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KnightandMist

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たぶん小説になる予定。今書きためているところです。 あらすじ 浪人し、就活も失敗し、あとがない主人公浅霧遥香。 そんなある日、彼女に異変が襲った。 それは今流行りの異世界転生…
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2022年7月の記事一覧

Knight and  Mist-interlude-オーセンティックサイド

Knight and Mist-interlude-オーセンティックサイド

書斎のような部屋に独り坐し、深峰戒は深くため息をついた。

「なんなんだこのクズな世界は!」

力任せに棚を殴り、上に置いてあるものを薙ぎ払う。物が落ちてガシャンガシャン、と音が鳴った。

「私は私の役割を果たしているはずだ! なぜあんな小僧ごときに笑われなければならない……!」

ドサッと椅子に座る戒ことオーセンティック。

その前にすうっと何者かが姿を現した。

「《冥王《ヘルマスター》》」

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Knight and  Mist十章-9騎士と霧

Knight and Mist十章-9騎士と霧

「あなたの気持ちは分かりますが、これはそういうので引き受けるものではないですよ」

もう決定していることに異を唱えることは難しいのでは、そんなことを考えながら、ハルカはセシルを見た。

勇者だけが入れると噂のバー《キタフィー亭》にて。

目の前には鴨鍋が煮えていて良い香り。おだしといとこんとネギのハーモニー。

だがおあずけをくらって話題はハルカが魔導の力を得るかどうか。

そう、魔導師になれるの

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Knight and  Mist第十章-8鴨鍋と魔導師ライセンス

Knight and Mist第十章-8鴨鍋と魔導師ライセンス

そこでカンカンカンカーンとグラスを叩く音がする。それまで思い思いに喋っていたみんなが静まり、グツグツと鍋が煮える音だけが聞こえる。

知る人ぞ知るバー《キタフィー亭》にて。

でかいテーブルにスループレイナの姫とその婚約者、スループレイナの大貴族3人、勇者、レティシアとスコッティ、デシールの女将軍イーディス、そしてセシルとハルカが座っている。

全員がなんだろう、とグラスを鳴らした宮廷楽師イスカゼ

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Knight and  Mist第十章-7 《キタフィー亭》

Knight and Mist第十章-7 《キタフィー亭》

「さあ、カンパーイ!」

そこは王都下町情緒あふれるとある居酒屋。その名も《キタフィー亭》。店主のキタフィーさんは温厚そうな金髪のお姉さんで、とても感じが良い。店内には武具がかけてあって、客はいなかった。

この居酒屋、なんと勇者だけがこの酒場に入れるのだという。

とういうのもどうやらこの店主さん、キタフィーというのは仮名で本当はベアトリクスという名の勇者だという噂がある、とアザナルがハルカに教

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