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【馬と人の関係】うつで2年間ひきこもっていた女性の苦しみと、その闇(1/3)

うつ。その苦しみ。
それは経験した方でなければわかりません。
本人以外の人は、その苦しみを察することや心配することはできても、心に立ち入ることができません。

1. 苦しみ

みゆきさん(仮名)は20代前半の元OLです。
この里山にきたときは、不安そうな顔をしていました。
痩せ細って、暗く青白い顔をしているのですが、ときおり澄んだ目をする女性です。(オーナーにとって、その済んだ目が唯一希望の種でした。)

みゆきさんはどんな仕事についても、朝、出勤時間が迫ると息苦しく、めまいがして、辛くて出勤できなくなり、欠勤がつづいて、結果的に退職せざるを得なくなる。

これを繰り返しているうちに、夏でも寒かったり、冬に薄着でいても寒さを感じなかったりするようになり、食べる意欲もなくなり、「自分は生きている価値がないのでは。」と思い詰め、気がつくと刃物をじっと見つめていることが多くなったそうです。

お母様の必死の勧めで心療内科を受診し、うつ病と自律神経失調症と診断されました。

睡眠を助ける薬や、不安になったときに服用する薬など、いろいろと処方されましたが、服用してもなんの気休めにもならず、部屋にひきこもるようになり、2年の月日がながれました。

2. 闇

みゆきさんのことを、小さな時から面倒を見ていた近所のおばさん、ご自身がホースハーモニーを体験して直感的に、タロウとルーカスならみゆきさんを癒やせると感じたそうです。

ご近所のおばさんに誘われたとき、ひきこもり中のみゆきさんも、かすかに「馬とふれあって、何かがかわるかも。」と思ったそうです。(あとでご本人から伺いました。)

でも、自信がありません。
馬に会いに行けるかどうか。当日になって怖くなったしまうかも。
家をでることが出来るか。怖じ気づいて一歩を踏み出せないかも。
馬の事について説明を聞けるかどうか。人に接するのが怖い。
周りの人が、自分に対して落胆するのを見るのがつらい。

いろんな思いがどんどん去来します。

社会人になって、
仕事を教わっても教わってもできない自分。
会社の雰囲気に押しつぶされそう。
給料をいただくことが後ろめたい。

学生時代も、
授業も勉強も辛くないけれど、クラスにはなじめなかった自分。
クラスメイトとの会話に合わせて疲労困憊していた自分。

いつの頃からこうだった?
わからない。
でも、気がつくとこうなっていた。(あとから伺いました。)

そもそも今は何年?
私という存在は何?
今、何歳?
自分に明日はあるの?
夢と現実の区別がつかないことの恐怖。

こんな状態がいつまで続くのかという気持ちさえも生じない、
今、現在の闇。

孤独と不安しかない日々を過ごしているうちに、どんどん弱まる命の火。
いつ消えてもおかしくない命の火。

みゆきさんは、失いつつある命の輝きを取り戻し、そして、どのようにしてタロウとルーカスとの絆を結んでいったのでしょうか。

【うつで2年間ひきこもっていた女性の苦しみと、その闇(2/3)】へ続きます。


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