ひっきーのにっき【まだ知らぬ自分に会いにいくために】

わずかに光の射し込む
薄暗い部屋のドアを開けたとき
そこには過去の自分がうつむいて座っていた
壁にもたれかかり、ぴくりともしない

動いているのは
ただ今この部屋に入ったばかりの自分だけ
だった

＊＊＊

苦悩と苦難を乗り越えて
ぼくはやっと解放された

苦悩は必要だったのだ
苦難は必須だったのだ

これからも色々あるだろう
でも本当の自分という未知の世界に
向かって歩くというのなら
苦悩と苦難も同行するのだということを
忘れてはいけないのさ
だから、いつだって
自分をしっかり保っていよう

明日の自分は
この薄暗い部屋をわずかに照らす窓の外の光の、その中にいるだろう

今日の自分は
この薄暗い部屋でうつむく自分の姿を冷静に見つめる、この私そのものだろう

これからは
まるで夢を見ているときのような、
ひたすら変わっていく景色を楽しむかの
ように
人生を振り返らず
淡々と生きていきたいのだ

＊＊＊

まだ知らぬ自分に会いにいくために
ぼくは過去の自分を尻目に
この薄暗い部屋を出て行った