ひっきーのうた6

俺は地味なサンタクロース
子どもなんか嫌いなくせに
甲高い声で喜ぶ姿の
無邪気なガキのためにせっせと届ける
1年が終わるその月に
最高の思い出を作ってやるんだ
だけど本当は
えんとつから出るけむりの輪に乗って
遠い国の本物のサンタへ会いに
俺だって 
じいちゃんみてえな優しい顔したサンタクロースに
欲しいものをもらいたい

おれは健気な目覚まし時計
自分の時間を犠牲にして
きょうも人間を目覚めさせる
じりじりうるさい音を鳴らす癖に
頭のボタンを押されれば
すぐにおとなしくなるんだ
ほんとはもっと泣いていたいのに
ほんとはもっと主張していたいのに

おれはかび臭いバスルーム
一日の汚れをおとしてすっきりしたつもりでも
おれの心の汚れは決して流されないまま
いつでも涙は流れていて 
めそめそくよくよかび臭い
ああ だれかおれの心を換気してはくれまいか?

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