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実践報告 小学5年国語 「からたちの花」

9月上旬の実践です。何かの参考にしてくださればと。

対象児童について

総合的な学力はあまり高くありませんが、誰かの気持ちや感情を想像するのが得意な児童たちです。
交友関係のトラブルも起こしますが、自分たちの力で解決できるポテンシャルもあります。(基本的にみんな温厚です)
国語に関して言えば、小説は得意な児童が多いものの、全体的に説明調の文章が苦手で、どうしても内容を読み違えることがあります。
他の教科でも問題文が読めていないことなどがあるそうです。

授業の展開と工夫

宿題として出した音読で「からたちの花」を1週間あらかじめ読んでもらい、授業に臨みました。
5分間の個人作業(ひとりで考える時間)、7分間でペアワーク(意見交換)、というサイクルを1セットとし、それを2回繰り返したあと最後に全体で意見を発表する時間を取りました。
最初の発問は「今回読んだ『からたちの花』に使われている技法と、その効果を考えよう」というものです。
1学期に学習した俳句と同じようなリズム(いわゆる七五調)になっていることや、末尾に「よ」がついていることで誰かに話しかけているような感じがする、幼い印象を受けるなど、様々な意見が出されました。
どの気づきも根拠を持って発表しており、想像しながらそれぞれが自由に解釈することができると判断したため、第五連「からたちのそばで泣いたよ みんなみんなやさしかったよ」の部分について、「みんなって誰?」「なんで泣いているのだろう?」という発問を次に出してみました。
すると「からたちの花は春に咲くし、その前の連(第四連「からたちも秋は実るよ まろいまろい金の玉だよ」)が秋を指しているから、冬になるにつれてからたちの花が散ったり枯れたりしているんだと思う」「春夏秋冬を表しているのだと思う」といった意見が出され、想像したことに理由をつけて発表する・発表できなくてもメモに残すことができるようになりました。

からたちの花 板書

反省と今後の展開

どの意見もいいね、というオープンエンドにしてしまったため、どうしても納得がいかない児童もいたと思います。
もっと議論を深める手だてを考える必要がありました。
また、自分の意見を書けない・意見交換ができない児童に対するサポートがあまり手厚くできなかったのも課題です。
このクラスの児童も、だいたいのクラスと同じで「一部の子だけが発言する」「ノートを取ることに集中してしまい、あまり思考にリソースを割けない児童がいる」などの学力差があります。
その差を埋めるために今回は「ひとりで学習する時間」「みんなと交流する時間」を多めに取りましたが、それでもできない子をどう引き上げていくかについてはまだ改善の余地があります。
板書も「みんなの思考の過程を残したメモ帳」としては機能しましたが、全体の思考を促すためのツールにはならなかったので、そこも次回以降再考していきたいです。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。