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七月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part3

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

今月の文字は「放」。

7月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください)

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応募作(7月13日〜19日・投稿順)

ヒトリデカノン(サイトからの投稿)
数々の失敗を経て、ついに私は人生を一冊の本に収めることに成功した。自分の手で書き込む必要はあるが、本を閉じれば過去も未来も重なり合って、開いたページが現在になる優れものだ。なんと書き換えも可能だ。世界中で爆発的人気がでた。「日記帳」と名付けられ、ほとんどが置きっ放しにされている。

セシ(サイトからの投稿)
彼は独房の中にいた。
他の仲間は皆、開放されてしまった。
彼は模範囚だった。
規則に従い、自弁はほぼ本にあてた。
勉強熱心な優等生、、、にもかかわらず、
今だ彼は独房の中にいる。
ただ、わずかにさす光を、眩しそうに見つめている。

ヒトリデカノン(サイトからの投稿)
答えは簡単だった。運を天に任せる。たったそれだけ。コイントスやあしたの天気を占うように自分の身体を宙に放り出した。まもなく私は運命や確率から解放される。
「あーした元気になぁーれ」
片方の靴が放物線を描き地面に落ちる前に予測可能な人の流れに収束された。

吉岡幸一(サイトからの投稿)
猫が噛みついてきたので、猫のしっぽを噛みつき返した。すると猫は「猫を噛む人間なんて見たことがない」と、びっくりした顔をして言った。「なら、次は踏んであげようか」と、猫ふんじゃったの歌を口ずさむと、猫は「ふんずけちゃったら、ひっかいた」と、歌を続けながら立てた爪を放った。

吉岡幸一(サイトからの投稿)
月に向かって矢を放った若者は、その矢が月まで届いたのか確かめようもなかった。
太陽に向かって矢を放った老人は、その矢が太陽に届いたか確かめようともしなかった。
若者は言った。「無駄なことをした」
老人は言った。「無理なことをした」
若者は俯いて泣いたが、老人は顔をあげて笑った。

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