恍惚の自己陶酔

幸せだ
君の宇宙が垣間見られる
波のように押し寄せる幸福
ぼくはいつも君の宇宙のゆりかごに揺られ、
ゆらゆらゆらゆら、いったりきたりしている
何も進化がない

そこでぼくは、広く青い海の満ち潮に体を委ね、
塩辛い現実に飛び込むことにした
初めてみる現実 そのなんとも無残な姿は例えようがない
荒んだ人々の目
乾ききった大地
広くて深い絶望が、灰色の埃となって宙を舞う

だがぼくは見慣れない現実の中に、不思議と埋もれることがない
失望の嵐と同じだけの希望があることを知っていたのだ
そう
ぼくの手中には、もともと希望だけがあった
それをこの広大なコバルトブルーの荒地に振りまくには、
そうさ、ぼく自身がもう一度、あのゆりかごに揺られる必要がある
離れるべきだと思っていたのに
心の中にある体は自然と、あの場所を欲していた
そこでぼくはゆらゆらゆれる至福の中に埋もれた

今までにない巨大な至福の波が押し寄せる
息もできないほど、いや、息などすることさえ忘れるほど、
ぼくは至福そのものとなっていた

途端に烈しい目の覚めがやってくる
気付くとあたり一面が黄緑色や、ピンクや赤や黄色、そして水色と化していた
ここには
穏やかに、そして力強い微笑を浮かべる人々の姿がある
歓喜の涙でうるおう大地がある そして
広くて深い確かな希望に満ち溢れた世界がここに生きている
ぼくの願望は、そのまま世界のものとなって、現実になった。
ようやくぼくの進化がやってきたのだ。

ぼくは決して帰りたくない
あのゆりかごの世界にも、
はたまた荒んだ世界にも。

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