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知らなかったからこそ|「編集スパルタ塾」で得た視座

2020年4月から1年通った、菅付雅信の編集スパルタ塾。

受講した感想をこれまで定期的に書いてきたが、ふと、思うところがあってnoteを書いてみる。ちょうど10期の後期募集が始まったとのこと、ぜひピントきた方は参加検討いただければと思う。(遠方の方向けに安めの価格設定のオンラインコースもあるけれど、通えるのなら絶対に「来店受講」を選んだ方が良いです)

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講師を務めるのは、菅付雅信さん。

書籍や雑誌の編集に留まらず、イベントや都市づくりなど既存の編集領域を軽々と越境する編集者だ。「企画を立て、人を集め、ものを作る」と編集を定義づけている。シンプルなのだけど幅広さと奥深さの両面があって、菅付さんは絶えず実践の場で探求しながら、モノづくりに挑んでいる。

今でこそ感謝してもし切れない存在だけれど、申し訳ないことに、受講するまで菅付さんの存在を知らなかった。編集畑にいなかったこともあるが、改めて編集に関して無知だったなあと恥じ入る思いだ。

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ただ実は、「知らなかった」というのがミソだったとも感じている。

SNSの隆盛により、誰でも発信できる時代になった。受け手が理解できるコミュニケーションをベースにしながら「手が届きそう」なテクニックを伝授しようとするセミナーは結構多い。(それらのセミナーを否定する意図はない)

例えば「文章が上手くなりたい」と思う人にとって、「分かりやすい文章を書くテクニックを教えますよ」というセミナーは魅力的に映る。需要と供給がマッチしているし、目の前の課題をいち早く解決してくれそうだからだ。

一方で、編集スパルタ塾では、日頃の悩みをどう解決してくれるのかイマイチ分からない。「編集という「言葉とイメージとデザインをアンサンブルする力」を身に付けるための講義」とWebサイトでは紹介されているけれど、アンサンブルとは???みたいな感じで、それが自分にどれだけ必要なことか分かりづらいのだ。

でも考えてみてほしいのだけど、自分にとって「本当に」必要なスキルが何かなんて、正確に見出すことができるのだろうか

前述のように「分かりやすく文章を書きたい」と望む人がいたとして。でもその人に本当に必要なのは、「いま世の中で何が求められているのか」を察知するための思考法かもしれない。あるいはどんな業界でも覚悟をもって働くべきだというスタンスかもしれない。もはやそれはスキルではない、だけどその人にとっては重要なことだ。

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編集スパルタ塾(10期、後期募集の回から)では、菅野薫さん、朝吹真理子さん、深澤直人さんなど様々なジャンルのトップクリエイターが登壇する。彼らから課題が出題され、受講生は5分間のプレゼン資料にまとめなければならない。選抜された10名ほどの受講生のみがプレゼンの機会を得、フィードバックを受けることができるという仕組みだ。(そのサバイバルな仕組みがポイントだが、なかなか選ばれず心が折れてしまうこともある)

自分が携わっていない業界の課題に向き合うこと、登壇者の思考をトレースしつつ「選ばれる」ための企画を考えること、そんな企画に対して愛のあるダメ出しを受けること。

それらの体験を通して身につけられるスキルのことを、僕は上手く言語化できない。だけど受講後に「この世界で生きていくんだ」という覚悟が生まれたのは事実だ。それだけを頼りに、何とかいままでやってきている。

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ということで、編集スパルタ塾を受講してみてはどうですか?

って、かなり乱暴ですね。「いやいや、そこそこ高い受講料を支払う理由にはなりませんよ」と、もっともな反論だと僕も思う。

ひとつだけ強く主張したいのは、「現時点であまり理解できないものに対して好奇心を抱くのは悪くないよ」ということだ。編集???うーん、ちょっと分からないね、で済ませるのでなく、ちょっとでも引っ掛かる「何か」を感じるならば、いったんオリエンテーションの動画を覗いてみてほしい。

編集スパルタ塾は、下北沢の本屋B&Bが10年前に生まれたときに始まったものだ。「10年」って凄い。

受講生は、それぞれの分野で、それぞれの編集を実践している。

菅付さんをきっかけに、転職した人、独立した人、社内の新しい部署やプロジェクトに取り組むようになった人は、たぶん枚挙に暇がないだろう。

いつかの飲み会で、菅付さんはこんな話をした。

編集スパルタ塾を経験した人は、クリエイティブな仕事をしないとダメだよ。そうじゃなきゃ社会の損失だからね

そうなのだ。編集のことを何も知らなかったけれど、何も知らなかったからこそ得られた視座がある。その視座を知ってしまったら、あとは実践するしかない。そのワクワクを得られるチャンスは、もしかしたら目の前にあるのかもしれない。

後期は、9月13日(火)から参加できるそうだ。ぜひ気になる方は上述したオリエンテーションを覗いていただき、受講申込を検討してほしい。

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これまで書いてきた、編集スパルタ塾に関するnoteはこちら。受講のきっかけになればと!

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