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「地域」とは何か。を考える

写真の本は、移住希望者向けの雑誌『TURNS』に連載された記事に、序論・結論が書き下ろされています。

『地域をまわって考えたこと』
小熊英二(おぐま えいじ) 著
東京書籍 (2019.06.15)

著者の小熊英二さんについて(wikipedia)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%86%8A%E8%8B%B1%E4%BA%8C

行政の「地域」と 生活の「地域」

市区町村は、行政に おける範囲です。
生活(経済)の「範囲」とは一致しません。

人々の暮らしの中で、その住んでいる地域内だけで生活を営んでいる訳ではありません。
他の地域での買い物や交流を通じて生活をしています。

地形

行政の地域と生活の地域が 比較的一致する要因に「地形」が あります。
例えば、山に囲まれた盆地などが そうです。

かつて、アリストテレスは『政治学』の中で「国家の国土は、一望で見晴らせる程度、住民は お互いに誰がどのような人間か知ることが出来る程度(距離)がよい」と述べた。(第七巻/第4章・5章)

(wikipediaより転載)
第七巻【最善の国の構成】
第4章 -最善の国における諸機能を果たす最適な人口数。自足的な善い生活と、国民の相互面識を可能にする数。
第5章 - 自足的国土、中庸生活を可能にする広さ、攻守に便利な地勢、海陸の交通に好都合な国都。

社寺と寺

日本では多くの場合、集落ごとに神社があり、そこで「祭」が行われます。

集合意識

日本の場合「集合意識」の範囲の指標の一つとして、神社と小学校の校区が あります。

地域のお祭りが開かれる神社。
明治期に、地元社会の寄付で建てられた小学校など、寄付が集まる範囲は、仲間意識と深い関係が あるようです。

(移住して来た)人について

その地域に移住して来た人達への調査項目に 定石と云うべきものがあるそうです。
先ず、移住者に一日の生活を聞く。
その人の一日の暮らしの中で、地域の誰とどんな活動をしたか。

地域での社会関係の結節点を知る。

そして、移住して来た人は、次の「社会関係」を築いていく過程だろうか。
など、地域の人からは得られない「地域の特性」を教え(気づき)てくれるでしょう。

地域とは何か。

地域とは:そこにいる人々の活動や社会関係の総体。
人(ヒト)がいなかったら「地域」とは呼べない。

地域には、人が集まる理由があったから。

今、なぜ過疎地に なったのか?
それは、ヒト・モノ・カネの流れが時代と共に変わったから。

「地域振興(地域再生)」の目標とは

1) 他から必要とされる地域

「他から必要とされる」とは
農作物や原材料を出荷すること。産業で労働力が企業から求められていること。観光で景色や文化遺産を観てもらうこと。など、その地域にある資源を外部から求められるような流れを作る。

2) 持続可能で人権が守られる地域

地域社会は、他の地域から必要とされることで富を得る。ただし、富だけでなく、そこに暮らしている人々の幸福や人権が、持続的に守られる事か必要に なります。

重要なポイント

1) やってみなければわからない
↑チャレンジ精神

2) それが好きだ
↑愛着

持っている地域資源と、ニーズを把握し、目標を設定する。

あたり前の 平凡なことが重要です。

「あとがき」より

「地方」と云う言葉の対極には「中央」が あります。
一般的には英訳で local と訳されていますが、日本語の「地方」は「周辺」 peripheryと訳したほうが適切ではないか。と云う意見が あります。

中央 vs. 地方 と云う固定観念は、根強いですね。

日本は、戦争のために太平洋側の生活基盤や産業が壊滅し、人口配置と産業構成(配置)を変えざるを得なかった。

それぞれの「地域」には、それぞれの地形・気候・土質・水質があり、産業構造・交通事情・環境など異なり、それらの組み合わせから出来ています。

「地域」は、地方と云う一律の言葉では、見えなくなっています。

地域によって状況が違う中で、どう向き合っていくのか。
考えていきたいです。

【参考】島根大学
「そもそも」07
『そもそも地域とは何か?』

2020.02.05

2021.06.20 追加

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