あなたは誰かの大切な宝物
初めてのnote。
#キナリ杯 の賞金に目がくらんだことは言うまでもないが、書くからにはどこかの誰かのお役に立つような情報をお届けしたい。
さっそくだが、私の人生で興奮と感動と試練と笑いが一気に襲ってきた出来事がある。
そう、それは「出産」だ。
これを超える経験は今後の人生でそうそうないだろう。
私は1年9ヶ月前に帝王切開で娘を出産した。
お察しの通り、我が娘は現在1歳9ヶ月だ。
可愛いという言葉ではちょっと物足りないくらい、可愛い。
今回は娘を自慢するためにnoteを書いてるわけではないので可愛い自慢は一つだけにしておくが、おにぎりの事を「ぎりぃ~」と言う。
もうため息しか出ない。可愛すぎて。
そんな可愛い娘が産まれた時の事を書いてみようと思う。
なぜかと言うと、当時は毎日が必死すぎて気付いていなかったが、思い返してみれば7泊8日の入院期間中、ちょいちょい首をかしげるような出来事に遭遇していたからだ。
私の記憶の整理と共に、この殺伐とした世の中を少しでも温かいものにしたい。
「お下の毛を剃らせてください」事件簿
なんと言ってもまずこれだ。
入院手続きを済ませて病室に案内されてる途中に言われた言葉だ。
そう、まだ病室に着いていないのである。
マニュアルに書いてあるのか?
お下の毛は開口一番に!とか。
いやいや、病室に向かう途中に話す内容として相応しいものは他にもたくさんあっただろう。
今日はいい天気ですね、とか、あなたの名前とか。
しかしね、当時の私はやっと我が子に会えるという興奮と初めての入院でかなり舞い上がってしまい、なんとも軽やかな返事をしたと記憶している。
ちなみに病室に着いてからは別の看護師さんから書類のチェックや今後の流れなどの説明があったため、
実際にお下の毛を剃り始めるまでには1時間以上かかったのだが、この間にも何度か、
「お下の毛、いけそうですか?」
と催促された。
きっと真面目な人なんだと思う。
「臨月の妊婦なのに膝を抱えて背中を丸めろ」事件簿
これは帝王切開を受けた人ならピンとくる方もいるのではないだろうか。
帝王切開は手術なので、当然麻酔を打つ。
その麻酔を打つ場所が背中ときた。
横向きで寝て出来る限り背中を丸めてくれ、とおっしゃる。
いや、お腹パンパンに出ているから、物理的に無理ではないか?
臨月やで?一応試してみるけどな?
まあ、当然ながら私一人では先生の納得のいく丸め方はできず、見かねた他の先生たちが何人かがかりで私の身体を丸めに掛かってきた。
想像してほしい。
全裸の妊婦が数人に囲まれて、身体を折り畳まれてる様を。
「立ち上がる勇気が出ない」事件簿
赤ちゃんとの感動のご対面のあとは、ひたすら苦難が続くこととなる。
まず、寝たきり。
身体中にいろんな管。絶食絶水。手術の影響による高熱。
水が飲めないことがダントツに苦しかったなぁ。
もうどうなってもいいから飲んでやろう!って何回か思ったけど、そもそも動けないから達成されるわけもなく。
で、なんとか一夜をやり過ごして朝になって看護師さんがやってきて、待望のお水を浴びるように飲んで、さあ何をするのかって言ったら、
「立つ練習をしましょう」って。
生まれたての子鹿が一瞬頭を駆け巡ったけど、まあ、ベッドに腰かけた時に言葉の意味を理解したよね。
立ち上がる勇気が出ない。
まったく出ない。
1ミリも出ない。
このまま立ったら200%倒れるから止めとけ、と私の中の誰かが強く訴えかけてきた。
ほんの18時間寝たきりだっただけなのに、今までの立ってた実績どこいった!?ってくらい何かが初期化されてた。
ちなみに子鹿の状態から3時間後には赤ちゃんのお世話開始。
ブラック企業にもほどがある。
「腕と手の甲に点滴、背中に痛み止めのポンプ」事件簿
あんまり医療的な生々しいことを書いて離脱されてしまうと悲しいので、極力マイルドな表現でお届けする。
術後、背中の管を経由して痛み止めの注入が継続されていた。
これは私にはとてもよく効き、お腹の痛みはほどんど感じなかった。
それより不快だったのは、腕と手の甲に刺さってる点滴と、背中のポンプだ。
指先にパルスオキシメーターもいる。
いや、これらは必要だからやってるわけで、中止する事はあり得ない。
ただ、おわかりいただけるだろうか。
邪魔なのである。
これだけ管だらけだとトイレに行く時が大変で、
点滴は点滴スタンドと一緒に移動すればいいけど、背中のポンプがね、
背中からぶら下げて歩くわけにもいかないから、
ポンプをきんちゃく袋に入れて、そのきんちゃくを首からぶら下げて歩くの・・。
ちょっと何言ってるかわからないと思うけど、
とにかく、一人で歩いてることが奇跡としか言えないような出で立ちなのである。
トイレの鏡に映る自分が健気すぎてマジで泣けた。
「痛み止めがカロナール」事件簿
背中から注入される痛み止めは術後2日目の夜に切れ、そこからはもう耐えるしかない。
まあ、痛いよね。だって、お腹切ってるんだもん。
少しでも痛みを紛らわせたいと思った私は、痛み止めの薬をもらうことにした。
看護師さんがくれたお薬は、カロナールだった。
ピンと来ない方もたくさんいらっしゃると思うので簡単に説明すると、
赤ちゃんでも飲める優しいお薬だ。
お腹を切った痛みを、優しいお薬で散らせ、と。
ブラック企業にもほどがある。(2回目)
まあ、これに関しては授乳があるので(※授乳中は基本的に薬飲めない)当然の対応だとは思うが、もう二度と痛み止めが欲しいとは言わなかった。
番外編
あなたはこんな質問をしたことないだろうか。
「帝王切開、痛かった?」
これは近年稀に見る雑な質問である。
まず、あなたは何に対しての痛みを知りたいのか。
まさかとは思うが、お腹を切ってる時の痛みを聞いてるわけではあるまいな?
もしもお腹を切ってる時に痛みを感じたのなら、これは大事件である。
麻酔が効いていないのだから。
まさか、帝王切開は麻酔なしで行われてると思ってるわけではあるまいな?
当然、麻酔を打つわけで。
打たなかったら気絶しちゃうよ!
ではなぜ、帝王切開と聞くと「痛かった?」と聞いてしまうのか。
それは術後にとんでもない痛みがあり、それが脈々と語り継がれているからだと私は思う。
なので、今後は帝王切開した相手に対しては、
「術後の痛みはどうでしたか?」
と質問するようにしよう。
非常にスマートである。
まとめ
以上が、本当にあった出産の真実の話である。
妊娠中も含めて、我が子に会うまでには多くの試練が待っている。
けど、顔を見た瞬間に、すべて忘れてしまう。
それくらい、我が子は可愛い。
お下の毛を剃らせろとしつこく言われたことも、忘れてしまうのだ。
いや、これはたまに思い出して、笑ってるわ。
忘れられない、私の大切な思い出だ。
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