勇気なのか無策なのか春の蚊
4月某日
真夜中、ぷぅぅんと聞こえた気がしたけれど、気のせいだと思うことにして起きない。意地でも起きてやるもんか。
ぷぅぅん。
残念ながら気のせいではなかった。
仕方なく夫婦でしぶしぶ起きる。
私が蚊取り線香をつけ、オットが蚊を仕留めた。
見事な夫婦の共同作業だった。
ダディとマミィの奮闘ぶりにムスメも目を覚まし、蚊取り線香を見て「え、もうmosquito coilシーズン?」と嫌そうに言ってまた寝た。蚊取り線香という日本語、おぼえてね。
朝、家の中に蚊取り線香の残り香が満ちていて、一気に夏。
俳句の世界、つまり暦の上ではまだ春なのに。
でも「春の蚊」という季語もあるくらいなので、彼らは昔からフライング気味なのだろう……。やだやだ。
午後。台所の窓の網戸にカメムシが張り付いていて、夫婦でのけぞる。
カメムシ、きみは秋の季語だよ……。
認めたくはないのだけれど、我が家にはよくカメムシが侵入してくる。
調べてみると、カメムシは白いシーツや白い壁を目指して飛んでくるらしい。
嫌な予感がして、家の外に出て近所を見回してみると、うちの家の壁が町内で唯一の白っぽい壁だった。
期せずしてカメムシの人気を独占していることを悟ってしまった……。うれしくない。
夜10時。
ムスメが「昨夜は蚊のせいで睡眠を邪魔されたから、今晩は誰も邪魔しないで」と言って寝た。
その約1時間後。
緊急地震速報と地震に叩き起こされたので、ムスメのあのセリフは見事なフラグになったのだった。
うわ、揺れてる。
うわ、長い。
うわ、まだ止まらない。
うわ、うわ〜。
……というくらい長い地震で、マジ怖かった。
幸いこのあたりの震度は4で、その後の余震もあまり感じられなかったのだけど、何か物音がするたびに揺れている気がして気持ち悪い。
こういうのって、きっと脳のバグなんだろうなあ……。
私もムスメもなかなか寝つけない夜を過ごした。
オットだけが健やかな寝息を立てて寝ており、さすが特技「野宿」だけのことはあるな……。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?