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向井敏の『文章読本』を読む

『文章読本』向井敏 著
文藝春秋 (1988.11.15)

小説以外の分野(広告)の人が書いた『文章読本』

単行本は 絶版になっていましたが、古書店にありました。

向井 敏(むかい さとし)
1930年9月24日〜2002年1月4日
電通勤務のあと、エッセイスト。

【好ましい文章とは】

既成大家のみせかけの名文を容赦なく難じ、かつての文章観の不鮮明を徹底排除。明晰精緻な文章読本。
(ブックレビューより)

【名文の条件】

陰湿な情念による侵食を可能な限り制御した、カラリと晴れて快い文章、乾いて気持ちのいい文章。pp.1〜14.

例) 林達夫『三木清の思い出』
『共産主義的人間』に収められています。(初出/月曜書房/1951年)のちに、中公文庫(1973年)

【乾いた文章 湿った文章】

暗い題材を扱っていても、気持ちよく読める文章がある。逆に、明るい題材を取り上げながら不快な気持ちになる文章がある。p.21

【明晰な文章】

文章はまず、人に伝えたい事柄を明確に表現しなくてはならない。p.39

【文体とは何か】

文章についての趣味の良さ。
格調、含蓄、芸、気どり方 pp.60〜61.

【文章感覚】

訳文に訳者の文章感覚が現れる。p.95

【殺し文句の功罪】

文章の魅力を醸し出す上で、しばしば目覚ましい効果を発揮する。p.98

【ユーモア】

ユーモアと云えば、軽やかで楽しく、心明るむものだけでなく、哀切で苦いユーモアもある。p.132

【文章の気品とお洒落】

例) 海外文学や漢文脈における気品 
例) 機知に富んで軽快な会話表現 (訳文)

【文章の効率】

【起承転結】

起承転結の「転」は 要。p.220

【しめくくり】

どう書けばいいのか。
通常「文章作法」と言えば、技術の習得と思われがちだが、いかに書くかではなく「何を書くか」
人に知らせたい内容を、誤りなく、快く受け入れてもらうために言葉を選び、構成を考え、文章(ことば)を練る。
その逆ではない。p.237

力ある文章が、人の心を強くとらえる文章を生む。名文とうたわれる文章の多くが、主題を外部にあるものしてではなく、筆者自身に内在する問題として論じた文章である。p.238

後記

小説の文章と、小説以外の文章とのあいだに 取りたてて差を設けず、同じ視点から文章の良否を論じている。p.263

2021.10.30.

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