【日本神話⑤】八岐大蛇 現る
高天原で大暴れした須佐之男命(スサノオノミコト)は、地上の国へと追放されてしまいました。出雲国へと下ったスサノオは、そこで泣いている娘に出会います。有名な「八岐大蛇退治」。島根県の石見神楽が毎年、京都市の松尾大社の節分祭で毎年、奉納されているので、その時の写真と共にお話を見ていきましょう。
泣いていたのは稲田姫(クシナダヒメ)とアシナヅチ、テナヅチの老夫婦。夫婦が言うことにゃ「7人の娘が毎年、八つの首を持つ大蛇(八岐大蛇=ヤマタノオロチ)に飲まれ、今年はクシナダの番となった」とのことです。スサノオは大蛇退治の代わりに美しいクシナダヒメと結婚させてほしいと提案。まず、酒樽をたくさん用意するように言いました。
クシナダヒメの周囲に、どこからともなく竜のような首を持つ大蛇が現れました。グルグルと蜷局を巻いた丸くて大きな体躯を見せつけて威嚇してきます。
颯爽と現れ、酒を飲ませるスサノオ。神話では、樽の酒の水面にクシナダヒメの姿を映しとり、さらに毒(眠り薬?)を入れて罠を張りました。それを飲んでオロチが眠った隙を突き、スサノオは剣で首を次々に切っていきます。神楽ではスサノオがオロチと対峙する中で、酒を飲ませているようでした。
神楽では、舞台床面をスルスルスル~っと滑るように移動する四体のオロチ。時にとぐろを巻いて顔を上げたかと思うと、四体の大蛇が絡み合うように縦横無尽に暴れまわります。スサノオもオロチの胴体に巻き込まれそうになりながら、舞台狭しと剣をブンブン振り回します。
神楽のオロチは酒を飲んでも眠らず、酔っぱらっているのか毒で苦しんでいるのかは分かりませんが、暴れまわってスサノオを苦戦させているようです。血沸き肉躍る攻防戦が続きます。
首をひとつ取っては次、そして次へとスサノオの剣が踊り狂います。見どころのひとつです。
見事にすべての首を切り取ってオロチ退治は終わりました。オロチの体内から剣が見つかり、これが天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ=草薙剣=クサナギノツルギとも)となり、今も天皇家に伝わる三種の神器のルーツとなりました。
神楽の最後は、スサノオが2本の剣を持ちながら舞を披露。こうして、平和が戻った出雲国でスサノオはクシナダヒメと結婚し幸せに暮らしましたとさ。めでたし!
石見神楽は島根県西部(浜田市や益田市など)の石見地方に伝わる伝統芸能です。実は松尾大社で観たのは2回目で、かつて大阪市内で石見神楽が公演されていたのを観に行きました。ただし、その時は撮影禁止でしたので写真はありません。この時はオロチが花火を使って火を吹いたりと、演出はかなり派手でした。松尾大社では火気厳禁なのか?もしかしたら演出を少し簡略化していたのかもしれませんね。
松尾大社は大山昨神(オオヤマグイノカミ)を主神として祀っているようで、スサノオはその祖父神にあたるようです。こうした縁から毎年の節分祭に石見神楽を招いているそうです。松尾大社ってお酒とか水の神様で、お酒の資料館も境内にありました。スサノオが酒でオロチを退治するっていうお話とも縁があるのかもしれませんね。
松尾大社の節分祭当日の様子はこんな感じで、最前列を陣取ることもできず、私は脚立もなく遠めからズームして撮っていました。画像の粗さや見学者の頭の見切れ、大事な場面で柱が邪魔になるなど、下手な絵ばかりなのはご勘弁を。準備不足でしたね、ここまで賑わっているとは思いませんでした。前列はベンチ用意して座ってよ・・・とか負け惜しみ言ってみたり(笑)
撮影は悔いの残る部分もありましたが、過去に宮崎の高千穂神社で高千穂神楽のイザナギとイザナミの結婚、アマテラスの岩隠れなどを見ましたし、京都で石見神楽のスサノオとヤマタノオロチを見られて感無量でした。今度は島根で石見神楽のフル演出を見たいとも思いました。
次回は出雲国でスサノオやクシナダヒメゆかりの地を回った旅日記を紹介します。
島根県の石見地方↓
松尾大社↓
表紙の写真=石見神楽の演目「大蛇」(2020年2月3日撮影)
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