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インドの仏神たちを眺める

イスラーム展をやっている東京国立博物館東洋館にて。
イスラーム美術を観に行ったつもりが気付いたら端っこあるクメールの彫刻展と中国・インド彫刻展に引き込まれていた。インド宗教の持つ吸引力は計り知れない。


まずはガンダーラの仏像から。
クシャーン朝(2〜3世紀)のガンダーラで発展した仏教彫刻達。

如来坐像。右腕の破損にびくともしない感じが神がかってる。
如来立像。こいつも右腕破損。
如来坐像。右手を垂らすのは悪魔降伏の降魔の印
十一面観音菩薩。密教芸術の神秘性を帯びてくる
菩薩大集合。真ん中が釈迦如来。周りが8大菩薩
如来坐像


十一面観音菩薩


クシャーン朝時代ではカニシカ王とき、仏教をあつく保護したことから、仏教芸術が発達したという。

またこの時代の仏像は原初的な仏教芸術であることで非常に大きな意味を持つ。従来の仏教美術において仏陀の姿を表現することは意識的に回避されてきたのだか、クシャーン朝支配下のガンダーラにおいてようやく人間の姿で表す仏像が誕生している。


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こちらからはカンボジアで9世紀初頭から600年余り続いたアンコール王朝の時代に発達したクメール美術。アンコール・ワットのアンコールの寺院を飾った仏教およびヒンドゥー教の彫像達。

ナーガ上の如来坐像。ナーガは蛇の神。
横から。ナーガの横顔がカッコ良い
水の精アプサラス。その妖艶さで修行中の人間を堕落させた


上がガルダ。下がまたしもナーガ。ガルダは炎の神鳥でありヴィシャヌ神の乗り物
象の神ガネーシャ。父であるシヴァ神に首を切られ後から象の首をつけられた

ちなみに破壊の神、シヴァ王の像もあったけど流石に写真NGだった。これも神がかってるからぜひ観に行っていただきたい。


これら彫刻から仏教とヒンドゥー教の対立と混淆が読み取れる。カンボジアでは最後には上座部仏教という出家し修行するものだけが救われる仏教がヒンドゥー教に勝っている。
日本で多くの人を救おうとした大乗仏教が神道と混淆し、最後には跡形もなく消え空気だけが残ったことと対照的だ。辛うじて残った大乗仏教も密教化しヒンドゥーに帰っている。大乗仏教の自己破滅の歴史は、衆生を救えるのは神のみということを示しているのかもしれない。

イスラームの方もかなり面白かったので興味のある方は是非。


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