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「天才ミライの未来。」 <短い小説>

ミライは、自分でも天才だと信じていたし、世界もそう信じていると思っていた。

まるでそれが「あなたの名前はミライです。」と同じことのように、生まれた時から天才なのだと。

ミライは、7歳で宙に浮く車を発明した。

8歳で全ての家事を自分で行う知能が備わった家を設計した。

9歳で携帯やパソコンといった機械が必要ない、空気がパソコンや電話になるエアーネットを開発した。

14歳で、犯罪をしようとする人をその場で捕まえられる、エアーポリスを発明した。犯罪をしようと動いた瞬間に、その人の周りの空気の酸素がなくなり気絶してしまう。すぐさま、空中をパトロールしてる確保カプセルに逮捕される。

16歳で整形自動ミラーをつくり、鏡をみて好きな顔や体を入力すると、誰もが自分が望む姿になれた。

18歳で娯楽サプリメントをつくり、サプリメントを飲んで想像するだけで、旅行に行けたり、散歩したり、映画を観たりすることができた。

19歳で異次元フリードアをつくり、死んだ人や、神さまと会ったり、話したりすることができた。

22歳で年齢をなくした。80歳で病気で死にかけている人も、健康な18歳に戻れるようになった。


世界はミライがつくったものになっていた。


世界は、車を運転する人も、家事をする人も、お店で働く人も、悪いことをする人も、悪い人を捕まえる人も、新しいものをつくるひとも、特別な人も、誰もいなくなっていた。

ミライは、もう何もつくる必要がなくなってしまったことに気づき、愕然とした。

そして、今度は世界を元に戻す装置をつくることにした。

自分がつくったものをなかったことにする装置は想像以上に難しかった。しかし、100年かけて装置は完成した。世界は元に戻った。ミライは天才であったが、もう天才でいることをやめたかった。

「俺はこの120年間、何をしていたんだ。」

テレビに映っているバラエティー番組から笑いが起こった。世界がミライをバカにしたように思えて、ミライは笑った。



(あとがき)

星新一さんの小説を読んで、私も遠い遠い未来を想像して書いてみました。本当はドラえもんみたいな楽しい未来のロボットの話がいいなーと思って、とにかく思いつく限りの未来を書いてみて、でもこれは幸せなのかな?と思ってこんなお話になっちゃいました。今よりもっと幸せな世界になればいいなと思うけど、それがなんなのかよくわかんないなと思いました。

山形県に住んでいる小学4年生です。小説や漫画を読むのが好きで、1年生の頃からメモ帳に短い物語を書いてきました。今はお母さんのお古のパソコンを使って長い小説「皐月と美月の夏。」を書いています。サポートしていただいたお金は、ブックオフでたくさん小説を買って読みたいです。