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【ライブレポート】2020/9/6 LACCO TOWER 【黒白歌合戦~電波極まる漆黒の変~】

前日に開催された「黒白歌合戦~電波極まる真白の変~」に続く、黒の夜。会場は同じ伊勢崎市民文化会館ですが、今夜はロビーではなくステージの上に円形布陣が組まれています。

黒白歌合戦とは、LACCO TOWERの楽曲の中から白をイメージさせる曲と黒をイメージさせる曲に分け、2日間にわたって開催されるスペシャルなイベントです。2017年、そして2018年7月の周年記念に合わせて開催されていましたが、2020年はコロナの影響で延期。当初の予定から2か月弱遅れての実施となりました。ということで黒白歌合戦~電波極まる漆黒の変~をレポートしていきたいと思います。


※【黒白歌合戦~電波極まる漆黒の変~】のアーカイブは2020/9/13までのようです。13日の22時まで購入できるようですので未視聴の方はぜひ。


過去の配信ライブ全て見ていたわけではありませんが、今まで見た中では最速とも思える開演予定時間ほぼピッタリにBGMが止まり、メンバー登場SE「狂想序曲」が流れます。

いきなりド派手な照明がステージを鮮やかに演出する中、全身を黒い衣装で統一したLACCO TOWERの5人が登場。白の日には「カシスオレンジ」のようなアイメイクを施していた大介さんもメイクと髪型を一新し、ワイルド仕様です。

演奏が始まる前からキーボードの上で立ち上がる真一さん、そしてモニタースピーカーの上にあがる大介さん。ギアはニュートラルでもエンジンの回転数は急上昇。


「真っ黒いラッコ、参りますどうぞよろしく!」

ケイスケさんの言葉をきっかけに「林檎」で【電波極まる漆黒の変】は開幕しました。

黒ジャケットに白ネクタイが映えるケイスケさん。聴かせる曲が多かった昨夜と違い、アクションもガンガン取り入れて目まぐるしく動くメンバーたち。啓示さん、そして大介さんのふたりがくるり回転しながら演奏すれば、真一さんは立ち上がって前に倒れこみそうな姿勢でコーラスをする。黒にふさわしい、獰猛な5人です。


「電波極まる漆黒の変へようこそ!」
「今宵は暗黒漆黒真っ黒け!白いのは私の心ぐらい」
「他の奴らはみんな真っ黒けでございます!」
というケイスケさんのアピールにすかさず「白いよ、ネクタイ」とツッコミを入れる重田さん。

暗黒の中に笑いも忘れない彼ら。エンターテインメント性を兼ね備えたロックバンドです。そして切れ味のある口上をさせたらさすがのケイスケさん。講談師か演説家かと思うくらいです。

2曲目の「仮面」でまず印象的だったのはバスドラの音。めちゃくちゃカッコよくないですか?この曲の時はマイクがスネアよりもバスドラのほうを拾っている?というくらいよく聴こえました。

音がピタっと止まった瞬間に放たれる「仮面という歌でしたどうもありがとう」というセリフがまた痺れます。絶妙なタイミングで差し込む言葉によって綺麗に曲が締まる。

ライブは早くも3曲目に突入。ベースとドラムが引っ張るかたちで「蛹」がスタート。レーザーの照明がガンガン飛び交うステージは光だけでなく音もパフォーマンスも派手!真一さんは椅子の上に立ちまくっての演奏で、完全にスイッチ入っています。そして気づけばもうジャケットを脱いでいたケイスケさん…。アウトロの演奏もめちゃくちゃカッコよくて最初から最後まで気持ちを昂らせてくれるプレイでした。


演奏を終えると開口一番「暑い!」と叫ぶケイスケさん。やはり昨日とはレベルが違うとのことで、今までは昨日が最高だったけれど、間違いなく今日が最高だと話します。

照明の近さに触れて「ビンビンよ」と発言し、その下ネタ風な言い回しにメンバーから注意を受ける大介さん。白の日でもちょいちょいそっち系の怪しい発言があり、スタッフさんからも注意されたそうです。

昨日実施した人気投票ともいえる投げ銭について、本日の換気タイムにて最終結果を発表するとのお知らせもありました。ちなみに中間発表では大介さんがトップ。果たして最後に1位の座を獲得するのは誰なのか…。

さらに今日の分の投票結果も発表するということで、メンバー間で優劣つけたがる…とケイスケさんが運営に対して苦言(?)を呈すれば、ブラックだわあ、まさに黒の日と大介さんがつぶやく。

こんなMCを挟んだあとで「ここで夏らしい曲を」と披露されたのが「薄荷飴」。もうイントロからたまりませんね。ネクタイを緩めるケイスケさん、その仕草は色気たっぷりです。照明の動きも落ち着いて、曲にピッタリな演出。黒には珍しく聴かせるタイプの曲ですね。暗闇に浮かぶ、大介さんのエフェクターの光がまた強烈な存在感を放ちます。


続いては「桜桃」。大介さんによるギターソロ始まりです。ピックだけでなく親指も駆使して弾く、より複雑かつ味わい深い音色にうっとり。五線譜の上を跳躍するようなベースラインも気持ちがいいですね。切ない響きから唸るような爆音まで、音の七変化が楽しいギターサウンドにも大満足。表現力豊かなバンドだなと改めて感じます。


曲が終わってのMCタイムで、白の日の投げ銭最終結果発表が行われました。

1位は真一ジェット、とケイスケさんが告げると真一さん思わず絶叫。中間発表では1位だった大介さんは2位という結果になりました。これに対して「おもしろくねえな!」と重田さんが吐き捨てるようにつぶやくと「全然おもしれえよ!」と1位のプライドから即座に切り返す真一さんでした。白の日ならではの美しいピアノが勝因かも!?おめでとうございます。

「真っ黒の日、静かな曲をお送りしましたが換気タイムの前にアガっていこうと思います」

シャツのボタンも外してセクシーなケイスケさんが映し出されたところで、始まったのは「杏子」。しかも序盤はケイスケさんによるアカペラ!これは予想外でした。めちゃくちゃカッコいいですね…。<届け黒ぉいかげえぇぇぇ>と巻き舌を加え歌う。空気を切り裂くような切れ味と、もっと浸っていたくなる余韻が同居する独特の歌唱が素晴らしい。

ドラムのリズムも個人的に大変好みで、これはずっと聴いていられるやつです。サビで輝く杏子色の照明も曲の演出に一役買っています。ディストーションが響き渡る大介さんのギターソロも強烈。曲前にシャツのボタンを外していたケイスケさんですが、とうとうネクタイも外しました。

LACCO TOWERのライブはケイスケさんが少しずつ脱いでいく、その様を堪能するという楽しみ方もありますね。

「普段は会場でしかできなこと、電波の上でもやってみようと思います」という言葉とともに、真一ジェットが主役となる曲「傷年傷女」の出番です。

ショルキーを装備した真一さん、早々に沸点到達。スタッフさんがケーブルを必死にコントロールする様子も映し出され、いかに混沌とした状況であるかが伝わってきます。

「真ちゃんが面白い動きをする曲です」
「どうか画面の前で8歳以下のお子様には見せないでください」
「教育上よくありません」
ケイスケさんが言う注意事項を無効化するかのようにアグレッシブに盛り上がるメンバーたち。右手を上げて、煽りまくる真一さん、啓示さん、そしてケイスケさん。俺たちのキーボードヒーロー・真一ジェットの真骨頂。

いつものライブではステージをはみ出て大暴れする真一さんですが、今日はソーシャルディスタンスをしっかり守って、限られたエリアで、それでもできうる限りのアクションで楽しませてくれます。カメラに向かってワイプアクションで視聴者と一体になってみたり、キーボードの上に立ってショルキーを激しく操ったり。その様を見たケイスケさん、思わず笑いがこぼれてしまい「こっち見んな!」と真一さんに直球な言葉を投げ込む場面も。

アクリルボードを正面に見据え、左右に体を振るパフォーマンスも炸裂。カメラがアップで捉えていなかったのは惜しかった!


まるでコメディのような扱いを受けることもありますが、曲のクオリティはめちゃくちゃ高く、ライブの温度を1度、2度と上げてくれる必殺曲と呼んでもいいのではないでしょうか。キーボードを自在に扱うテクニックも素晴らしい。そして大介さんによるギターソロも美しい。ギターリフのパートをキーボードでも弾く真一さん。2つ重なるリフがカッコいいぞ。

観ている側も、ステージにいる側もたっぷり汗をかいたところで換気&消毒タイムの時間です。

数分の休憩をはさんで、ライブは後半戦へ。

まずは視聴者からのSNSコメントをピックアップします。大介さんは「ボーカルを笑わせ、こっち見んなと言われ、まったくギターソロが入ってこない」というツイートを拾い、「営業妨害だよ!」と真一さんにクレーム。

「笑わせにいってるわけじゃないんでしょ?」と重田さんが問えば「当たり前じゃん。超真剣にやってるし、どっちかといえばカッコつけてるよ」と答える真一さん。

確かに笑っちゃう場面もありますけど、トータルで見たらめちゃくちゃカッコいいと思います、真一さん。限界突破している姿は眩しい。

SNSコメントについてあーだこーだと話しながら結局メンバーへのツッコミで盛り上がっちゃう5人。

「今日もみなさん、いい表情しながらやってますよ」と達観したような啓示さんのコメントがまた社長らしくていいな。和気あいあいなメンバートークが楽しいです。


今日の投げ銭について途中経過も発表。1位が大介さん、2位がケイスケさんとなり、3位で真一さんの名前が出ると「なんでおめえなんだよ!」と重田さんのツッコミが入り、最下位が啓示さんだと発表されると「社長なのに?」とまたまた重田さんの蜂の一刺し。


めちゃくちゃ笑ったトークタイムも終わり「お酒の準備、騒ぐ準備はできましたでしょうか?」というケイスケさんの合図で後半戦スタート!

黒白の激しい照明がきらめく中で始まった「罪之罰」。曲中にある緩急の引き出しがライブをグッと引き締めます。4つの音の絡み具合も最高で全部の音を一つ残らず拾いたいくらい。迫力のガタイで軽やかなドラミングを展開する重田さんの存在感もさすがです。


「斜陽」ではタイトルを思わせるオレンジの光がメンバーを照らします。ピアノの見せ場もたっぷりあり、特に間奏で際立つその演奏は、それだけで成立するような高いクオリティ。360°カメラも登場して5人をぐるっと映し出す。この曲でのバスドラも心地よく響いてきます。

曲が終わり、「楽しんでる?」というケイスケさんの問いに「手が取れる」とこぼす重田さん。黒のセットリストがいかにきついかを表す一言です。円形の布陣についてメンバー同士でのトークで盛り上がったのち、次の曲へと誘うケイスケさんの導入。


「大切な人とうまくいったりいかなかったり」
「いろんな方がいると思います」

「相手の愛情が足りないから」
「算数みたいに足りない分」
「こっちが2倍愛せばそれで足りる、なんてことはなくて」
「欲しがれば欲しがるほど遠のいていくもので」

「どうか電波の上で」
「画面の前でこれを観ている皆さんには」
「こんなことがおこりませんように」
「そんな曲です」

そして演奏された「恋人」。ギターソロからピアノへとバトンタッチし、そこからベースがメインを張るような音を鳴らすと、すぐにドラムが盛り上げてケイスケさんの唄へと続く。バトンを繋いでいくような構成が見事です。

後半戦2曲目は切ないピアノの調べから始まります。「閃光」を劇的なアレンジで独奏する真一さん。その手元の鍵盤をよく見ると「ミ」のところがちょっと凹んでいる。これは「傷年傷女」の後遺症か!?
たっぷりと聴きごたえのあるピアノソロが終わるとバンドサウンドが集結して「閃光」スタート。重田さんはタンクトップに!
この曲のリフもめちゃくちゃカッコいいですね。LACCO TOWERはリフの宝庫です。ギターソロ中のベースもドラムもピアノもカッコいい。手のひらで歌詞を表現する才能を持つケイスケさんの姿もたっぷり味わえます。真一さん専属と思えるような張り付きのカメラマンさんの様子もチラチラと映し出され、メンバーだけでなくその場にいる全員にとってここはまさしく戦場だなと感じました。


「地獄且天国」はグルーヴ感たっぷりなイントロからドカドカと音が爆発するようなダイナミックな展開に痺れます。大介さんのタッピングも大サービスで3回も披露。ラッコらしさたっぷりのコーラスにも気持ちが昂り、腰を落とし足を開いて演奏する啓示さんの姿に思わず興奮する。黒ラッコの真骨頂ともいうべき一曲ですね。

アグレッシブさ満点の黒曲たちの反動でしょうか。手が吊りそうだと大介さんが訴える。いかに激しい演奏であるかが伝わってきます。この話題をきっかけに以前、手が取れそうと言う重田さんや、息継ぎが…と困惑するケイスケさんたちに対し、音楽面でのプロデューサー的立場から(?)「いけるべ!」の一言で片づけたという真一さんのSっけあるエピソードも披露されました。

「みんなのポテンシャルを信じてますからね」という真一さんによるフォローもありましたが。


「昨日は昨日で最高でしたが超えましたね」とケイスケさん。その充実感が画面の向こうから伝わってくる。

今回実施した円形のセットについて、いつもと違って(熱量が)真ん中に集まって上昇する様がまるでLACCO TOWERのようだと話す啓示さん。

ケイスケさんがLACCO TOWERの歴史を簡単に振り返りつつ、完成形に近づいてきたんじゃないかなと話せば、この五角形が一番似合うバンドじゃないかと大介さんも続けます。

重田さんも珍しく感情的なコメントを呟く。みんなで音を出すことを「いいな」と感じたんだそう。さらに円形布陣の中でメンバー同士見つめ合っていると、みんながそれぞれの持ち場で頑張っている姿が視界に飛び込んできて胸が熱くなったとのこと。

ケイスケさんについては「一生懸命歌っている」
啓示さんについては「弾いてないところでも入るところ確認している」
大介さんについては「なんかもう、すげえじゃん」
真一さんについては「なんか真剣な顔が面白いし」
それぞれについてこんなコメントを残します。重田さんがこんなに話すのも珍しいですよね。

そして、メンバーの総意として、5人でやれるという喜びとともにスタッフへの感謝の気持ちも伝え、視聴者にも拍手を促します。会場、音響、照明、PA、配信その他もろもろ、たくさんの準備が必要だったかと思いますが両日ともに大きな事故もなくここまでできている、そのことが素晴らしい。本当にありがとうございます。

さあ、ライブも残すところあと2曲。終盤戦です。

ギターとピアノのイントロで始まったのは「霙」。歌い上げるギターとそれに寄り添うピアノのコンビネーションがとても綺麗。途中から加わるベースのラインが耳にガツンとくる。そしてケイスケさんの歌声。感情が入り込んで音が割れるあの瞬間がたまらない。切ない歌詞と5人が生み出すサウンドの相性もバッチリ。改めてLACCO TOWERのバンド力を感じさせてくれます。

最後の曲を前にして、本日ラストとなるケイスケさんからのメッセージ。

まわりにいるバンドやライブハウスが苦境に立たされている。人気のある、知名度の高いアーティストの“困っている”という声は届きやすいけれど、でもみんなに届かない声もたくさんあるんだと話します。

だから、今まで好きだったアーティストやバンド、ライブハウスを愛してあげてほしいと。好きというその感情をこの状況下でも持っていてほしいと。それだけで俺たちバンドマンは報われるし落ち着くんですと、そんな言葉を伝えてくれました。


そして

「俺たちはここで5人で真ん中を向いて」
「電波に向かって歌うから」
「みんなは大好きな人を大好きなまま愛してあげてください」

「最後は笑っていこう!」

というメッセージで〆ると、いよいよ最後の曲を披露。

トリを飾るのは「火花」です。「おい最後だぞ!!」と大介さんにしては珍しい煽りも飛び出します。冒頭のドラムからもう心躍る!血がたぎる!

<戦いの鐘がなる>で思わず拳を強く握ってしまう自分がいました。

本日最後となるギターソロも炸裂。スピーカーにのぼり、指揮者のように手をひらひらさせる大介さん。啓示さんは頭を振りながらの低空ベース!昨日は目が合うことを照れていた啓示さんもラスト、思いきり真一さんに目線飛ばしてたなあ。いい表情をしてます。手が取れそうだこぼしていた重田さんの、最後を締めくくる渾身のドラミングも最高。


すべてを終えて会場を去るタイミングで、まるで駆け込むかのように「サンキューロッキュー!」「サンキュージェッツ!」を入れてきたふたりが愛らしい。


白の日を経ての今日の黒のライブ。どちらもLACCO TOWERを表す色であり曲たちだと思いますが、白があるからこそより黒が引き立つ、そんな印象を持った2時間でした。

涙するような切ないバラードや大興奮するロックナンバー、美しいリフの数々、そしてこだわりの構成が詰まった曲もあります。曲で泣いてMCで笑って。気づけば嫌なこと、つらいことを忘れて楽しんでいる。

でもそれだけじゃない。

また、このバンドの曲が聴けるから、ライブがあるから、明日からも頑張れる。そう思わせてくれるのが、LACCO TOWER。

今この瞬間のつらいことを忘れるだけなら、もっと他にいろいろあるでしょう。でもまた頑張るんだと、力を与えてくれる存在というのはとても貴重で。出会えたことはひとつの奇跡と言えるかもしれません。


次に会えるのは電波の上か、それともライブハウス、あるいはホール、もしくはフェス会場になるのか。

人それぞれのタイミングで、ちゃんとLACCO TOWERと再会できますように。

黒白歌合戦、2日間の開催。本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。

セットリスト
01.林檎
02.仮面
03.蛹
04.薄荷飴
05.桜桃
06.杏子
07.傷年傷女
~換気タイム~
08.罪之罰
09.斜陽
10.恋人
11.閃光
12.地獄且天国
13.霙
14.火花


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