慈悲の自己陶酔

今日、きみとの約束の時間に間に合わなかった
大雨の日だったのに

ざあざあ鳴り響く雨の音の中に、
数え切れないくらい多くの人々の
幸せそうな笑い声があったはずだ
なのに君は下を向いたまま
口元だけにやつかせながらきっと、
ぼくのことだけを想って、独り待っていてくれたんだね
薄黒い空は、君になにもしてくれはしなかったのだろう
ぼくは一時間もおくれてしまった

さむかったよね?
つらかったよね?
心苦しかったよね?
疲れちゃったよね?
雨の針はさぞ冷たかったろうに
がっかりしたろう?
情けなくなったろう?
悲しかったろう?
寂しかったろう

いつかぼくも君と同じ様な苦しみを味わうことを約束するから
どうか許しておくれ

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