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「推す」ことの暴力性、「キラー・ビー(SWARM)」が示した、悪い余韻

映画には、良い余韻と悪い余韻があって、間違いなくAmazon Prime Videoで配信された「キラー・ビー(SWARM)」は悪い余韻だった。

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それは作品の良し悪しということではなく(間違いなく2023年を代表する作品のひとつだ)、エピソードごとに「ああ、観てしまった」という感覚になり、そして次のエピソードを再生したい誘惑に駆られるというもの。

それが配信ドラマの必須要件(ある意味で「ゲーミフィケーション」のような感じ)であることは間違いないのだけど。

ドミニク・フィッシュバックさん演じるドレの救いようのない狂気と殺意の発露は、人間の醜い深部をこれでもかと映していて、ひたすらに胸が締め付けられる感覚を抱いた。

日本でいう「推す」という行為は、極端に行き過ぎてしまうと冷静さを欠いてしまう。無害なまま過ぎていけば良いけれど、文化にせよ政治にせよ、ひとたび暴徒化すると、本当に怖いものだ。

いや、暴徒化しなくとも、「推す」ことの怖さは潜んでいるのかもしれない。暴徒化がひとつの怖さとして象徴されているけれど、そういった日常的に行なわれている行為にまで鋭くメスを入れていく作品だなと感じている。

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本作品の見どころのひとつは、ビリー・アイリッシュさんが初演技を披露したこと。

この作品自体が、ミュージシャンに対する行き過ぎた「ファンダム」を警告する意図があるものだけど、現役バリバリというか、ファンダムの筆頭を走る彼女がそういった作品に出演していることに、何というか、彼女(というかプロダクション)の度量の大きさを感じた。

実際のところ、4話はとても面白かった。本作でドレが対峙してきたのは男性が多かったけれど、4話は女性たちが多く出てきている。そんな中で、ドレがどんなふうに女性たちを「破壊」していくのか、ぜひ固唾を吞んで見守ってもらえたらと思う。

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