理科の自己陶酔

真夜中、
実験室に二人はいた
ノートを片手に持つ教師
アルコールランプを見つめる生徒
その実験は、全く予想のできないものだった
準備のない予測不可能な実験
危険で、眉をひそめることになりそうな、
あまりに不可解な実験
火の赤さえも答えをしらない
切れかかった蛍光灯と、ほのかに香る理科室の危ない硫黄の香りも
それを知ることはなし

微動だにしない先生
ペンを持たない学生
けれども一つだけ分かっていることがある
分かりきっていることは、「実験の結果など無い」ということだった
わたしたちはなぜか、ランプの光に答えを無理やり導き出させ、
火が燃え盛るときがきたその時、
明るい太陽の光が来ることを信じている。
その光線が下界へ降りてきたとき、わたしたちの夢は覚めるはずだ
儚い世界の中の、実験室での出来事は、もう二度と起こることはないけれども・・

これこそが、本当の実験!
これこそが、生徒の求めていた勉強!
これこそまさに教師の本望である!

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