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素敵なエントロピー

生きている間ずっと人に踏まれることになる場所に芽吹く草花がある。そこらじゅうに。
そこに種が落ち、根付き、芽吹く。
踏まれ続ける場所であろうが、延々と日影であろうが、そこに芽吹いてしまったのだからそこで生きるしかない。すべての命がそうなのだろう。
そうしたらもう、そこでいかに幸せに気持ちよく生きるかだけだ。
明日には見ることはない空の色を、雲の形を見て、その美しさを呼吸とともに取り込んで、今日私は生きた、と。

この世界に生と死があって、日が昇り沈むのをもう知っている。
朝日に照らされ命あるものがエントロピーする。この世で一番の輝き。命が自然のままに太陽に反応して伸びていくさま。
そして日が沈む。
エントロピーしなくなる日が来る。変化が、起きなくなる日が来る。
毎日当たり前に世界の美しさと残酷さが繰り返される、そのことをもう知っているから、いつその時が来てもこの世界に別れを告げられる。

でも、私はこのままでは嫌なんだ。

世界に「さらされる」のではなく、動かしていくのだ。「私」という個の力で。
それがたとえ世界や宇宙を背景に、その大きな流れの中でジタバタしているだけであっても。
自分の力で、幸せになることを目指していきたい。
幸せを日々感じていたい。
私は川に落ちた枯葉ではない。流れるままに身を任せるしかない存在ではない。
だから、自分で切り拓いていける。創ることができる。
この目で世界を見て、居心地のいい形にしていく。自分の世界を。太陽を浴びて。

素敵なエントロピー。

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