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これが良いんだ、「イコライザー THE FINAL」

遅ればせながらイコライザーシリーズの最新作を鑑賞。

109分という短めの尺に、濃密で緊張感のあるカットが詰め込まれており、全く飽きずに鑑賞できました。

「イコライザー THE FINAL」
(監督:アントワーン・フークア、2023年)

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主人公のマッコール(演:デンゼル・ワシントン)は、“仕事”で身体を負傷するも、善意の医者によってイタリアの田舎町に運ばれ秘密裏に治療を受ける。町の人々は皆おおらかで、適度な距離感で接してくれる。“仕事”から離れてリラックスしながら過ごしているうちに、この場所を定住の地にできないか検討していた。

一方で町の人たちにとっての頭痛の種が、ならず者のマフィアたち。理不尽な集金や土地の立ち退きを迫られ、断ると恐ろしい暴力に晒される。彼らの憤りや悲しみを目にして、マッコールは「イコライザー」として彼らと対峙することを決意する……という話だ。

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基本的にイコライザーシリーズは勧善懲悪型だ。明確な「敵」が設定され、彼らを暴力で懲らしめるという物語である。

こういった話の構成は、たいてい因果応報の結果を辿る。世界は暴力に満ちている。市民が暴力に晒されるも、暴力によって救えるのがアメリカ映画の主人公である。しかし暴力の連鎖は、結局自分にも却ってくる。「目には目を」は、やはり幸せになれないというのが世(アメリカ)の常なのだ。(例えば昨年の同時期に公開された「ジョン・ウィック:コンセクエンス」はまさにそんな話である)

一方で、イコライザーシリーズはそういった結末を辿らない。

確かに「イコライザー2」ではそれらしい過程もあったけれど、殺し屋であるマッコールは最初から最後までヒーロー然としている。本作は更にその傾向が強化され、「悪いやつから町を救ってくれてありがとう!」という祝福さえ受けている。

こういったアクション映画で、物語の筋の良さを求めるのは野暮だろう。マッコールはずっと同じキャラクター/価値観で一貫しているので、もはやそれを前提に楽しめる人が楽しんだら良いんじゃないかと僕は思う。

109分という短かめの尺で、緊張感のあるカットが連続する。「マフィア、実は弱すぎでは?」と思わなくもないけれど、まあ、「THE FINAL」だから大目に見ようではないか。

ちなみに原題は「The Equalizer 3」。“FINAL”は邦題のみにつけられているわけだが、デンゼル・ワシントンの体力が続く限りは続編も十分あり得るだろう。

「イコライザー」、「ジョン・ウィック」、それに「ワイルド・スピード」があれば、まだまだアメリカ映画は元気でいられるはずだ。

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シリーズのファンにとっては、最後の最後でサプライズがあるのも嬉しいです。

それがなくとも、バディ的なポジションだったCIA捜査官を演じたダコタ・ファニングとは「マイ・ボディガード」以来18年ぶりの再会だったわけです。僕が気付いていないだけで、粋な演出はまだまだあるのかもしれません。

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