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二月の星々(140字小説コンテスト第2期)応募作 part4

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月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテスト。

今月の文字は「並」。

2月28日までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去のコンテストなどは下記をご覧ください)

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(不定期でマガジンメンバーの記事が配信されることがあります)

応募作(2月19日〜25日・投稿順)

tsubo(サイトからの投稿)
人並みの生活を手放す決意をした時、
突如現れた私の羽。必然なのか、偶然なのか。
背中の羽にきいてみた。答えなど返ってくるはずもないけれど。
羽が太陽の光で反射したその時、
「あなたは自分の気持ちに正直になればいい。今ならまだ飛べる。」
そんな言葉がおりてきた。
だから私は飛ぶ。

tsubo(サイトからの投稿)
小さい頃から言われ続けた言葉。
「並外れたその感覚はあなたらしい。」
あなたらしいって何よ。並と言う言葉は、普通って意味で使うんじゃないの?自問自答を繰り返し、デザインを描くことに没頭する毎日。
そんな私も今では、並外れた感覚を活かしてデザイナーとしてスポットライトを浴びている。

tsubo(サイトからの投稿)
『牛丼の並をお願いします。』自分一人で注文する時、40代後半の今でも恥ずかしくて、なかなか大盛りを注文できない。女性は少食が可愛いと言われる世代を生きてきた名残だろうか。でもよく考えてみると昔の私なら、一人で牛丼屋さんに入ることさえも不可能だった。月日は流れたなと実感した瞬間。

あをばね(サイトからの投稿)
モスクの上で、細い三日月が爛々と輝く。下を見れば人、人、人。鮮やかな色彩に、目が眩んで。そっと、暗闇に視線を移す。星々が写った川面は、多分この国で一番静かな明るさを放っていた。ねえ、「僕を信じて」だなんて、月並みな言葉で私を攫った盗人さん。今度、パパラチアサファイアを持ってきて。

あをばね(サイトからの投稿)
鉛の弾が、脳天を貫く。赤と命が、同時に散った瞬間。鉄の匂い。崩れ落ちる音。動かない手。返り血。上げる顔。笑う敵。嘲笑。振りかぶる腕。動揺が見える。指を動かす。引かれた引き金。轟音。二度目、散る赤。動く雑魚共。お手並み拝見。轟音、静寂。喉の奥から絞り出した咆哮は、誰が為のものか。

tsubo(サイトからの投稿)
「本当にうちの娘で良いの?」
「はい。」
「知ってるとは思うけど、並大抵のわがままじゃないよ。」
「はい、覚悟しています。」
「覚悟してるならいいけど。返品は無
理よ。」
娘の彼が結婚の挨拶に来た時の会話。
えっ、ちょっと待ってよ。娘はまだ小学生。
あっ、夢でよかった。本当に。

ヒトシ(サイトからの投稿)
隣町の民芸品店で見つけた小さな土鈴2つ。シジュウカラとヤマガラ。まあるい形と丁寧な絵付け。しばらく手のひらで愛でたあと、窓辺の飾り棚に並べて寝た。翌朝、日差しが差し込むと、その子らは仲間たちに混じって空に飛び立ち、あれよと思う間に森の中に消えていった。私に柔らかな鈴の音を残して。

あかいあとり(サイトからの投稿)
川沿いにふたり並んで手を握る。汗ばんでいるのに冷たくて、緊張しているのは自分だけではないのだとほっとした。上ずった声が早口に何かを語る。相槌を打つ自分の声も同じくらい浮ついていて、思わず笑ってしまった。夜の水面がきらきらと輝いている。ああ、この穏やかな時間がずっと続けばいいのに。

キジトラ(サイトからの投稿)
東の空に、青い月が音も無く昇った。寝ていた塀の上からすべり降り、黒いしっぽを高く揺らして歩き出す。「にゃ」まずはご挨拶。お前さん、ここンとこずっと雲に隠れてたじゃないか。月は知らん顔で、けれど細道を行くおいらにぴったり並んでどこまでもついて来る。更けゆく夜をそぞろ歩く相棒さ。

キジトラ(サイトからの投稿)
波打ち際に散らばるさくら貝を、小さな爪の上に並べて、幼い娘がにっこり笑う。「女の子って、お洒落さんなんだなぁ」あなたは目尻を下げる。親バカ。そんなふうに小さいうちから、女はひとを化かす技量を磨いているというのに。思いながら、「ふふ。そうねえ」などと頭とは別のところで相槌を打つ。

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