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さがせなかった、赦しの結末(配信作品「ガンニバル」を観て)

昨年末にDisney+から大々的に宣伝されていた、配信作品「ガンニバル」。

監督を務めたのは片山慎三さん。(僕は苦手だったけれど)2022年公開映画「さがす」で一部から熱烈な支持を集めた、いま最も注目されている映画監督のひとりだ。

「ガンニバル」の評判を受け(そして実際に僕も鑑賞して)、これを機にTOITOITOで運営している映画テキストサイト「osanai」でも配信作品を取り上げようと決めた。執筆してもらったのは、真昼の深夜さん。5,000字に迫る分量のテキストを読むだけで、作品の強靭さを窺えるだろう。

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放っておいても作品の評価は高いので、あえて片山作品が苦手な立場で「良く分からなかった」点についていくつか述べたいと思う。

なぜ大吾は狂気を孕むキャラクターだったのか

一番の謎は、ここである。

後藤家が隠蔽している「人喰い」の真実を暴くべく、正義へと奔走しているように大吾だが、平気で暴力を振るう様子は最後まで違和感を抱いた。

真実の阻害要因とな(っているように見え)る一般人はもちろん、たとえ犯罪者であったとしても、「ひと」であることは変わりはない。

そんな「ひと」たちに対して、平気で暴力を振るう大吾のコアの部分が最後まで明らかにならなかった。

なぜ有希(演・吉岡里帆)は、大吾の妻なのか

有希がストーカー被害に遭っていたとき、大吾がつきっきりで警護にあたった(「どっちがストーカーだったか分からなかったです」と言っていた)が、なぜ有希は、自分と娘を脅威に晒し続ける大吾とパートナーの関係を続けているのだろうか。

もし有希が後藤家の人間だったら……という可能性もあるし、後藤家のターゲットが実は有希であるという可能性も否定できない。いずれにせよ、大吾と有希をつなぐ決定的な理由を見出すことができなかった。

供花村出身の諸辺警察署 署長(演・利重剛)は何者なのか

Wikipediaを見ると、利重剛さんが演じる諸辺警察署 署長にだけ名前がつけられていなかった。たまたまだと思うが、彼が供花村出身である事実はこっそり明示されていることが気になっている。

「僕は供花村の出身だけど、村のことはほとんど知らないんです」という言葉を鵜呑みにして良いものか。彼が後藤家と通じていたとしたら、大吾を襲う理不尽なハプニングはなるほど筋が通っているように思うのだ。

署長が味方なのか敵なのか。シーズン2があるとしたら、間違いなくキーパーソンのひとりだろうとは思う。

“あの人”は、なぜ大吾を殺さなかったのか

“あの人”は、何度か大吾を襲う機会があった。

第1話でまひろに優しくされたことで、“あの人”は大吾に温情を注いでいるのだろうか。いや、どう考えても大吾は後藤家の存続を脅かす存在であり、大吾を生かしておくほどの理由にはならない。リスクが大きすぎる。

となると、大吾を最後まで「生かす」ことは何らかの理由があるはずだ。それが何か、ドラマではまだ明らかになっていない。

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他にも、不気味な村人たちの存在については、謎深いままである。いくつかの……というか考えてみれば、ほとんどの謎が宙に浮いたままなのが「ガンニバル」だ。

ホラー&スリラー作品が苦手な人にとっては、「ガンニバル」という作品の話題に触れるだけでも相当なエネルギーを必要とするだろう。

それでもなお、「ガンニバル」には大衆を惹きつける不気味な雰囲気がプンプン漂う物語だ。映画やフィクションを愛する人なら、観て損はないと断言できる。たくさんの人に、語ってもらいたい作品であることは間違いないだろう。

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