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八月の星々(140字小説コンテスト)応募作 part4

part1 part2 part3 part4(本記事) part5 結果速報

月替わりのテーマで開催する140字小説コンテスト。

【8月のテーマ】
作中に必ず『影』という文字を入れる。

8月31日までご応募受付中です!

投稿作品(8月22日〜28日・投稿順)

東郷ペンチ(サイトからの投稿)
ふと横を見ると、君の顔に影が映っていた。太陽へまっすぐ伸ばした掌の影。何してんのと聞くと、血潮をねと答えるので、見えた?とまた聞いた。
「全然。真っ黒な手形が見える。これじゃ生を実感できない。」
「じゃあさ…」
かわりにアイス半分こなんてどう?ってニヤリと笑えば、君も同じ顔をした。
ちる(サイトからの投稿)
ある魔法使いが息をひきとりました。ただ一人の弟子は悲しくて、「影の魔法」を使いました。自分の影を会いたい誰かに変身させる魔法です。影からできた師匠は、本当の師匠とはやっぱりどこか違っていました。でもそれは自分の影なので、どうしても離れることができないのでした。
ちる(サイトからの投稿)
誰かの笑顔を見た記憶は、夢と現実の間の空間で羊になって歩き出す。人々はそれを数えて暖かい眠りにつき、懐かしい人の夢を見る。私の牧場に羊は一匹もいない。遠い昔に残らず追い出してしまったからだ。柵を飛び越していくのは、羊の影ばかり。今日も私の夢にあの人はいない。
糸遊羅船(サイトからの投稿)
日の落ちた都の空に流れた三本の尾。瞬く間に消えた星影。途方に暮れた私は先の光の行方を一本足の同朋に尋ねるが、畠の番の定めを忠実に守る彼等は口を利かず、鈴の音を乗せた風に身を委ねるばかり。鈴の持ち主等はラブコールに勤しむだけで、見向きもせず。烏は告げる。「お主の陰も三つ叉だがね」。
こすず(サイトからの投稿)
眩しい。明るすぎる。眩しすぎて良く分からない。そんな所に、ずっと居た。ある日目を覚ますと、そこには何も無かった。何かあったのかもしれないけど、もう何も思い出せない。暗い。影さえ見えない。ここは何処だ。光を探す。手当たり次第、闇雲に、血眼になって。黒く染まる白い指で。僕は何を探す。


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