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ドラえもん映画の最高傑作!「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)」。

あまり軽々しく「傑作」という言葉を使いたくはないのだけど、ドラえもん映画の最新作は僕にとって間違いなく“最高傑作”と思えるクオリティだった。

「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)」
(監督:今井一暁 、2024年)

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あらすじ

小学校主催の音楽会に向けて、苦手なリコーダーに悪戦苦闘するのび太。練習中に顔見知りになった宇宙人の少女ミッカと共に、音楽が失われた惑星に行くことに。のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫たちが奏でるファーレ(=音楽)は、惑星に彩りを取り戻していった。

しかしその間、彼らの預かり知らぬところで地球外生命体「ノイズ」が迫っていた。ノイズは音楽のない場所に出現し、そこに住む生物の命をあっという間に飲み込んでしまう恐ろしい存在だった──。

みどころ①:意外に見られないチームワーク

本作は、音楽をテーマにした物語だ。おそらくドラえもん映画で初めてだと思う。

リコーダーの音楽会に向けて練習するも、のび太はなかなか上達しない。ジャイアンやスネ夫にどやされながらも、何とか交響楽としての形をつくっていく。

のび太はリコーダー、しずかは打楽器、ジャイアンはチューバ、スネ夫はバイオリン。全く異なる楽器、誰かひとりだけ突出しても意味がないわけで。演奏を通じて、力を合わせることでより良い音色を生み出せることを学んでいく。最終盤に至るまで、みんなでシンフォニーを奏でる姿にグッときた。

みどころ②:何かをつくるうえで、大切なのは「思い」である

終盤で襲う最大のピンチ。ピンチを乗り越えようと奮闘するも、ひとりだけ技術が拙いのび太が足を引っ張ってしまう。

痺れを切らした周囲に対して、涙ながらに「みんなと演奏したい」と訴えるのび太。音楽はもちろん、才能や努力が重要なのは言うまでもない。しかし何かをつくるうえで、最も大切なのは「思い」ではないだろうか。

何のために音楽を奏でるのか。最終的に弱みだったのび太のケイパビリティが「個性」となるのだが、詳細はぜひ映画を観て確かめてもらいたい。

みどころ③:作中における音楽の完成度

音楽を手掛けたのは、日本のドラマや映画で引っ張りだこの服部隆之さん。パリ国立高等音楽院で音楽を学び、1988年から音楽家としてのキャリアをスタートしたベテランが、ドラえもん映画の音楽を下支えしていた。

交響楽として様々な楽器が鳴るのだけど、ポップスやロック、演歌や歌謡曲なども流れ、音楽映画としての満足度も非常に高いと僕は感じた。何より伏線を畳みかけるように回収し始めた最終盤。タイトでゴージャスな演奏で、しっかりクライマックスまで盛り上げてくれた。

細部の演出にも、音楽へのリスペクトがある。ひとつ注目してほしいのは、のび太の自宅近くの電線。電線にとまる鳩たちとともに、五線譜を表していた。僕が気付いていないだけで、音楽の素養がある人はもっと色々楽しめるのだろう。

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X(当時はTwitter)で僕のポストを検索してみると、直近で「傑作」と記したのは、村上春樹さん原作の映画「ドライブ・マイ・カー」(監督:濱口竜介、2021年)だった。

「素晴らしい作品だな」と思っても、なかなか傑作には巡り会えない。「ドラえもん映画の〜」という条件付きではあるけれど、思いがけず傑作に出会えたことを心の底から喜びたいと思う。

ぜひ、機会があれば映画館で堪能してください。

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堀聡太
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