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旅先で出会ったスター達 パリ編 PSG とレ・ブルー

外出自粛が続く日々のささやかな楽しみ、旅の振り返りシリーズ。

今回の舞台はパリ。

OWL magazineのテーマは旅とサッカーだが、ひとくちに旅とサッカーといっても色んなスタイルがある。

主流はサッカーを目的とした旅だろう。

昨年のサウジアラビア遠征はその典型で、サッカーが主旅はついでだった。

しかし、僕はその逆、旅のついでにサッカーを見るのも好きだ。

リーグやクラブ、選手などをよく知らなくても、時間が許せば、行く先々でスタジアムに足を運ぶ。

パリもそんな街のひとつだ。

この記事は「旅とサッカー」をコンセプトとしたウェブ雑誌OWL magazineのコンテンツです。OWL magazineでは、多彩な執筆陣による、アツい・面白い・ためになる記事を、月額700円で月15本程度読むことができます。

なぜ花の都でサッカーなのか

花の都と呼ばれ、観光地としての人気も高いパリ。

訪れるべき場所は枚挙に暇がない。

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朝方のセーヌ川とエッフェル塔

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サクレクール寺院

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尖塔を焼失する前のノートルダム大聖堂

しかし、サッカー観戦は旅を邪魔しない。

試合の多くは夜にあり、開始時間は日本より遅い。21時キックオフもざらだ。

またスタジアムが街中から近いので、移動時間もあまりかからない。

だから、観光であろうと仕事であろうと、スケジュールはぶつかりにくい。

唯一かぶるのはオペラやコンサートで、僕はそれらも好きなので少し困るのだが。

金満クラブの素顔

パリには世界有数のサッカークラブがある。

パリ・サンジェルマン。通称PSG。

1970年創設、リーグ優勝8回を誇るフランスの名門だ。

だが、僕がPSGというクラブを認識したのは比較的最近だ。

ずばり、2011年にカタール資本(カタール投資庁傘下のカタール・スポーツ・インベストメント)が入り、有力選手を買い集めるようになってからのこと。

それ以降、リーグアンを制することなんと6回(残りの2回は2位)。今季も大差で首位に立っている。

2019年のPSGの年間収入は、世界第5位の6億3,500万ユーロ(約750億円)。レアルやバルサとともに、ビッグクラブを超えたメガクラブと言って間違いないだろう。(出典:Deloitte Football Money League 2020

だから、どうしても金満クラブというイメージが拭えなかった。

しかし、本拠地パルク・デ・プランス(Le Parc des Princes)に行って、イメージが変わった。

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そこにはサッカーを愛する人たちがいた。

もちろん、チケットは安くはないので、客層は絞られているのかもしれない。

けれど、どこのスタジアムとも変わらず、ウルトラスがいて、皆、サッカーを楽しんでいた。

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ひときわ輝きを放った男

とはいえ、PSGがスター軍団であることに変わりはない。

この日のスタメンは強豪国の代表10人(ブラジル3、フランス2、アルゼンチン・イタリア・ウルグアイ・スペイン・ベルギー各1)と、イタリアが誇るレジェンドGKという組合せ。

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これだけのワールドクラスを生で目にしたのは、2007年のクラブワールドカップで浦和レッズがACミランと対戦したとき以来だ。

しかも、前半に退場者を出しながら、強豪リヨン相手に5-0の完勝。最高のエンターテイメントだった。

その中でも、ひときわ輝きを放った男がいた。

その名はキリアン・エンバペ(Kylian Mbappe)。

この日の席は、バックスタンド前列、ペナルティエリアの真横。前半はエンバペのアタックを目の前で見ることができた。

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衝撃だった。

まず、単純に速い。浦和で速い選手と言えば、エメタツに代表されるように小柄で回転数の多い選手が多いが、エンバペはストライドが長く、伸びのある速さ。

そして加速力が半端じゃない。あっという間にトップスピードになり、相手を置き去りにする。いつギアチェンジした?と聞きたくなる。だから、少しのスペースでもスピードで勝負ができる。

しかも速い上に上手い。トップスピードでのボールの扱いが抜群に上手い。派手な技は見せずとも、このスピードで、こんなにピタッとトラップされたら、ディフェンスはノーチャンスだろう。

その上での決定力。この日なんと4ゴール。得点シーンはこぼれ球だったり、味方のお膳立てが良かったり、ひとりで決めたわけではない。

しかし、試合を通して、たった1人で相手チームに混乱をもたらし、戦術兵器と言っても過言ではなかった。

これが世界のトップオブトップか、と震撼させられた。

ちなみに、エンバペといえば、本人を直撃して正しい発音を確認したサッカーキングの動画が有名だが、パルク・デ・プランスでのゴール後の絶叫でも確認ができる。

ラ・マルセイエーズとバイキングクラップ

リヨン戦から半年後にパリを再訪する機会に恵まれた。

このときは国際Aマッチウィークでリーグアンはお休みだったが、代わりにユーロ予選があった。

フランスは2018年のロシアワールドカップ優勝国。まごうことの無い強豪だ。

このときの相手はアイスランド。ワールドカップ史上最も人口の少ない本大会出場国(人口33万人)として知られる。

地力の差は否めないが、日本以外の代表戦を観るのは初めてだし、サン・ドニの奇跡でも知られるスタッド・ド・フランス(Stade de France)も見てみたいので、行くことにした。

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キックオフ前には、クラブシーンではお目にかからない国歌斉唱。ラ・マルセイエーズの大合唱を初めて生で聴けて、ちょっと感動した。

また当然ながら会場はトリコロール一色(3色)。2人に1本、フランス国旗が配られていて、見た目にも鮮やかだった。

なお、アイスランドといえは、バイキングクラップが有名だが、この日はフレンチ・クラップと銘打ち、試合前にフランスサポーターがやっていた。

正直、相手のチャントをパクるのはダメじゃないか?とも思ったが、アイスランドサポーターも騒いでなさそうだったし、対戦相手へのリスペクトでもあるのかもしれない。

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この日のレ・ブルー(フランス代表の愛称)は、スタメン11人のうち10人もが、ワールドカップ決勝でもスタメンだった選手たち。変更があったのは左SB(リュカ・エルナンデス→クルザワ)だけ。

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結果は4-0の完勝。

エンバペはまたも無双し、1ゴール2アシストという結果を残した。

僕が観戦した2試合で、驚異の5ゴール2アシスト。

思わず、ユニフォームを購入した。

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繋ぐ者と外す者

この2試合で目についた選手はエンバペ以外にもいた。

PSGではマルコ・ヴェラッティ。

仏代表ではエンゴロ・カンテとアントワン・グリーズマン。

3人に共通するのは献身性。運動量豊富に、色々なところに顔を出していた。

スター軍団にあっての繋ぎ役であり、チームをチームとして成り立たせている選手だと感じた。

またハイライトには映っていないが、アイスランド戦、ジルーは結構シュートを外していた。

でも観客も、また外したよ、まぁ仕方ないよね、みたいな空気感だった。あれは選手も気づくのではないかと思うくらい。

けれど、観客全員がそういう認識を共有しているということ自体にも、文化としてのサッカーの成熟度を感じさせられた。

ビール

アディショナルタイム:僕のアイコンが出来るまで

久しぶりのアディショナルタイム。今回は、最近変更したnoteやtwitterのアイコンのお話。実はこれ、OWL繋がりで作ってもらったものだ。

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