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教壇に立ち続ける 80 入試問題で授業を作る・第2弾

水曜日が定休日なので、土曜から5連休です。やったね桃ちゃん、教材研究ができるよ。というわけで今考えている教材研究について書きます。どうも星野です。9月の定期更新日は水・土。この記事が役に立ったとか、いいなとか思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。赤字が膨らむばかりですので、ぜひご購入を検討くださいますと幸いです。

はじめに

巻きに巻いて授業を行ってしまったがゆえに、テストまでの3か月間を残り1~2単元で乗り切る羽目になってしまいました。いや……要点をおさえてコンパクトにまとめようとしたら予想以上に小さかっただけなんです……切羽詰まった桃ちゃんは、例に寄って例のごとく東進のデータベースから過去問題を漁って教材にしようと画策しております。今回はふたつ作ります。ひとつは科学論と歴史学の架橋として、東大の問題から野家啓一氏の「歴史を哲学する――7日間の集中講義」を扱います。もうひとつは経済学の内容を発展的に扱うために、東京学芸大学の問題から森健氏・日戸浩之氏の「デジタル資本主義」を使うことにしました。この連休中に細部を詰めていくので、まだコンセプトと流れしか決まっていないまっさらな段階ですが、方針と授業の工夫をお伝えしていこうと思います。

歴史学と科学を繋げた授業

授業では歴史学と科学の共通性について論述する課題を出したり、古典文学における歴史的側面について説明したりしたクラスで、この「歴史を哲学する」を扱います。授業時間は8時間程度。問題演習の時間も入っています。読解力って何だろうね、という話から新学期を始めたこのクラスの生徒は、とにかく論述が苦手です。基本的な文章の作法も知らない感じです。それを克服するためにリフレクション活動の一環として140字論述に取り組んでいます。私もテストで記述式の問題ばかり出してしまう傾向にあるため、今回こそは選択肢の問題も出してみようと思っているので、私にとっては作問の練習であり、生徒にとっては読解力の本質を理解するため、最後に本文を使った予想問題を演習するというゴールを設定しています。
1時間目は用語の知識を入れるために辞書の引き方を教えます。45分間みっちり辞書と格闘してもらいます。辞書を引く際に気を付けること、辞書を読む際に気を付けることについて板書し、写していざ実践、という流れです。
2~6時間目は内容の把握と深い理解を促す、そして前単元と繋げる活動に充てます。前単元で示した科学と歴史学の共通性には、「再現性」というものがありました。曰く、「大勢が検証して同傾向の結果が得られたら確か『らしい』ということになる」と。その内容に近いものがこの教材だったので、東大の問題であることは伏せて教えます。
文章そのものは、構成が前単元に似ており、内容も重複する部分があります。そのため生徒にとっては延長上で考えやすいだろうと予測しています。ただ語彙の壁があるので、辞書を引く時間を設け、意味調べを宿題として課すつもりです。
内容の把握に関しては、とにかく具体例を生徒自身がわかりやすい形に「命題化」するために、自分で図表を書かせたり、調べ学習を取り入れたりしたいと思っています。インターネットが使える環境ではないので、宿題と言う形にはなりますが、Google classroomが導入されているので成果物は逐一チェックします。
最後のまとめとして、1学期の定期試験に出した本文を要約した文章の空所補充や、選択問題など実戦的な演習に取り組み、その解き方などを解説する、という終わり方をしようと思っています。
年間の目標である批評についてですが、前単元で批評的な視点を持てた生徒がいたので、今回も「本当にそれでいいのか?」と批判的に読む練習をさせていくのは変わりがありません。評論文こそ批評できる、と思ってもらいたいです。

経済学に詳しくなる授業

授業では経済学のさわりだけ学習したので、こちらも辞書の引き方・インターネットによる調べ学習などを実施予定です。もちろん校内はスマホ禁止なので、自宅に帰ってからの課題にはなってしまいますが、こちらも10時間くらいかけて(本格的な評論を読むのがはじめての学年です)読み解き方・文章把握・命題化などの方法を身につけてもらいます。このクラスの生徒は1学期末のテストで得点にかなりばらつきがあったので、できる子はかなり得意で、苦手な子は苦痛を感じるレベルで出来ないのだと思います。だからこそ応用的な問題に触れて、教養を身につけるとともに、文章読解の基本を会得してもらうことを目指します。
1時間目は辞書の引き方をやりますが、2時間目は完全に脱線した経済学の講義にします。そのために新書を読みこむので、その知識を1時間の中に凝縮させてお届けする予定です。そうじゃないとなじみがなさすぎて理解できないと思うので。3~8時間目でじっくり内容を深く堀り下げる活動に取り組みます。接続の言葉、指示語、因果関係などなど、文章を読み取るために使えないと困るテクニックを教えつつ、こちらでも批評の入り口には立ってもらいます。メタ認知の能力を育てたいと思っているので、私が生徒にとって身近な例にしてお伝えしたものに対して、何を思いどう評価するのかを記述してもらいたいです。こちらは50分授業なので、授業の最後5分間を使ってリフレクション活動に取り組みます。ただ横並びの学年ではあるので、他クラスがどの程度進むかによって時間数は変動する可能性があります。それを見越して板書計画を作成しなければなりません。ちょっとしんどいですが頑張ります。

過去問題を使って授業ができるようになる、という行為は予備校講師の専売特許のような感じもしますが、私の教え方は学校教育にかなり寄っているので、批評することを全面的に押し出していくことにしています(テストで点が取れるようになる、というのも副次的な目標ではあります)。生徒が学ぶことを楽しめる環境づくりのために、この連休中に教材研究をみっちりやりますね。その結果もご報告できればと思います。それでは、また。

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