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弟を罠にはめる

4月某日。

衣替えをして、クローゼットの防虫剤と家のあちこちに気まぐれに置いてあるホウ酸団子を交換した。

嗚呼〜面倒くさい〜。特にホウ酸団子の方〜。

1年前の4月に何処と何処と何処に置いたかなんて覚えてな〜い。

……というわけで、私のことだからだいたいこのへんに置いたであろうという場所にあたりをつけて、あった!あった!と古いホウ酸団子を回収していると、おや、これはイースターのチョコレート・エッグ・ハントに似ているなと思うのだった。(そんな良いものではない……)

それにしても、日本のGはニュージーランドにいるGに比べて大きく、黒く、動きも速くて、侵略者の風格がある。存在感が大きすぎて、同じ空間にいると彼らの気配とか視線まで感じる。

ニュージーランドのGなんて小ぶりで、ばったり遭遇した際、何か叩くモノを探して戻ってきてもまだ同じところにいる。のんきすぎて叩きつぶすのが気の毒になるよね。殺(や)りますけど。

そろそろお気づきかと思いますが、私は虫がわりと平気。たいていの虫は仕留めるか捕獲して外に逃すことができる。

一方、オットは虫が苦手。新婚の頃は嫁(私)に良いところを見せたくて虫退治に奮闘する気概を見せようと頑張っていたのだが、へっぴり腰のオットを横目に虫たちをサクサク仕留める私を見るうちに、退治の役目をあっさり放棄した。まあ、片方の不得手を片方の得手でカバーしあって生きていけるのが2人で生きていく醍醐味。私も書類仕事はまるっとオットにお任せで、人生が楽になった。

そんなわけで、うちに虫が現れるとオットはためらうことなく私を呼ぶ。なぜかいつもオットが私より先に虫を見つけるのだ。嫌いであるがゆえに虫の気配に敏感なのだろう。

ニュージーランドの家にウェタという、世界でいちばん重たい虫が現れたときも、悲鳴をあげて私を呼ぶので(ウェタを)捕まえて逃してあげた。

……という話を、夕飯の後で、ホウ酸団子を交換した話題からの流れで弟にした。

「世界でいちばん重い虫といってもオークランドにいるのは普通サイズだからジャイアントウェタみたいに巨大じゃないんだよね。あ、検索するのはやめときなよ、ジャイアントウェタ」

せっかく忠告したのに、その1分後、弟はスマホの画面を見ながら「うおぉぉぉ」と悲鳴をあげていた。

だから言ったのに。


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