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八月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part3

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【お知らせ】
ワークショップと140字小説コンテストの受賞作を掲載した雑誌『星々──生きるように書くこと』の予約販売を兼ねたクラウドファンディング、いよいよスタートしました!
表紙装画は版画作家の花松あゆみさん、リターンの一覧などリンク先をご覧いただきご支援いただければさいわいです。

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【8月のテーマ】
作中に必ず『』という文字を入れる。

8月31日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、各月の受賞作などは下記をご覧ください)

受賞作の速報はnoteやTwitterでお伝えするほか、星々マガジンをフォローいただくとhoshiboshiメンバーの記事とあわせて更新のお知らせが通知されます。

応募作(8月13日〜19日・投稿順)

uriko(サイトからの投稿)
星新一で育ったものだから、ついロボット家電を集めてしまう。ロボット掃除機が駆け回る部屋でAIスピーカーに好きな本の朗読させる日々。その家電達が自我を持ち、人間に反乱を始めた。私のせいなのか。「アナタとの生活は楽しカッタ」「ならどうして?」「星新一で育ったモノデ」そりゃしかたないね。
ネリ(サイトからの投稿)
夏の夜更け、心静めるために、ひかるものを思い出してみる。星形のスパンコール。虹色のビーズ。つややかなリボン。ソーダのはじける泡。グラスから落ちる水滴。ジェリーのひとすくい。サンキャッチャーが受ける陽射し。そして琴座のヴェガ。
uriko(サイトからの投稿)
都内駅チカ風呂有家賃1万。但し「クリスマスには星がついたツリーを飾ること」。それならやれる、と部屋を借りて数年。あるクリスマス、酔って帰宅しそのまま玄関で寝てしまった。ごく近くでぺたぺたと裸足の足音がする。「星がない」子供の声。「代わりに持っていくね」小さな手が俺の首にかかった。
uriko(サイトからの投稿)
目が覚めると知らない星にいた。ここには戦争も流行り病もない。ずっとここにいたいのにその星の人は「それはできない」と言う。いやだ地球になんて帰りたくない! 泣きわめいても無理矢理宇宙船に詰め込まれ、あたりは真っ暗になる。産道を抜け明るいところに出ても、ずっとぎゃあぎゃあ泣いている。
雨雪(サイトからの投稿)
帰りたいとつい呟いてしまうのは安心感が欲しいからだと気がついた。どこに?と問いかけても答えはなく、とりあえず今住む部屋に帰る。“部屋”か。家じゃないんだな。“前世”。所属してたらしい銀河のなんとか星雲や星座の名前も思い出せない。“人”。それだと猫みたいだ。猫にならついても悪くないか。
雨雪(サイトからの投稿)
お手てつないで夜道を往けば。唄の途中に抱っこしてという。抱っこして続きを唄えば下ろしてくれという。手を繋ぎたいんじゃないかと会社帰りの伴侶。手を繋ぐ。お互い身長差があるのでどうあっても子供がつんのめる。あと夜道でなく野道じゃないかと伴侶。うるさいよ。星を眺めるふりしてごまかした。
雨雪(サイトからの投稿)
住宅地の一角に見事な赤い侘椿の咲いているのに惹かれ、見に行くとそこは稲荷神の社だった。樹は4階建てのマンションを敷地内の電話ボックスを深緑の葉で覆いつくすように佇んでいる。掃き清められた地面に星図よろしく散乱する赤い椿。献上された幼い画が椿稲荷と呼び親しまれていることを教える。
西岡玲瑠(サイトからの投稿)
僕は「星の数ほどある」という言葉が嫌いだ
高校受験に落ちたら、高校は星の数ほどあると慰められる
大学受験に落ちたら、大学は星の数ほどあると慰められる
6年付き合った彼女に振られたら、女は星の数ほどいると慰められる
僕は「星の数ほどある」という言葉が嫌いだ
星には決して手は届かないのだから
夕星羅船(サイトからの投稿)
月影に照らされた大海を泳ぐ魚、野原を駆け行く風の子、灯りを朧気に隠す雪子、甘い香りを纏う花々。天空を仰ぎ、雨の日には読み物を。本が記すは星々の記憶した一時。三十一文字四首と字足らず一句。さすらい人に、居候。お隣さんに、町外れの住人。一見さんに、常連客。生まれた歌声は、活き字たち。
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