまう文章の作り方。

これは自分に書ける物ではないと思った。

認めたくないという気持ちがあるからか、叙述トリック部分も完全に理解し切ることができず、的外れな質問をぶつけて粗を見つけてやろうとした。
理解できない、と言って、読み解くのを諦めるふりをした。

私の書いたものの方が小説っぽいじゃん。

あんなに読みにくい内容のものがなんでそんな評価されてるの。

不愉快なことを考えなくていいように、ラインの通知が見えないようにスマホを裏にして置いた。


少し時間が経って当時の自分を振り返る。

いや、めちゃめちゃ自分本位だし天狗だし調子乗ってるし拗ねてるな?????
30代もそろそろ見えかかっているこの年になって、こんなにも人を僻むことがあるんだっていう新しい発見。

自分は得意だと思っていたもので人に負けるの、本当に嫌なんだな。
逆にいえば、小説を書くことが得意である自分、を望んでいるということなんだよね、きっと。

今回は公募ガイドがきっかけになった突発的な企画だったけど、
「小説を書くこと」にはもう少し向き合ってみてもいいのかも。

おとな気なく思い切り嫉妬して拗ねた話、でした。

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